『NewsPicks』の圧倒的に見られる動画制作の裏側-インハウス動画の未来 イベントレポート # PremierePro #PremiereRush
今回は「経済を、もっとおもしろく」をミッションに掲げるソーシャル経済メディア 「『NewsPicks』の圧倒的に見られる動画制作の裏側」 と題して、彼らが2018年に立ち上げた動画コンテンツ制作チームの担当者、SNS担当者をお招きし、AdobeとVookが共同で開催したインハウス動画の未来を考えるイベントを取材しました。
なぜインハウス動画?
なぜ、今回、インハウス動画をフィーチャーしたイベントを開いたのか。
Vook代表の岡本氏によると、「オンライン動画のトラフィックが年々増えてきていて、2020年にはインターネットトラフィック全体の82%が動画になるとも予測されている。そんな中で、現在不足しているのが、単純なアーカイブではない”コンテンツ動画“である。」とのこと。
今回はこの”コンテンツ動画“制作を盛んに行なっている、NewsPicksさんから3名にきていただき、お話ししていただきました!
『NewsPicks』とは?
『NewsPicks』とは、株式会社ユーザベースグループのニューズピックスが運営するソーシャル経済メディア。
「経済を、もっとおもしろく。」を掲げるソーシャル経済メディアで、ユーザー数は約420万人。主に国内外100以上のメディアの経済ニュースのほか、NewsPicks編集部が作成するオリジナル記事や動画コンテンツを発信。
WEBサイト、アプリ、イベント、雑誌、書籍などさまざまな媒体を展開する『NewsPicks』だが、動画分野では落合陽一らが出演する「WEEKLY OCHIAI」など、圧倒的に見られるコンテンツを作り続けている。
NewsPicksの動画コンテンツ『NewsPicks Studios』の制作現場を知る
まずは、安岡氏からのお話。
キャリアは地方局からスタートし、日経グループを経て、NewsPicksへ入社。
その後、子会社としてNewsPicks Studiosを去年設立し、チーフディレクター/プロデューサーに。
新しい価値を生み出す
「イノベーティブなこと・誰も思いついていないことを生み出すのはかなり難しい。そこで、既存の概念などの**「あるもの」と「あるもの」を掛け合わせる**ことで生まれる、新しい価値があるのではないか」とのことです。
落合陽一×ホワイトボード×アップデートのように「あるもの」と「あるもの」を掛け合わせることで新しい価値が生まれる
プロデューサーとして大切にすべき3つのコト
今まで400本以上を作ってきて気がついた、プロデューサーとして大切にすべき3つのコトがあるそうです。
1.プロデューシングとは、場づくりである。
「プロデューサーは場所を作る。映像は画面の中でいかに素晴らしい世界を作るかということだが、それよりこちら側でどういった場でそれを作っているのか、これが何より大事。例えば、スタジオのハラハラしている様子は視聴者にも伝播する、ということ。」
2.どう作るか:どう届けるか=100:100
「コンテンツ自体を一生懸命作るのは当たり前だが、特にWeb動画だと、どう届けるかの方が大切なのだと気がついた。どう作るかと、どう届けるか、どちらにも全力で取り組む必要がある。」
3.ユーザーは”満足”だけにお金を払い続けてはくれない
「私たちは満足の先にあることを、動画コンテンツを通して、ユーザーへ提供しなければならない。そして、満足の先に絶対あることが**『感動』**である。」
「そして、お金を払っていただけるようないいコンテンツを作るということは…」
「このために、どのような仕掛けをするか、画作りをするか、それをどうやって届けるか、などを日々考えながら、チームのメンバーとコンテンツを作り続けています。」
NewsPicksアカデミアの有料コンテンツ『MOOC』をディレクションする
続いてのお話はNewsPicks アカデミアの MOOCを担当している清水氏。
ちょっと変わった経歴の持ち主です。
NewsPicks アカデミアとは?
