PDN主催フォトコンテスト:受賞作品の共通点はロケ地の魅力 #AdobeStock
Adobe Stock コントリビューターのご紹介
女性のポートレート、温泉につかる野生のニホンザル、カリフォルニア海岸の上空からの眺め。受賞作品同士の共通点は一見なさそうですが、注意深く見ると、これらの作品には一貫して「ある特別な場所が持つ美しさ」と呼べる主題があることがわかります。
Adobe Stockで活躍するRyan Longnecker氏、Michela Ravasio氏、岡田裕介氏は、2019年、業界最大規模の年間写真コンテストの1つで誉れ高い「PDN Photo Annual」のストックフォト部門で受賞を果たしました。カリフォルニア (米国)、イタリア、日本という異なる国から輩出された受賞者と彼らの主題は、Adobe Stockコレクションの特徴であるグローバリゼーションや多様性を反映しているといえます。
「PDN Photo Annual」の審査員には、魅力的な画像を日頃から探し求めている、経験豊富なアートバイヤー、クリエイティブディレクター、フォトディレクターなどがいます」とPDNの編集者であるHolly Hughes氏は語っています。「Photo Annualのストックフォト部門において、Adobe Stockで作品を公開している受賞者たちの作品はそれぞれ非常に個性的であると同時に、今年のビジュアルトレンドも共通して作品に表れていました。それは、多様な主題や文化に対して敬意を払い、個性を大事にしながら、対象への関心を表現している点。そして、写真に時事的な要素があり、かつ芸術性や作家独自の視点もあるという点です」
受賞作家たちと、彼らの着想の源となったユニークな場所をご紹介します。
Ryan Longnecker
Ryan Longnecker氏の受賞作品:カリフォルニア州ラグナビーチの海岸に打ち寄せる波 / Adobe Stock
Ryan Longnecker氏は、カリフォルニア州ビショップのイースタンシエラ山脈の麓にある町で育ちました。そこで彼は、人生において、変化がゆっくりで些細な物事にもたしかな価値があることを学びました。そのような考え方は作風にも大きな影響を与えています。彼の作品は、旅行や風景のはっとするような光景が特徴で、テクスチャ、色、線、形など、構成上の細部、幾何学的な細部を重視しています。撮影にドローンを導入したユニークな撮影方法により、地上からは見ることのできない細部を上空から捉えています。ラグナビーチはドローンを使用して撮影できる特別な場所の1つでしたが、現在は法律によって使用が規制されています。
灯台の螺旋通路、Ryan Longnecker / Adobe Stock
「ラグナビーチの水はとても澄んでいます。撮影とは関係なく、ここにいるのが好きですね」とRyan氏は語ります。「(このエリアには)入り江と美しい崖があり、撮影したくなるような美しさと多様性に富んでいます。また、水が非常にきれいで澄んでいるので、緑がかった青の色彩が無限に変化する水面に美しくきらめいています。見ているだけで楽しいですし、編集はもっと楽しいですよ」
Ryanの作品は、ファインアートとストックフォト、両方の分野で成功を収めています。細部を捉える彼のアプローチが、世界中の写真愛好家たちの共感を集めているのです。
Ryanは「優れたストックフォト作品は、ダイナミックであると同時に、多様なメッセージを伝えることができます」とストックフォト作品に対する自身のアプローチについて語っています。「これは文字通りにも比喩としても言えることですが、人は様々な形で水と感情的に結び付いているので、想像以上に人を引き付ける作品になる可能性があると思います」
Michela Ravasio
Michela Ravasio氏の受賞作品:カラフルな生地でカモフラージュされた女性の肖像 / Adobe Stock
Michela Ravasio氏はこれまでビジュアルアートと写真全般に強い関心を寄せてきましたが、映画、グラフィックデザイン、絵画にも大きな影響を受けており、彼女の受賞作品にはすべての主題が表れています。Michelaは友人の紹介でストックフォトビジネスを知った後、Stocksyに作品を供給するようになり、その後ストックフォトは彼女の主要な仕事の1つになりました。元々は日常生活の写真をメインとしていましたが、イタリアのレッコで開催された地元ボランティアイベントで、受賞作品の被写体になっているYabaに出会った後、スタジオ撮影することに決めました。
「私が一番好きな被写体は、様々な文化背景における人々です。ボランティア活動中にYabaに出会い、彼女が出身地であるギニアビサウ産の生地を使って服や物を作っていることを知りました」とMichelaは語ります。「それらのカラフルなテキスタイルを使ってポートレートを撮ることに興味を持ち、彼女とこの撮影を企画したのです」
Michelaは、出会いを通じてYabaの物語と彼女の文化背景を知ることができたことに感謝しています。彼女たちは、移民の子供たちを対象とした放課後プログラムで一緒にボランティア活動をし、子供たちがイタリア語やイタリアの文化を学ぶ手助けをしました。
Yabaが被写体になっている写真は、彼女のポートフォリオの他の作品と比べて独特で、とりわけストックフォトにおいて様々な写真のスタイルを試行錯誤している他の写真家のインスピレーションの源になっています。
「ストックフォトの場合、高品質で見栄えがよく、表現したいコンセプトに合致する画像を作る必要があります」とMichelaは言います。「そして大事なことですが、それはオリジナルな作品でなければなりません」
岡田裕介
岡田裕介氏の受賞作品:温泉のニホンザル、地獄谷野猿公苑 / Adobe Stock
岡田裕介氏は普段は自然写真家として海外で活動していますが、長野県山ノ内にある地獄谷野猿公苑に生息する、ニホンザルを継続的に記録することを自らのミッションの1つと考えています。
「ここは、陸生の野生動物を初めて撮影した思い出深い場所です」と岡田氏は言います。「水中生物とは異なり、サルは人間に近いので、初めて公園を訪れたとき自分の幼い子供と子ザルの間に多くの類似点を発見し、その楽しさに惹かれていきました」
岡田氏は、写真を通して人間とニホンザルの感情の類似点を描くことを目指しています。そのような瞬間を上手く捉えるために、動物と同じ位置でカメラを構え、レンズを動物の目線に合わせ、サルを注意深く観察して感情を想像してみます。受賞作品となった写真の被写体は、母親と思われるサルの隣で温泉に浸かっている赤ちゃんザルです。
「寒い冬を乗り切るために、サルがそろって温泉を楽しんでいるのがわかります。気まぐれな動作、表情、心温まる子育ての瞬間。このような光景とサルの表情は、まるで日常生活での人間を見ているようです」と岡田氏は自作について語っています。「撮影のため毎年この場所を訪れていますが、何度訪れても飽きることがありません」
温泉に入るニホンザルの群れ、地獄谷野猿公苑、Yusuke Okada / Adobe Stock
受賞した写真家の皆さま、おめでとうございます。Adobe Stock プレミアムコレクションではRyan、Michela、岡田氏の別の作品もご覧いただけます。
・・・
いかがでしたか? Adobe Stockでは、皆様からの個性あふれる作品を募集しています。詳しくはこちらをご確認いただき、Adobe Stockのコントリビュータープログラムに参加ください。
この記事は2020年1月13日に Adobe Stock のアーティスト担当である Jane Kim により作成&公開されたPDN Photography Award Winners on the Power of Placeの抄訳です。