Adobe Stock プレミアムコレクション – 写真家 Goto Aki 氏 #AdobeStock

連載

Adobe Stock コントリビューターのご紹介

ストーリー性があり表現力の高い作品を、世界中のクリエイターから集めた「プレミアムコレクション」をご存知ですか?Adobe Stockのキュレーションチームが、優れたクリエイターの作品からセレクトしたもので、広くご利用いただいています。

このブログでは、日本からプレミアムコレクションにご協力いただいているアーティストにフォーカスをあて、その素晴らしさをご紹介します。今回は写真家の Goto Akiさんに、これまでのキャリアから、こだわりのポイントについてお伺いしました。

◾️無意識に撮っていた風景

Q:写真家になった経緯を教えていただけますか?

21歳のときにバックパックで世界一周をしたのですが、当時はネット環境がない時代でした。その旅では、グランドキャニオンやカッパドキアのような絶景だけでなく、街の混沌の中を歩いてあらゆる異文化に触れ、人と話すというのが旅の目的でした。

大学を休学して行ったので、旅の中で将来の仕事についても考えていたのですが、道中で魅力的な二人に会いました。

ひとりは日本人の写真家です。写真でご飯を食べているという方と初めて出会い、好きなことをして行きている人が持つ、活き活きとした表情が印象的でした。もうひとりはタイの島でお父さんが商社マンだったという学生です。海外駐在で、お給料をもらいながら海外のプロジェクトができると聞き、現実的でありながら夢のある話として心に残りました。

世界一周の延長線上に、写真家としてまた海外へ出ていくのか、もしくは商社マンとして海外駐在をするのかという選択肢があるなかで、新卒でしか入れない商社を選びました。結局、2年間会社勤めをして、海外へ行く機会にも恵まれ、仕事は面白かったのですが、写真家になりたいという気持ちは消えませんでした。

25歳で会社を辞めた後は、二年間写真学校で写真を学び、授業の一環で渋谷のスクランブル交差点などでストリートスナップを撮っていました。卒業後は上海、バンコク、東京などのアジアの都市で撮影したスナップ作品を展覧会で発表しました。1999年から2002年にかけては、継続して写真展で発表できた喜びを感じる一方、心の奥底では何か違うなという違和感も生まれていました。

「このまま進めても作品の発展がないのではないか」

確固たる作品ができるまでは個展はやらない方がいいという直感に従い、2002年の段階で一度、展覧会の活動をやめたのです。

特定のテーマを決めずに、模索しながら撮影を続ける中、2006年頃に一度、それまでに撮ったフィルムやデジタルのデータをすべて見返す機会をもちました。その時にいいなと思った写真は、自分が無意識に写していた風景の作品だったのです。

自分はストリートスナップで人を撮っていたはずが、いつの間にか山や大地など、風景のモチーフをすでに撮影していたことに気づくことができました。

世界一周で出会った惑星的な光景に、未だなお惹かれ続けていることを、12年の時を経て再認識したのです。

◾️心へ直接、訴えかける作品を撮りたい

Q:ご自身のスタイルをどのようなものだと思っていますか?

作品は具象と抽象の間で着地したような作品が多いです。見る人によっては言葉に置き換えられないから「わからない」という人もいると思うのですが、その分解釈の自由度が高いと思っています。

以前、重い病にかかっていた女性が水の作品を見て、心の中に染み入るような感覚だとおっしゃってくれました。このように心へ直接、イメージがそのままイメージとして、鑑賞者に訴えるのが僕の作品の特徴だと思っています。

Q:GOTOさんの作品は一般的にイメージする風景写真とは違いますね


https://stock.adobe.com/jp/contributor/208953583/goto-aki?load_type=author&prev_url=detail&asset_id=285054870

Goto Aki/Adobe Stock

芸術という漢字があります。東京藝術大学の「藝」とは、古い旧字体を使っています。対して芸能人の「芸」は、僕らがよく使う学芸会の芸です。この2つのゲイとは同じ発音で両方ともゲイジュツと使われながらも、意味が真逆なのです。

