教室でスケッチをしよう! Adobe Frescoを使った脳に優しい学習方法

私たちの脳は目に見えるものが大好きです。私たちは会話するときに相手の顔を見ます。人々はスマートフォンでいつも動画を見ています。Facebookの画像を含む投稿はエンゲージメント率が2倍になります。

人々は有史以前に洞窟の壁に絵を描きました。今は、車を運転しながら看板を見たり、美術館に行って絵画を鑑賞しています。

視覚がこれほど力を持つのであれば、なぜ教室でもっと多くのビジュアル要素を見かけないのでしょうか?なぜ多くの説明用の資料が箇条書きのリストやテキストで埋められているのでしょうか?なぜ多くの学生のノートには言葉しかないのでしょうか?

それは変えられるかもしれません。

Adobe Frescoは無料で使えるアプリで、学生や教師が自分の創造性を発揮して、それを共有するための強力なメディアとして利用できます。このデジタルペインティングアプリは、直感的な操作性のために初心者がすぐ使い始めることができ、同時に、熟練したアーティストをより高みへと駆り立てる高度な機能も備えています。

教室で生徒のクリエイティビティを刺激したり、ビジュアルシンキングを実践するため、Frescoはさまざまな方法で利用することができます。

なぜ視覚なのか?

簡単に言えば、私たちの脳の構造に関わっています。

「画像の優位性効果(Picture superiority effect)」によれば、最悪のイメージであっても(たとえ私の線画でも)、最高のテキストによるプレゼンテーション用スライドよりもずっと大きな影響を与えられるということです。

また、「二重符号化理論(Dual coding theory)」は、私たちの記憶が、画像か言葉のどちらかで記憶されることを示唆しています。画像として記憶することには利点があり、新しいアイデアを記憶する際の情報の符号化に、画像と言語の両方のルートが使用されます。言葉で記憶する場合、使われるのは言語ルートだけです。

私が実際に視覚化することの力を学んだのは、生徒たちのためにスケッチを始めたときです。担当していた高校のスペイン語の授業で、私は、教科書を使わない会話形式のスペイン語の授業を始めました。

私たちは、授業の場でストーリーを語ることで、スペイン語の訓練を行いました。しかし、多くの場合にそれはうまくいきませんでした。語られるストーリーには、重要な要素である視覚的なアピールが欠けていたためです。私はストーリーの進行に伴いスケッチを描き始めました。すると、生徒たちからの関心のレベルは大きく上昇しました。授業が終わると、生徒たちはスマートフォンで私のスケッチを撮影したいと言いました。(大勝利です!)

スケッチが教育にどれだけ役立つのかを目の当たりにしてから、私は生徒たちに授業でスケッチする機会を与えるようになりました。まず、語彙の学習の一環として、言葉とビジュアルを使ったメモ、すなわちスケッチノートを作成するこtから始めました。その後、スケッチをコマ撮りしたビデオでストーリーを語るレベルまで進歩しました。

スケッチをするのが大好きなが生徒いることも発見しました。特に、クラスに彼らの努力を称える雰囲気があったときには、その傾向が顕著でした。

そして、私がスケッチを使って指示を出していることに、誰もが恩恵を受けてらしいこともわかりました。

教室でのスケッチノート作成

スケッチはさまざまな形式で行われます。生徒たちの脳が得る利益に関して言えば、紙やホワイトボードにスケッチしても、デジタルでスケッチしても同じです。

しかし、デジタルスケッチには明確な利点があります。

Adobe Frescoは、私がスペイン語を教えていた頃に、生徒たちに手にして欲しかったアプリです。生徒は複数のレイヤーにスケッチすることができます。色を混ぜて、好みの色合いにすることができます。ブラシを思い通りにカスタマイズすることが可能で、ライブブラシを使用すると実際のカンバス上で描くように油絵や水彩画を表現できます。

初心者は、シンプルにブラシを選択してそのまま描画を開始できます。熟練したアーティストには、たくさんのカスタマイズのオプションがあり、そこに制限はほぼありません。

Frescoは、iPad、Microsoft Surface、Wacom Mobile Studio Proで使用できます。Frescoは無料でダウンロードして利用を始めることができます。Adobe Creative Cloudから提供されるそのほかのデザインツールも教育機関向けには5月31日まで無料で提供されています。

