企業が今すぐ動画内製化に取り組むべき理由 第4回 「動画内製化とカメラ機材」について #PremierePro #PremiereRush

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企業がいますぐ動画内製化に取り組むべき理由

みなさん、こんにちは。株式会社火燵の安部です。(Twitter: @kotatsu_kun)

今回は第4回「動画内製化とカメラ機材」についてお伝えします。

動画内製化の企画が進めば機材調達の話になってきます。「悩む」という意味では、この機材調達は一番ハードルが高いかもしれません。何故なら動画内製化の中で人件費以外で一番多くの費用が発生するのが機材調達だからです。経費ですから当然、企業内ではコスト削減の動きが働きます。ノウハウが無い中、はじめて内製化を行う企業からすればどの機材も同じに見えるでしょう。今回は機材の中で絶対必須のカメラ機材についてまとめてみました。数の多い撮影関連機材ですが、作る動画と撮るカメラが決まれば、必然的に関連機材もほとんど確定します。まずはカメラという事で自分達が行う動画制作においてベストのカメラ機材を選ぶ為の考えについてまとめました。

カメラ機材の種類

動画内製化についてカメラ選定の選択肢は、大きく3つあると言えます。スマートフォン、デジタル一眼カメラ、ビデオカメラです。

1)スマートフォン

まず動画撮影を行う上で一番ハードルが低いのがスマートフォンです。Premiere Rushをはじめとした、カメラ撮影用のアプリを利用して動画を撮影すれば、ワンランク上の撮影なども可能です。動画内製化を実施する上でスマートフォンの機能を駆使しながら、スマートフォンで作成可能か判断する事をお勧めします。室内で動画を撮影し、簡単なテロップをつけるような動画ならスマートフォン撮影でもOKです。また、拡張型外部レンズなどを使用して特殊撮影を行うことで撮影の幅も広がります。まずはスマートフォンで挑戦してみて自分のイメージと合うか試してみてください。

2)デジタル一眼カメラ

シーンによって雰囲気を変えたい、映画の様に撮影したいなど、スマートフォンでは表現が難しい内容であれば、デジタル一眼カメラを検討することになります。デジタル一眼カメラの場合、被写界深度が浅く背景をぼかした映画のような表現をする事が可能で、こういった表現はスマートフォンや一般的なビデオカメラには苦手な表現になります。デジタル一眼カメラの場合、完成予定動画の表現に合わせてレンズを交換する事が前提となります。表現力は高いのですが、音声録音が苦手な機種が多いのも特徴と言えるでしょう。

3)ビデオカメラ

ビデオカメラでの撮影は、表現力においてデジタル一眼カメラなどに劣るものの高い機動力が画作りにおいて武器になるでしょう。ビデオカメラは構造上大きくなってしまう反面、ズーム倍率が高く、なんと言っても被写体のアップを撮影するのが得意です。また音声を同時に収録する事が想定されていますし、標準の音声収録機能はビデオカメラの方が優れていますし。高音質や複数の音声収録をしたい方は外部マイクをつけての撮影がしやすいでしょう。室内収録系でスマートフォンを卒業した方々は、ビデオカメラを選択する傾向があるようです。

目的にあった機材選定方法

ではどのカメラでどのような動画が撮影できるのか実際に相談のあった事例を踏まえて記して行きます。

1)チュートリアルや採用向けインタビュー動画の場合 撮影ハードル:★★★

ビデオカメラで撮影する事をお勧めします。屋内で撮影する場合、照明の導入もお勧めしておきます。また声をクリアに録音する必要があるので、話し手の近くにマイクを置いて収録しましょう。それができない場合はワイヤレスマイクがあると便利ですね。照明やマイクなど周辺機器も必要とされる場合、ビデオカメラのランクを少し下げて導入される企業様もいらっしゃいました。その場合は20万円前後のものが人気です。ワイヤレスマイクなら3〜5万円前後のものから考えてみてください。照明も値段相応でして、やはり高価な方が明るくて色が綺麗です。部屋全体を照らす明るいものが必要なら10万円以上のものを、人物や部分的にのみ明るくしたい場合などは5万円前後のものから検討してみてください。照明は2つ以上あると便利です。