藝の字というのは、そもそもはタネや木を植えるという意味があります。つまり藝術作品の写真は、人の心の中にタネを植える行為であり、答えになるものを探しているのではなく、みなさんの心の中に入って発芽し、いろいろな解釈として広がっていくものです。僕自身の作品はそちらを表現していると感じています。

Googleなどの検索で答えらしきものが見つかる世の中ですが、例えば、具体的な富士山というキーワードで検索するよりも、もう少し、心に関する癒し・安らぎ・静けさなどのキーワードで見つかりやすい作品だと思います。

Q:今年、terraというタイトルで写真展や写真集を出版されましたが、それについて教えていただけますか?

Goto Aki / Adobe Stock

今回、Adobe Stockに預けているものは直近の3年間で撮った作品になります。こちらは「terra」 の作品のなかから選んだ一枚です。

2007年頃から日本の風景に向き合い始めて写真を撮ってきたのですが、誰でもアクセスできるような湖が、撮影後に調べると3万年前の火口のあとであることがわかり、僕は人間中心の時間軸とは違う地球の一部としての日本を撮影しているのだなという確信に至りました。

言語的にもすぐに意味がわかってしまう「地球」や「アース」よりも、単語の意味合いとして耳馴染みが良いけれど、意味はなんだろう?と揺らいでもらえるような言葉として「terra」を選んだのです。

◾️「悪い天気はない」ということわざ

Q:ご自身の作品で思い出に残っているものを教えていただけますか?

僕が立っている場所は竹富島で、右のほうに島の影が映っているのですが、それは西表島です。

Goto Aki / Adobe Stock

いわゆる、悪天候。風も強いし曇っていて光も入らないような状況です。

風景と向き合うときにドイツやスイスで言われている「悪い天気はない」ということわざがすごく好きで。「悪いのは天気ではない、お前の服装だ」と彼らは言います。

つまり地球のいろいろなところで起きている気象を、良い悪いというのは人間の勝手な主観であり、地球の循環にとってはすべて必要なものだから、人間が合わせようというのです。

僕自身も沖縄だと綺麗な海を期待して行きますが、悪天候でも僕はがっかりせず、むしろチャンスだと捉えます。

これは西の空なのですが、どんよりした雲の一部が開けて光が射し込み、波が動くなかで光の束がカーテンのように左から右のように移動していきました。

写真家が撮れる風景というのは、どのようなレンズを使っていても地球全体からするとほんの一部です。一枚一枚の写真の背景に、どんな力や時間が作用して風景が生まれるのかと考えると、太陽、月、地球の引力や自転、寒暖差による風の発生など、宇宙の物理的な法則が影響していると思うのです。ですから、目の前の風景は常に新陳代謝されて新しく、一期一会の地球の表情なのです。

今、竹富島の同じところに立ったとしても、同じ写真は二度と撮れないと思います。

◾️不特定多数の人がどういう見方をして買っていくのか興味がある

Q:adobe stockに参加していただいた動機はなんですか?

作家も写真集やプリントだけではなく、変化の時代に僕らは生きており、作品を届けるものの一つとしての Adobe Stockがあると考えています。

売れるかどうかも未知数ですが、不特定多数の人がどういう見方をして買っていくのかというリサーチの意味も含め、非常に興味があります。

Adobe Stockはそういう意味で展覧会やトークショーに来るお客さまとはまた違います。一般のユーザーで素材としてパッと見て、何かを感じ、探しているテーマと一致しているかどうかで見ると思いますので、逆に僕が教えてもらえるかもしれないですね。こういう意味合いが自分の作品にあるんだよ、と。

いかがでしたか?今回ご紹介した美しい作品は、プレミアムコレクションとしてAdobe Stockでご利用いただけます。また、このようなプレミアムアセットに以外にも、お求めやすい「通常アセット」も豊富にご用意しています。現在、通常アセットが毎月10枚利用いただける年間サブスクリプションが1ヵ月無料となるキャンペーンを引き続き継続中です。

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