30周年を迎えたPhotoshopの新機能:コンテンツに応じた塗りつぶし、トーンカーブ、ぼかし(レンズ)の向上、フォントの自動管理など#Photoshop

2月19日はPhotoshopの30歳の誕生日です。10,950日もの間、アーティスト、デザイナー、写真家をはじめとする多くの人々が、Photoshopの魔法のような機能を駆使し、その想像力で世界を刺激してきました。

#PsILoveYou30でPhotoshopへの思いを共有しましょう。

バージョン1.0リリース前のPhotoshopが初めてジェームズ キャメロン監督の映画「アビス」(原題:Abyss)の視覚効果制作に使われて以来、CS2で登場した「修復ブラシ」から「コンテンツに応じた塗りつぶし」(英語)の魔法のような機能まで、Photoshopをかたちづくってきたさまざまな進化を、この記念すべき日に祝福したいと思います。振り返るとその間には他にも数々の驚くべきイノベーションがありました。2016年にAdobe Senseiの人工知能(AI)とマシンラーニング(機械学習)を取り入れた結果、「被写体を選択」(英語)を含むさらに多くの素晴らしい機能が搭載されました。この後もこのような新機能を追加していく予定です。また、Photoshopは2019年にアカデミー賞(英語)を受賞し、iPadをはじめとする新しいデバイスにも活躍の範囲を広げることとなりました。

また、アーティストとエンジニアの長年にわたるコラボレーションにも敬意を表したいと思います。私たちがみなさんからのフィードバックとインスピレーションの数々を取り入れたツールを開発し、世界をより美しくするお手伝いができるのは彼らの働きのおかげです。

この誕生日を記念して本日、デスクトップ版とiPad版の両方でPhotoshopの素晴らしい新機能をリリースします。

Photoshopデスクトップ版

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コンテンツに応じた塗りつぶしのワークスペース改善

新しい「適用」ボタンを使えば、ワークスペースを離れずに複数の選択範囲を作成し、複数の塗りつぶしを適用できます。これにより、「OK」をクリックして結果を確定させる前に、塗りつぶしの細かな調整や試行が可能になりました。また今回のリリースでは、すべてのレイヤーを対象としたサンプル領域の指定を、コンテンツに応じた塗りつぶしワークスペース内で完結できるようになりました。これはご要望が特に多かった機能です。このワークフロー強化によりクリック数を減らし、より高度なコントロールを可能にし、最短距離で素晴らしい結果を出せるようになります。

この機能を担当したサイエンティストによれば、この機能の設計思想は次のとおりです。まず、数回前のリリースで、コンテンツに応じた塗りつぶしの全機能を1つのワークスペースに集約しました。以来私たちは、画像修正の現場における課題を確実に解決するために、ユーザーから画像をご提供いただくなど緊密な連携を通した機能強化に取り組んできました。その中で特に多く寄せられたご要望のひとつが、コンテンツに応じた塗りつぶしの処理を複数回適用した、より高度な塗りつぶしを、ワークスペースを離れずに行いたいというものでした。例えば、植物の枝が重なり合っている背後の被写体を消したい場合や、多様なパターンの領域が混在する複雑な画像を対象とした場合などが挙げられます。この課題を解決するために私たちがとったアプローチは、塗りつぶし領域を分割して扱い、各領域を個別に調整あるいは試行できる高度なコントロールを提供することで、より自然な塗りつぶしを可能にするというものでした。

「ぼかし(レンズ)」の強化

ぼかし(レンズ)の出力品質とパフォーマンスを改善し、処理をGPUで実行するようにしました。これにより、写真の前景、背景、またはその中間の領域を対象にぼかし(レンズ)による画像効果を適用した際のシャープネスや境界部分などを含む被写体の全体的な画質の自然さが大幅に改善されます。

また、この機能のスペキュラハイライトを調整することにより、より自然でカラフルな「ボケ」を再現できるようになりました。これにより、さらに自然で望ましい結果が得られます。

深度情報を持たない平面画像に自然なピンぼけ効果を後から適用する処理はとても複雑で高度なものですが、担当したサイエンティストによると、このGPU対応した新しい「ぼかし(レンズ)」は、物理学の第一原理および現実世界における被写体と光の相互作用を研究することで得られたアルゴリズムを使っています。このアルゴリズムは、3D環境を再現するために緻密に最適化されているため、可能な限り現実を再現した処理結果を出す一方で、計算負荷は最小限に抑えられています。この機能の開発には、数多くの研究と改善の繰り返しが必要で、博士号を持ったサイエンティストが数名関わっています。こうして、平面画像の被写界深度を仮想的に変更することで動的にぼけを再現し、なおかつミリ秒の処理速度で誰もが使える機能として実を結んだのです。

macOSのダークモードのサポート

macOS Catalinaで人気を集める機能のひとつにダークUIがありますが、この新しいダークモードのサポートがPhotoshopに追加されました。「ファイル/開く」や「ファイル/保存」メニューコマンドで表示されるようなシステムダイアログボックスは、macOSの設定に従い表示されるようになります。

「Appleメニュー/システム環境設定/一般」の外観モードに「ダーク」を設定すると、システムダイアログも暗い外観(ダーク)に表示されます。

パフォーマンス強化

他にもいくつかのパフォーマンス強化を主要な機能に対して実施し、マウス操作が、より満足度の高いシームレスなものとなりました。クリック操作によるパンやズームなどの使用感はよりスムーズで、応答性も向上しています。サイズの大きなドキュメントを扱っているときや、ハンドツールでカンバスをスクロールする際に、最も顕著にこの恩恵を感じられます。もしあなたがWindowsのスタイラスペンに精通したいと思っているのならもうWinTabを使う必要がなくなるのです。