大事なのは芸術性ではなくアイデア

スケッチを学習に使用する際に、教師や生徒は、しばしばある障壁と戦うことになります。

「私は芸術家ではありません」

「絵が描き方が分かりません」

しかし、良い知らせがあります。スケッチするのに偉大なアーティストである必要はありません。

スケッチによる恩恵を脳にもたらし、生徒の関心を集めるために必要なのは、美しい作品ではありません。大切なのは、何かを意味するビジュアルをつくることです。

つまり、スケッチとはアイデアを表すことです。アートではありません。

線画から始めましょう。何か人のように見えるものを描きます。それは私たちの心の中に人のイメージをつくり出します。その際、優れたアートである必要はありません。そもそも上手に描く必要もありません。

習うより慣れろです。描けば描くほど上達するでしょう。それに、始めたばかりのときにスケッチが上手く描けていないと思ったとしても、アイデアを伝えるという仕事はしています。

Frescoを使って授業でスケッチする4つの方法

教室でFrescoを使ったらどうなるのでしょうか?明日すぐに使えるアイデアは必要ですか?これから、教師と生徒が脳に優しいスケッチを楽しむための、4つの方法を紹介します。

生徒たちは、自分たちの学びや創造力を、Adobe Frescoを使用して視覚化することができます。好みのブラシや色を使って学習した内容を表現したら、さまざまな共有オプションにより、ほかのみんなとそれを共有することができます。

  1. 語彙のスケッチ: これは私が始めたときに採用した方法です。生徒のためのオプションとして、言語とビジュアルを用いた語彙ノートを作成しました。中には、自分の語彙をスケッチとして描くことができた生徒もいます。一部の生徒の長所には合わなかったので、昔ながらの単語カードや練習ドリルも選択肢として用意しました。テストやクイズの勉強をするとき、生徒たちは自分で描いた単語スケッチを参考にしたり、それを欲しがる友達には共有もします!
  2. 要約のスケッチノート: Webで「スケッチノート」を検索すると、言語とビジュアルによる芸術的で複雑かつ詳細な作品が表示されるでしょう。多くの人は、スケッチノートの作成は、基調講演が話されている間や、教師が教えているときにライブで行われると想定しています。実際のところ、ライブでスケッチするのは一番難しいことです!生徒には、新しい教材を学習した後で、その要約をスケッチノートとして作成するように促します。これは検索練習の一形態で、生徒たちは記憶から思い出すことにより学習します。
  3. 学習資料のスケッチ: 教師もスケッチを楽しむことができます。生徒のための学習ガイドをキーボードでタイプする代わりに、スケッチすることを検討しましょう。コンセプトや手順や文章の段落に対し、その内容を整理したいイメージを思い浮かべ、Frescoを使って描きます。それをクラスのWebサイトに投稿すれば、生徒とデジタルスケッチを共有できます。文字ばかりの退屈なスライドを置き換えた教師に、生徒たちは感謝するでしょう。
  4. スケッチのビデオ: 生徒が作成したスケッチは、Adobe Spark Videoを使えば動画としても再生できます。生徒は自分の考えを何枚かのスケッチにして、学習成果をデモしたり、学習した過程を示したり、ストーリーを伝えます。そして、一連のスケッチ画像をダウンロードして、Adobe Spark Videoの動画に追加します。生徒は自分の声でナレーションしたり、テキストや画像を追加することもできます。

勇気を持って一歩を踏み出す

クラスで教えるためにスケッチを使うのに、偉大な芸術家である必要はありません。生徒たちも同様です。スケッチとはアイデアを表すことであって、芸術性の追求ではありません。

まず一歩踏み出して、生徒に向けた説明の中に多少のスケッチを組み込んでみましょう。

生徒たちにも、ノート作成、アイデアの表現、学習したことを説明するための資料などに、ビジュアル要素を加えるように促します。

最終的には、新しいアイデアが頭の中にはっきりと現れるようになるでしょう。学習は飛躍的に向上し、クリエイティビティが花開くのを目にすることになるでしょう。

この記事はマット・ミラーとの提携により作成されました。

この記事はSketch! Boost Creativity and Brain-Friendly Learning in Class with Adobe Fresco(著者:Matt Miller)の抄訳です