2)企業プロモーションビデオの場合 撮影ハードル:★★★★★

企業プロモーションビデオを撮影するなら演出的に仕上げたいと誰でも思うはずです。その場合はデジタル一眼カメラが活躍します。デジタル一眼カメラなら動きのある動画を誰でも撮影できるように設計されたブレを防止するジンバルなどの導入も良いでしょう。クリエイティブレベルの高いプロモーションビデオを作成する場合、使用する機材は撮影だけでも多岐に渡り、必然的に導入コストは高くつきますが、その分クオリティーも格段に向上します。

3)社内の日常などSNS向けの場合 撮影ハードル:★

デジタル一眼カメラやスマートフォンをお勧めします。高価な機材は必要ないかもしれません。むしろ作業スピードを重視してカメラ機材を選択しましょう。日常の1シーンを切り取り、SNSにアップする内容であれば、業務としてできる限り早く撮影からアップロードまで行いたいはずです。ちょっとした編集でアップできるような手軽さが重要なので、その場合はやはりスマートフォンが有利です。即時性よりも雰囲気を優先したいなら被写界深度の浅いデジタル一眼カメラ動画がおすすめです。ちょっとした編集で素材を繋げれば、InstagramやTwitterにぴったりの映え動画を作成可能です。

4)イベント撮影や屋外撮影 撮影ハードル:★★

映像表現にこだわりたい場合、短時間収録ならデジタル一眼カメラ。音声を綺麗に収録したり、お客様が多く、カメラマンの徒歩行動が制限されたり、長時間収録ならビデオカメラをお勧めします。イベントや屋外撮影は機動力が重要視される現場でもあります。カメラのレンズが広く撮れるかどうか、広角に強いかどうかは大切なポイントになります。撮り直しが可能かどうかも大切なポイントです。撮り直しがきかない現場であれば複数台機材を用意しておく必要があります。記録メディアの限界とバッテリーの連続撮影可能時間は必ず把握しておきましょう。業務用に近いものをお勧めします。

5)自社商品紹介動画 撮影ハードル:★★★

内容にもよりますが商品の場合は商品自体の大きさがポイントになります。よく相談のあるものはECサイトで売られるような宅配可能なサイズの商品の撮影です。この場合は写真と動画を両方撮影できるデジタル一眼カメラがお勧めです。ビデオカメラも写真の撮影機能付きのものもありますが、動画と写真では色情報が全く違うので、両方撮影したい場合はデジタル一眼カメラを選びましょう。

以上、いかがでしたでしょうか?商品系動画はデジタル一眼カメラ、人物系動画はビデオカメラの導入というふうに私が相談を受ける限りでは、くっきり分かれています。動画内製化を検討される企業全体の割合でいうとデジタル一眼カメラの導入が多いです。きっと皆さんが作りたい動画にぴったりの機材もあるはずです。ぜひチェックしてみてください。不明点があればTwitterで気軽に質問をください。

次回、第5回は「動画内製化と編集アプリ」をお伝えします。動画を編集するにあたり編集ソフトはどんな選択肢があるのか?編集ソフトで可能な事についてお伝えしたいと思います。

アドビが勧める動画内製化の詳細については下記をご覧ください。

https://www.adobe.com/jp/creativecloud/business/teams/video-work.html

*価格についてはあくまで機材購入の目安にしてください。作成する予定の動画の内容では当てはまらない時がありますので、ご注意ください。

執筆者プロフィール

株式会社火燵 代表取締役 安部貴士(Twitter: @kotatsu_kun)

https://kotatsu.info

香川短期大学デザインアートコース非常勤講師(映像制作)

上場企業の動画マーケティングや動画内製化・インハウスビデオのコンサルティングを手掛ける。

総務省四国総合通信局登録の映像制作講師。全国の大学や商工会議所で動画制作やマーケティングの講演も行う。