#AdobeSummit 2020:コネクテッドエクスペリエンスでインパクトをもたらす

初の完全デジタルで開催されたAdobe Summitのイノベーション キーノート セッション「コネクテッドエクスペリエンスでインパクトをもたらす(日本語字幕付き)」において、Adobe Advertising Cloudのバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーであるキース イーディー(Keith Eadie)は、「広告はコネクテッドエクスペリエンスへと進化すべきだ」と述べ、現在のCOVID-19の危機においてその重要性がさらに増していることを強調しました。

またイーディーは、「ここ数年の見通しとして、全体的に大きく期待される動きとしては、ブランド企業がテクノロジー企業への委託を増やすことで、『広告露出』時代から『広告エクスペリエンス』時代に移り変わることです。『広告露出』時代は、テクノロジーと大量のデータを駆使して様々なスクリーンにメッセージを配信する方式が取られましたが、各カスタマーとの接点を次にどう繋げるかはあまり考慮されていませんでした。『広告エクスペリエンス』時代に入る今、大きな改革が必要となるわけです」と述べました。

魅力的でつながりを考慮した広告エクスペリエンスの提供は、収益を増加させるだけでなく、組織のブランド価値の向上をもたらすとイーディーは述べます。

広告市場における4つの重要なトレンド

イーディーは次に、今日の広告市場を形づくる4つのトレンドについて触れました。一つ目は、消費者へのメッセージ配信方法に大きな影響を及ぼす要素であるデジタルプライバシーがあげられます。プライバシー規制の拡大と並行して、Webブラウザーにも個人のトラッキングを制限する大きな動きが見られます。「このプライバシー強化の流れはこの先も緩むことはなく、広告主にとってファーストパーティーデータの重要性がさらに高まることを示しています」と彼は語ります。

2つ目のトレンドは、デジタル広告に関わるプレイヤーがの「オープン」と「クローズド」の二極に分化していることです。クローズド側の典型的な例としては、ウォールドガーデンと呼ばれているGoogleやFacebookがあります。オープン側には、NBC、Roku、Huluといったメディアが位置します。広告主は、この両方の環境で自社データを広告に活用するという課題を持っていますが、アドビはこれをAdobe Advertising Cloudで解決しています。

イーディーが指摘した3つ目のトレンドは、広告主が特定のデバイスを使う個人に、特定のコンテンツが含まれたメッセージを選定して配信する方法が高度化しているということです。これは、企業が活用する広告テクノロジーとカスタマーデータプラットフォーム、そして分析テクノロジー相互の緊密な連携なしには実現できません。そして、それこそがアドビが誰よりも得意とすることだと彼は言います。

4つ目のトレンドとして彼は、COVID-19の危機が加速している、消費者からのブランドへの期待値の急速な高まりと、それに応えるために求められる、旧来の広告手法と最新のアドテクノロジー手法の双方の進化をあげました。イーディーは、最新の広告プラットフォームに必須の機能を下図のように説明しています。

Rite Aidによる、インパクトをもたらす広告への取り組み

このセッションには、米国大手ドラッグストアチェーンRite Aidのデジタルマーケティングマネージャーであるジョー ターテル氏も登壇し、同社のデジタルトランスフォーメーションにおいてAdobe Advertising Cloudが担っている役割について語りました。

ターテル氏は、以下の2つの理由から、同社が多くのキャンペーンをデジタルシフトさせ、また、キャンペーンにインタラクティブマーケティングを組み込んで強化していると説明しました。

1つ目の理由は、同社のターゲットカスタマーが、モバイル、PC、その他あらゆるデバイスを使って、生活のあらゆる面でデジタルを駆使しており、店頭や薬局に来る前に購入の意思決定を済ませていること。

また、2つ目の理由は、数あるカスタマー接点のすべてにおいて、カスタマーエクスペリエンスの測定が可能であることです。そして、このデータをもとにすれば、カスタマーにどのようにサービスを提供すればよいかについて、賢明な判断を下せると言います。

「Webサイトのインプレッションから、来店から店内での購入まで、すべてを測定することができます」とターテル氏は語り、同社のロイヤルティプログラム「Wellness+」への申込みをはじめとする、他のWebサイトのデータ分析に加え、クーポンのダウンロードや、Webチラシの閲覧など、サイトの特定のページへの訪問者数も追跡していると述べました。

そしてこれらの情報が、同社が毎週発行していた紙の広告チラシの印刷予算をデジタルに振り替える判断を後押ししたといいます。彼はまた、「私たちは、実際にオンライン広告を目にした人たちの、店頭購入に至るまでの成功度を測定できます」と語り、「カスタマーの店頭エクスペリエンスを改善し、より良い判断を下し、キャンペーンを最適化するために、これらのデータをすべて活用しています」と付け加えました。

そして、Adobe Advertising Cloudの「検索連動型広告、ディスプレイ広告、ネイティブ広告、コネクテッドTV(インターネット接続テレビ)、プログラマティック音声広告すべてにわたってデータを最適化し、全体的なカスタマーエクスペリエンスを向上させています」と続けました。

さらに、Rite Aidがカスタマーサービスを向上できたのはデジタルトランスフォーメーションのおかげだとターテル氏は述べ、カスタマーデータが同社により良いカスタマーエクスペリエンスの提供とキャンペーン最適化の機会を与えてくれたと締めくくりました。

※本記事は、2020年4月8日にアドビのメリッサ ウィリアムス(Melissa Williams)が投稿したブログの抄訳版です。