Photoshop iPad版に「被写体を選択」機能を追加しました #Photoshop
Photoshop iPad版で本日から「被写体を選択」機能が利用可能になったことをご報告します。クラウドドキュメントの高速化とあわせ、2019年11月のAdobe MAXカンファレンスで発表されて以来、本製品に2つのメジャーな新機能を追加することができました。
Photoshop iPad版はこちらからダウンロードしてください。
本記事では、本日リリースされた両機能についてご説明します。
被写体を選択
この機能は、先日開催されたAdobe MAX JAPANの基調講演において、iPad版で動作する様子をスニークプレビューしたものです。これほどパワフルでありながら使いやすい選択機能を備えたiPadアプリは他に存在しません。
「被写体を選択」は、Adobe SenseiがAI(人工知能)とマシンラーニング(機械学習)を駆使し、画像内の被写体を自動的に識別することで、手間のかかる範囲選択作業をスピードアップします。本記事内に使われているサンプル画像の選択範囲はすべてワンタップで作成されたもので、追加の範囲指定や微調整は一切行われていません。ぜひご自身でお試しください。
この機能は、Photoshop デスクトップ版と同じように機能し、同じ結果を生成するもので、iPad版における選択範囲作成を機能面と速度面で大幅に強化します。また、iPad版とデスクトップ版のいずれかを使って作成した選択範囲は、他のデバイス版のPhotoshopに切り替えたときもクラウドドキュメントのおかげで読み込みや書き出しといった余計な手順なしに一切の情報を損なうことなく保持されるので、そのまま作業を続行することが出来ます。Photoshopデスクトップ版に初めて「被写体を選択」機能が搭載されたのは2018年のことでした。2019年のバージョンではこの機能はデスクトップ版とiPad版の双方に搭載され、選択範囲の境界はマスクとして使った際によりクリーンなものとなり、実行速度も大幅に(iPad版も含め、ほぼ瞬時といえるほどまでに)高速化されました。
エンジニアの一人に、この機能がどのような仕組みで成り立っているのかを聞いてみると、イメージサイエンスの最先端技術として各種の非公開技術と複雑な計算をほどこした結果だという説明でしたが、簡単に言うとこうなります。Senseiには選択範囲作成における異なる役割に特化したいくつかの人工知能および機械学習のアルゴリズムが搭載されており、それぞれが連鎖して動作することで処理結果を生成します。例えば、あるアルゴリズムが選択範囲を生成すると、別のアルゴリズムがシャープな境界を生成するためにノイズを除去する、さらに別のアルゴリズムが、、、といった具合です。私がとくに感銘を受けたのは、素晴らしい範囲選択がほぼ瞬時に、ワンタップで生成されるのは、開発チームがすべてのアルゴリズムのパフォーマンスを個別に最適化した成果だということでした。
チームはまた、膨大な画像を使ってアルゴリズムのモデルを”トレーニング”しました。さまざまな被写体やシーンを確実に認識できるよう、多様なコンテンツセットを用いたのです。この機能はまだ、すべての任意の選択範囲作成に完璧に対応するわけではなく、うまく選択できない画像も数多くあることでしょう。しかしながら、チームは現在もより幅広い種類の画像に対応できるよう最適化に取り組んでおり、継続的に改善しています。とはいえ、本記事に掲載したサンプル画像をご覧になれば、シーン内に異なるタイプのあるいは複数の被写体が含まれる場合、また被写体の輪郭がなめらかな場合と荒い場合、そして多様なバックグラウンドを含むなどのさまざまな状況に、この機能が現時点でも対応できていることがお分かりいただけると思います。
来年に向けた最優先事項のひとつは、毛髪や毛皮のように非常にトリッキーな被写体の選択をさらに強化することです。また、より一層複雑な画像であっても処理結果にさらなる拡張や調整を加えられるようにします。「被写体を選択」の今後の強化は、デスクトップ版とiPad版の両方で展開されます。
「被写体を選択」は、今後iPad版にお届けする素晴らしい選択範囲作成機能のひとつに過ぎません。選択範囲作成のさらなる強化のため、私たちは他にもいくつもの機能開発に取り組んでいるところです。
クラウドドキュメント
先週私たちは、クラウドドキュメントのアップロードおよびダウンロードエクスペリエンスの大幅なパフォーマンス強化を提供開始しました。この機能はすでに、75MB以上のPSDに対して利用可能になっています。より小さなファイルを対象にした速度改善は次回アップデートで対応します。ファイルのサイズとご利用のネットワーク接続速度にもよりますが、このアップデートによってアップロードとダウンロードが最大90%高速化します。
ユーザーインターフェイスの強化
本記事でご紹介したようなメジャーな新機能だけでなく、私たちはユーザーからの、アプリケーションを横断したワークフローおよびエクスペリエンスの強化を求める声にも対応しています。ことエクスペリエンスに関していえば、小さな改善が大きなインパクトをもたらす場合が多くあります。本日、私たちはUIにより一層の一貫性をもたせ、使い勝手を向上するいくつかの強化に加え、レイヤーとレイヤー調整コントロールおよびテキスト入力に関連した重要なユーザビリティー強化を実施しました。
フィードバックをお寄せください
Photoshop iPad版を皆さんにお届けできることを嬉しく思います。私たちの開発プロセスでは、皆さんから寄せられた使用感、フィードバック、視点を最重要視し、iPad版の今後のあるべき姿を示す指針として真摯に受け止めています。ぜひ、コミュニティフォーラムに参加して、フィードバックをこちらに(英語)お寄せください。ご意見をお待ちしております。
オンラインイベントにご参加ください
フォトグラファーであり、マルチメディアアーティストのナタリア セス(Natalia Seth)氏が、Photoshopで画像を組み合わせ、クリエイティブなカラーリングを適用し、ポートレート作品をレタッチする様子をAdobe Liveで配信します。さらに、本記事でご紹介したPhotoshop iPad版の新機能「被写体を選択」を実演し、この機能が彼女のワークフロー改善にどれほど役立っているのかをご覧いただけます。
ナタリアはカラフルで風変わりでシュールなセルフポートレートで世界的に認められています。彼女のInstagramをぜひご覧ください。
日本時間:2019年12月19日と12月20日の午前2時30分から4時30分(米国太平洋標準時:2019年12月18日と19日の午前9時30分から11時30分)まで、番組ホストおよびアドビエバンジェリストのポール トラニ(Paul Trani)と一緒にライブ配信を行います。ぜひチャット経由で会話に参加してください。
ライブ配信はこちら
最後に
皆さんのためのPhotoshop iPad版の開発に関われることを非常に嬉しく思っています。そしていま一度、皆さんがPhotoshopを使って制作する素晴らしい作品に触発されながら我々の毎日の仕事に取り組めることに感謝を示したいと思います。
これからも皆様のフィードバックを受け、進化していくPhotoshop iPad版に期待ください。
この記事は2019年12月16日に公開されたPhotoshop Reimagined for iPad: Introducing Select Subjectの抄訳です。