日本のクリエイターと共に歩んだPhotoshopの30年#PsILoveYou30

Happy Birthday to Photoshop!

2月19日、Photoshopは誕生から30周年を迎えました。日本では「平成」の時代とほぼ重なるその歩みは、多くのクリエイターのみなさんに支えられてきました。

30年前の今日、アドビはPhotoshopの「バージョン 1.0」を発売しました(※)。1993年発行の「アドビ・フォトショップ日本語版A to Z」の著者で、Photoshopの黎明期を知るグラフィックデザイナーの遠藤悦郎さんは、1990年の春、あるイベントで初めてデモを目にしたときの衝撃を今でもはっきり覚えているそうです。
(※)日本での発売開始は翌1991年4月

「当時のフォトレタッチは、何億円もするような高価なシステムを使い、専用のオペレーターに依頼しなければできない、時間もお金もかかる大変な作業でした。それがMacでできる。これはとんでもないものが出てきたと思いました」(遠藤悦郎さん)

「バージョン 1.0」はMac版のみで、まだ日本語にも非対応でした。しかしいち早くその可能性に気づいた、日本の先駆的なクリエイターのみなさんは、当時活発に利用されていたパソコン通信で情報を交換しながら、手探りでこの生まれたばかりのソフトウェアを使った作品づくりに取り組んだと言います。

以降今日までPhotoshopは、写真、映像、デザイン、建築、イラスト、コミック等々、さまざまな作品づくりに用いられてきました。日本を代表するグラフィックデザイナー、版画家であり、世界中の美術館にその作品が収蔵されている遠藤 享さんも、早い段階から作品づくりにPhotoshopを用いてきました。

『Adobe Photoshop poster 』1991年 Photoshop 日本語版1.0 発売キャンペーン用作品

『SPACE & SPACE N1917 』今年3月2日から東京銀座の養清堂画廊で個展「遠藤 享展」の開催も予定されている

「君の名は。」「天気の子」などのヒットメーカー、新海 誠監督も自身の美術作品集の中で、Photoshopを用いたアニメーションの背景美術の制作工程を紹介しています。雨の表現で有名になった「言の葉の庭」の背景美術もPhotoshopで作画され、今や新海作品の代名詞である、あの美しい空や街並みの描写には、Photoshopが一役買っているのです。

『言の葉の庭』© Makoto Shinkai / CoMix Wave Films

また、世界の著名アーティストとのコラボレーションや、ダイバーシティをテーマにした作品で知られるフォトグラファーのレスリー・キーさんも、長年にわたるPhotoshopユーザーのひとりです。彼は写真家としてのキャリアをフィルムカメラからスタートしましたが、Photoshopの歩みは、写真がフィルムからデジタルへと移り変わる時代の潮流ともぴったり重なっています。

Vogue Taiwan December 2019に掲載されたレスリー・キーさんの作品

DTP、Web、デジタル写真、時代の潮流にPhotoshopあり

この30年の間、Photoshopは多くのターニングポイントを迎えてきました。たとえば1993年の「バージョン2.5」では、初めてWindows版をリリース。翌1994年の「バージョン3.0」には、画像を複数の層に分けて各層ごとに編集ができる「レイヤー」が実装されています。また1998年の「バージョン5.0」では、操作の可逆性を高める「ヒストリー」も追加されました。

当時を知る遠藤悦郎さんは「レイヤーの実装によって、グラフィックデザインの自由度はそれまでとは比べものにならないくらい大きく広がった」と、振り返ります。「操作の可逆性が実現する以前は、作業途中でいくつものバージョンを作成し、その都度保存しておくしかありませんでした。しかし当時のマシンパワーでは、高解像度画像の保存に何分もかかるなんてこともザラでした」。

90年代後半、日本の印刷、出版業界にもDTP(Desktop Publishing)が一気に普及していきます。PhotoshopはIllustratorや組み版ソフトとともに、DTPに欠かせないツールとしてこの大きなムーブメントの一躍を担ってきました。また同じ頃、新しいメディアとしてホームページが急速に一般化し、Webデザインが注目を集めるようになります。これを受けて1999年の「バージョン5.5」では、Web用に最適化した画像を保存できる機能が追加されています。

90年代~2000年代にかけてはまた、デジタルカメラがグッと身近なものになり、写真がフィルムからデジタルへと本格的に移行し始めた時期でもありました。アドビは当時から日本のカメラメーカー、プリンターメーカーと密接に関わっていて、多くのハードウェアに機能限定版のPhotoshop LEがバンドルされました。これがのちにPhotoshop Elementsへと進化していきます。またメーカーや機種ごとに異なる、デジタルカメラのRAWデータを扱う「Camera Raw」が登場したのがこの頃。当初は別売りのプラグインとして提供されていましたが、2003年の「バージョンCS」から標準装備されています。

プロ仕様のデジタルカメラの画像編集に対応したPhotoshopは、多くのフォトグラファーのみなさんに利用されるようになり、今日デジタルカメラとフォトレタッチは新しい写真表現の双璧をなすものになりました。

これからも期待に応え、そして期待を超えていきたい

Photoshop 30年の進化には、日本のクリエイターのみなさんからいただいたフィードバックも大きく貢献しています。現在は多言語でリリースされているPhotoshopですが、実はベータ版が公開されているのは英語版と日本語版のみ。それだけ多くの日本のみなさんに支えられている証と言えます。日本語フォントや縦書き、日本向けにデザインされたチュートリアルなど日本独自の機能のほか、実はグローバルで採用されている日本発の機能もあります。たとえば、2008年「バージョンCS4」から搭載された「色覚多様性」に対応するシミュレーション機能は、日本のNPO法人カラーユニバーサルデザイン機構の協力のもと、実装されたものです。

2012年にはサブスクリプションのCreative Cloudがスタートし、フォトプランでは月額980円からPhotoshopが利用できるようになりました。この間、修復ツール、スタンプ、ブラシ、選択ツールなど多くの機能が進化を遂げてきました。また近年は人工知能(AI)とマシンラーニング(機械学習)のプラットフォームである「Adobe Sensei」によって、その進化はさらに加速しています。最近のアップデートでは、オブジェクト選択ツールにより煩雑な切り抜き作業を自動化できるようになったほか、クリエイターのワークスタイルの変化にあわせて、待望されていたiPad版もリリースされました。なお、本日からiPad版でもデスクトップ版と同様に、オブジェクト選択ツールがご利用いただけるようになりました。

Photoshopは時代と共に様々な機能を実装しながら、クリエイターのみなさんの作品づくりをサポートしてきただけでなく、誰もがクリエイティビティを発揮できるツールとしても成長を遂げてきました。

「Photoshopがなかった頃、我々クリエイターは作品の完成度を想像しながら、それを言葉でオペレーターに指示するしかなかった。たとえば料理の写真をもっと美味しそうに見せたいと思っても、色味や明るさの調整を指示して実際に校正刷りが上がってくるまで、本当にうまくいっているのかどうかわからなかったんです。それが今では誰もが結果を確認しながら、作品づくりが出来る。これはものすごいことです」。(遠藤悦郎さん)

アドビでPhotoshopを担当する田中玲子は言います。
「Photoshopはたくさんの日本のクリエイターのみなさんに支えられて、今日30周年を迎えることができました。しかし、これはまだほんの通過点でしかありません。今後もより多くの日本のみなさんに使っていただけるように期待に応え、そしてその期待を超えていきたいと思います」。

#PsILoveYou30

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