NewsPicks Academiaとはこのようなサービスです。
そして今回この中の**MOOC**(Massive Open Online Course)についてお話ししていただきました。
「良い動画」を(高確率で)作るために必要な能力は、、
「編集ソフトが使える、ということももちろん大事ですが、そもそも・・・」
「良い動画」を「高確率」で作るために必要な能力、それは
「ディレクション」である
そもそもディレクションとは
「プロの映像制作者は、これを高確率で狙っていかなければならない。」
MOOCにおけるディレクション
では、NewsPicks MOOCではどうなのか。
MOOCでは「ビジネス知識」を「楽しく・わかりやすく」伝えることをディレクションの基礎においている。
「講師の方にお願いして、決め台詞を言ってもらったり、キーワードをTシャツにプリントしてもらったり、書道家もされている講師の方には、次回予告を習字でお願いするなど、ユーザの皆さんに飽きずにみて頂ける工夫を常に考えている。」
ざっくりまとめると、3プロセスで意識して「良い動画」を産む確率を上げることを大事にしています。
1.企画・構成
あらゆる可能性を探る・考え抜く
2.撮影
場づくり・違和感へのアンテナ・度胸
3.編集
視聴者の気持ちになって考え続ける
このどれも妥協せずにやることが大事ということを強調していました
ディレクション、大事
「とにかく、映像を作るときには『どうしたらもっと良くなるのだろう』『自分はこの動画で何を見せたいのだろう』ということをよく考えると、より良い動画ができる。」
NewsPicks流ソーシャルメディア活用法
続いて、土山氏。
NewsPicksではプロモーションやSNS運用などに携わっています。
ソーシャルメディアの役割
「NewsPicksのサービスの手前にファン層をまず作っていこう、ということでTwitterとYouTubeを更新している。」
「やっていることは主に3つあり、1つ目はNewsPicksらしさを出していき、我々のことを知ってもらうこと。2つ目は、ファンになってもらうこと。そして、最終的にはユーザーになってもらって、有料会員になっていただくということに取り組んでいる。」
全てはここから始まった「WEEKLY OCHIAI」
「WEEKLY OCHIAI」投稿以前は会員ではない人へのPRが課題だったそう。
しかし、「いわゆるダイジェスト動画だが、この動画を投稿した際に非常に反応が良かった。ここから、動画を使って『WEEKLY OCHIAI』のPRをし、有料会員ではない方々へ、番組自体を知っていただくきっかけになった。これを他の番組でも取り入れた。番組中のパワーワードを切り取って、『面白いな』というように気持ちを掴むことを狙って作っている。」
“美味しい”部分を見せる量による違い
「例えば、『NEXT』という番組の同じ回を取り上げている動画。左側は、番組冒頭のダイジェスト部分を切り出したもので、この動画では核心には触れていない。右側は番組の美味しいところを切り出している。やはりこちらの方が見てみたいということなので、美味しいところを見せることが重要だと考えている。」
ソーシャルメディア編集部の役割
「ソーシャルメディア編集部は、記事や動画を我々なりに再編集をして出していく、ということに取り組んでいる。最近、**『全く出し惜しみをしない動画』**というものを出した。普段、有料記事として、グラフィックで解説しているものを6分の動画として見せた。このように記事を動画化して紹介したりもしている。」
今後の方向性
「番組の”流通”という観点から見た、今後の方向性として、ソーシャルメディア編集部として、他の人があまりやっていない方法で、動画や番組をPRしていく活動を進めていきたい。」とのことです。
インハウス 制作におけるアドビの動画ツール
最後はアドビ ビデオ製品担当の田中から紹介。
「SNS写真より動画の方がエンゲージメントが高い。」
「実際、5Gの登場やTwitterのトラフィックは7割が動画になっているということで、動画広告などが非常に増えているというのが実情。」とのこと。
「そして、動画と一口に言っても、SNS向けなどの簡単なものとハイエンドの映像(4Kや8Kなど)というように二極化している。」
Premiere Rushのリリース
「これまで、アドビとしてはハイエンド向け動画編集ソフトとしてPremiere Proを提供していたが、この市場の変化を受けて、昨年Premiere Rushをリリースした。」
「RushではPremiere Proよりも簡単に、どんどんかっこいい動画を作れる。
編集から、カラー/オーディオの調整を簡単にできる。そして、クラウドを使うことで、マルチデバイスで編集が可能ということが特徴。」
アドビの動画編集ツール
「アドビは今まで通りのPremiere Proはもちろん、先ほど紹介したRush、モーショングラフィックスも作れるAfter Effectsという製品も提供していて、After Effectsも最近インハウス動画制作をされる方に人気。
このように3種類あるアドビの動画編集ツールはこのように使い分けられる。」
「簡単に動画を作って、SNSへ簡単にアップするならPremiere Rush、大量の素材を活用して編集するならPremiere Pro、最近増えてきた6秒動画などの印象付けが大事な動画はAfter Effects。このように使い分けていただいて、効果的なSNS向け動画をたくさん制作していただきたい」とのことでした。
動画はまだまだこれから発展する!
いかがだったでしょうか。
NewsPicksさんのお話を通して、動画はまだまだ将来性があって、発展していくのだな、と感じました。
また、自分も発展させていく側になれるような、そんな動画制作を続けていきたいとも感じました!
皆さんも、この記事を参考に、ぜひ”見られる“動画を制作されてください!