PGA TOUR必見イベントの舞台裏を探る: オンラインイベントを成功に導いたデータドリブンな取り組み #Adobe Summit

インターネットには、すべてを見きれないほどのデジタル体験であふれています。そうしたなか、誰もが見逃せないと思える必見イベントを生み出すのは至難の業であり、単なる希望や楽観主義で達成できるものではなく、それなりの覚悟が必要になります。米国男子プロゴルフPGA TOURは、そうした市場に参入するにあたり、自らをテクノロジードリブンなエンターテインメントブランドであると認識する必要がありました。最高のエンターテインメントがそうであるように、彼らにもまた、クリエイティビティ、コンテンツ、そしてデータの連携プレーによる、真にインパクトのある体験の提供が不可欠でした。PGA TOURのファンにとって素晴らしく楽しい体験をデザインし、提供し、および測定するには、アドビのクリエイティブツール群、分析、そしてWebコンテンツ管理のアプリが大きな役割を果たしてきました。

8月の期限に向けたカウントダウン

ゴルフシーズンは、毎年8月のフェデックスカップ(FedEx Cup)プレーオフで最高潮を迎えます。そのプロモーション方法には独特のテンポがあり、シーズン中の他の時期とは一線を画す厳しさや盛り上がりがあります。そのため、クリエイティブとコンテンツのチームには1,500点を超える成果物を約8週間で納品するという、厳しい発注が課せられます。彼らはそれをどのように克服したのでしょうか?

この信じられないほどのプロフェッショナリズムは、クリエイティブツール間の統合によって達成されました。彼らはまた、重複作業を避けるために共有アセット(スマートオブジェクトなど)の運用基盤を整備しました。とりわけ印象的なのは、クリエイティブ指針としてのデータへのこだわりです。アートとデータの連携が、創造性を制限するのではなく強化すること、そして美麗なデジタルコンテンツも効果がなければ意味がないことを、チームは認識していたのです。そして、クリエイティブチームとマーケティングチームの緊密なコラボレーションにより、クリエイティブの方向性やコピーに課題があるかどうか、コンテンツが間違ったチャネルに配信されていないかどうかを各自が把握できるようになりました。

PGA TOURのデイブ ピッコロ氏(クリエイティブスタジオ担当バイスプレジデント)はこう述べます。「デザインとブランドボイスは、ブランドが顧客の関心や結びつきを得るのに不可欠な要素となっています。優れたデザインやコンテンツ自体がブランド体験となり得るのです。どうすれば消費者に繋がりを感じてもらえるかというハードルは高く、クリエイターの仕事には直感以上のものが求められます。特にフェデックスカップのプレーオフのようなピーク時には、ファンの心を動かすものが何かを深く理解する必要があります。私が知るほとんどのクリエイティブは、アドビのツールを使って強化されてきましたが、ツール同士がほとんど連携していなかった頃のことを憶えています。Adobe Creative Cloudによるツール統合はこれを完全に変え、信じられないほど多くの時間を解放してくれました。これにより、マーケティングチームとの連携が密になり、自分たちの仕事の効果をより深く理解できるようになりました。」

クリエイティブとマーケティングの連携プレー

クリエイティブな成果物とマーケティングチャネルは、ひとつの継続的なデータのループを形成しています。それを詳細な分析にかけることで、PGA TOURは異なるタイプのオーディエンス(好奇心が強いファン、カジュアルなファン、コアなファンなど)が、どこでエンゲージし、どのような顧客体験に最も反応するのかを、より深く理解できます。このような分析は、オーディエンスが反応する最も魅力的なストーリーは何なのかという特定はもちろん、どのようなフォントや色に反応するのかにまで及びます。例えば、コンテンツ面での重要な気付きは、特定のオーディエンスがスポーツコンテンツの主役であるスキルレベルやパフォーマンスの詳細だけでなく、それ以上の何かを求めているということでした。彼らは、ゲームの舞台裏や個々の選手、彼らのコミュニティ貢献に関するストーリーも求めていました。つまり、ファンである理由を探しているのです。

フェデックスカップのプレーオフでは、新たにいくつかの検討事項を導入しました。以前からデータ分析により、新規投入するクリエイティブやコンテンツは避けられる傾向にあることがわかっていたため、各チームがそのパフォーマンス指標に基づいてリアルタイムでコンテンツを調整することができました。また、こうした取り組みは、話題性が高い他のスポーツイベントの期間中に、新規オーディエンス獲得のためのターゲティングプロモーションを実施する際にも役立っています。プレーオフ期間中は、プレーの進行にあわせてリアルタイムでコンテンツを作成、配信しながら、ファンが特定のアセットにどうエンゲージしたかを継続的に測定するオペレーションを設置しました。その結果、アプリのエンゲージメントが他のチャネルと比較して10倍高いことが明らかになりました。また、Webのトラフィックも分単位で測定することで、モバイルプッシュメッセージの効果を確認することができました。

PGA TOURのスコット ガッターマン氏(デジタルオペレーション担当バイスプレジデント)はこう述べます。「私たちはNetflixの新番組からYouTubeシリーズまでのあらゆるものと競い合っていることを認識し、PGA TOURは大きく変化を遂げました。これは重要な気付きで、ファンの顧客体験を向上させる手段として、テクノロジーをより積極的に採用する原動力となりました。そして私たちは、データアナリストが一人もいない状態から、すべての意思決定をデータから得られる情報に基づいて行う文化へと変化したのです。Adobe Analyticsは、ファンがブランドをどう体験しているかを理解するための重要なツールであり、複雑さを解き明かし、変化を促進するのに役立つインサイトを提供してくれました。またドラッグ&ドロップで操作できる視覚的インターフェイスにより、見落としていた相関関係を確認できるだけでなく、データから得られた知見をどう利用し、提示するかについても、よりクリエイティブに取り組めるようになりました。」

Adobe Creative Cloudは、PGA TOUR(PGAツアー)およびPGA TOUR Champions(PGAツアー チャンピオンズ)の公式クリエイティブソフトウェアで、Adobe Experience Cloudは、公式デジタルエクスペリエンスプラットフォームです。これらのアプリは真のCXM(顧客体験管理)カンパニーへの変革を支援します。

※本記事は、2020年3月31日にAdobe Analyticsのプロダクトマーケティング担当グループマネージャーのネイト スミス(Nate Smith)が投稿したブログの抄訳版です。