Photoshop iPad版

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注: Photoshop iPad版は、Photoshopが含まれている、全てのCreative Cloudプランで使用できます。ご利用中の方は、お手持ちのiPadにPhotoshopをダウンロードいただき、サインインするだけで、すぐに利用することができます。

Photoshop iPad版については、継続的な新機能追加を以前からお約束していますが、本日その第二弾をリリースします。

今回もPhotoshop iPad版にとって大きなアップデートで、オブジェクト選択ツールを追加したことにより、iPadでの選択操作が他のどんなアプリよりも大きな飛躍を遂げたことになります。上にあるラッセル・ブラウン(Russell Preston Brown)によるこの機能のデモビデオを是非ご覧いただき、実際に試してみてください。

Photoshop iPad版は、Photoshopデスクトップ版と同一のコードベースで開発されています。そのため3か月前に発表した最初のバージョン以来いくつかの改良を重ねてきましたが、デスクトップ版に搭載されたものと同等の深く豊かな能力と、高品質な出力結果をあわせ持つ新機能を速やかに追加することが可能です。これらデスクトップ版の新機能は、そのユーザーエクスペリエンスをiPadに向けて最適化し、タッチ操作とモバイル環境の恩恵を受けられるように再構築でき次第、今後もiPad版に追加していく予定です。

オブジェクト選択ツール

2019年のMAXでPhotoshopデスクトップ版に導入されたこの機能(英語)が、オプションと設定もそのままにiPadに搭載されました。

わたしたちはPhotoshop iPad版のユーザーから「ピクセル単位での操作が可能になった」との声を頂きました。この機能はApple Pencilを使うユーザーにとってタッチ操作環境を改善する顕著な例と言えるでしょう。是非お試しください。

ここでは、新しいオブジェクト選択ツールと12月のアップデートでiPadにも追加された「被写体を選択」ツール の関連性について説明します。両機能はPhotoshopデスクトップ版、Photoshop iPad版ともに搭載されています。どちらもAdobe Senseiの人工知能(AI)とマシンラーニング(機械学習)を使用して自動で素晴らしい選択を行えます。いずれも作業を大幅に減らし、よく使われる異なった用途に合わせて設定されています。

「被写体を選択」ツール は、画像の中のメインの被写体をクリック一つで選択でき、その他の操作は一切必要ありません。特定のひとつの被写体を素早く抜き出したいときに最適な機能です。

「オブジェクト選択」ツールは、処理速度を向上させるだけでなく、複雑なイメージの選択処理をより細かく制御できるように設計されています。例えば、複数の被写体や被写体の一部を選択するようなときや、特定の部分のみを選択したいとき、もしくは画像の中での複数の被写体をより分けたいときなどに向いています。オブジェクト選択ツールでは、選択したいエリアに長方形選択ツールもしくは投げ縄ツールで選択範囲を作成すると、指定された範囲の中から自動で被写体を選び出します。この操作は、オレンジの一部をより分けて選択する作業を例に、このiPadセクションの一番上のビデオでご欄になれます。

ここでは、より複雑なシーンや背景を用いた例をご紹介します。

このミュージシャンの画像で、女性のロックミュージシャンの周りをなげなわツールで囲うと、オブジェクト選択ツールが彼女のアウトラインを認識します。

キーボードの 「F」 を押すと、選択状態をいくつかの異なった表示で見ることができ、必要なものが選択されていることを確認できます。この画像では、赤い背景が最適です。

次に、男性の眼鏡を円で囲み、なげなわツールを使って素早く選択範囲に追加し、さらにギターを追加しました。数回の操作で、非常に簡単に選択範囲を作成することができます。

文字の書式設定

今回のリリースでは、Photoshopデスクトップ版で使い慣れた文字の書式設定の多くがiPad版に搭載されました。また、テキストレイヤーのプロパティに文字関連のオプションとプロパティを追加しました。トラッキング、行送り、垂直比率/水平比率とあわせ、オールキャップス/スモールキャップス、上付き文字/下付き文字などの書式設定がそれです。カーニングは、今後のリリースで追加を予定しています。

Photoshop iPad版 のさらなる進化のために

iPadでPhotoshopを使えるようになったのはとても喜ばしいことです。Photoshop iPad版をリリースできたことはとても喜ばしいことです。皆さんの使用感、フィードバック、そしてご意見は、われわれのPhotoshop iPad版を改良していくプロセスにおいて常に重要な部分を占めています。ぜひわれわれのコミュニティフォーラムに参加して、これから先実現して欲しい機能について feedback.photoshop.comへフィードバックをください。(英語)みなさんのご意見をお待ちしております。

クラウドドキュメント

2019年12月に、75MB以上のPSDのクラウドドキュメントを対象に、アップロードおよびダウンロードエクスペリエンスのパフォーマンスを大幅に改善しました。2020年1月14日にはこの改善を10MB以上のPSDにまで拡大しました。ファイルのサイズとご利用のネットワーク接続速度にもよりますが、このアップデートによってアップロードとダウンロードが最大90%高速化します。

#PsILoveYou30

Photoshop 30周年を記念して、Photoshopを使って制作した作品とPhotoshopへのメッセージをTwitter上で募集しています。#PsILoveYou30 をつけて投稿してくれた方の中から抽選で30名様に、Photoshop 30周年記念グッズをプレゼントします。詳しくはこちら

最後に

2020年代は素晴らしいスタートを切りました。これまでの長きにわたりパートナーであり続け、常にインスピレーションを与えてくださるみなさんに感謝をいたします。

#PsILoveYou30でPhotoshopへの思いを共有しましょう。

この記事は2020年2月19日に公開されたHappy Birthday, Photoshop!の抄訳です。