Adobe Stockのモーショングラフィックテンプレートを活用する #AdobeStock
■気鋭のクリエイターによるオリジナルテンプレート
テンプレートの作成者である稲葉秀樹氏はモーショングラフィックスのエキスパートで、生き物のような抽象的な形が群れをなして舞い踊る2Dアニメーションを得意としています。2017年には、Red Hot Chili Peppers「Getaway Tour Viz」に映像作家として参加。海外のアーティストとコラボレーションした作品は、Pictoplasma、Reading & Leeds Festivals、This is Colossal、The Vergeなどの映画祭やメディアで上映、掲載されています。また、テレビ番組でのCG制作の経験も長く、番組CG全体のデザインや、CM、ミュージックビデオなど、多岐にわたるプロジェクトでグラフィックスやデザインを担当しています。
■汎用性が高く、オリジナリティが出せるテンプレート
稲葉氏:
「身近な人が説明会で使う資料をPremiere Proで作っていたのですが、動画を流すことで好評を得られたと聞き、そのプレゼンの場でも効果的に使えるテンプレートがあれば便利だろうと考えました。普段映像に馴染みのない方がCGを使うときには、色の選択でつまずいていることが多い。たくさんの色を使ってしまって全体のパッケージがうまくまとまらないことが結構あるんですね。今回のテンプレートは配色を1つのパラメーターにまとめるなど、ビギナーでもデザインの統一感が出しやすい設計を心がけました。また、テロップの座布団は簡単な設定でオリジナリティを出せるように設計しているので、インハウスムービーなどでも活用できると思います」
株式会社ピクス:稲葉 秀樹氏
日本版のテンプレートということで、日本でビギナーが映像を作るシチュエーションを想定したラインナップになっているのも特徴です。お祝い事でよく使われる金箔をモチーフにしたテンプレートはその代表と言えるでしょう。
稲葉氏:
「スタンダードな使い方もできて、なおかつ設定をアレンジすることで使えるシーンのバリエーションが豊富になるように心がけました。素材のパーティクルやフレアの位置、背景の色などの設定項目は、自分が実際に使う立場になって、かゆいところに手が届くように設計しています」
■テンプレートの読み込みは簡単
ダウンロード後は、Premiere Proの「エッセンシャルグラフィックス」のウィンドウで「参照」タブから、右下の四角に+マークが付いた「ファイル読み込みボタン」をプッシュ。お好みのモーショングラフィックステンプレートファイル(.mogrt)を選択するか、ウィンドウに直接ドラッグ&ドロップしても読み込めるので、操作はとても簡単です。Premiere Pro上では、そのテンプレートをタイムラインに配置して使用します。
稲葉氏:
「Adobe Stockのページでは、たくさん出てくるテンプレートの中から任意のものにカーソルを合わせるとプレビューで動きの確認も行えるようになっています。作りたいムービーのシーンに合ったものを選んで、ぜひダウンロードしてみてください」
■5つのテンプレートの概要とおすすめの使い方
番組のタイトルやジャンクション(VTRとVTRのつなぎ部分)で使いやすいパーティクル付きのタイトルテンプレートです。
タイトルが大きく出るシーンで使い勝手が良いように初期設定ではフォントは太くて大きいものが選ばれています。テキストの文言が変えられるのは大前提ですが、フォントはもちろんアウトラインやカラー、角度なども変えられるので、全体を斜めにして飛び込んでくるようなアクティブな雰囲気を出すこともできます。
稲葉氏:
「こだわったのが背景のパーティクルのデザインです。4つの種類から選べて、きらめきのオンオフやカラーも変更可能。カラーが1色だとよくあるキラキラ系のパーティクルと同じ印象になってしまうので、5色割り当てられるようにしたのがポイントです。色を変えることで利用シーンの幅も広がると思います」
金箔をモチーフに結婚式やお祝いごとでの利用を想定した絢爛豪華なグラフィクステンプレートです。稲葉氏がおすすめする利用シーンは、テレビなら正解発表や歴史系の番組タイトル。フォントを明朝体や筆文字にすれば和風テイストで使えるのでおすすめとのことでした。
テキストは厚みやドロップシャドウなどの設定が可能。背景はオンオフで透過できるようになっているので、実写の上に乗せて使用することもできます。中心のフレアもオンオフや高さ調整ができるので、フレアごとタイトルを下位置にして背景をオフにすると下位置のテロップとしても利用できます。
稲葉氏:
「金箔とゆっくり揺らめいている金の糸がポイントです。金糸は糸の間隔を調整できるので、1本にまとめて中心に目がいくようにできますし、全体に広げて背景に馴染ませて使うこともできます。角度調整もできるので全体のレイアウトで大きく印象を変えることができますね。いずれもカラー調整が可能で、和紙の素材を下に敷くなどアレンジすれば、また違った雰囲気も作れると思います」
雪の結晶をモチーフにした冬のホリデーシーズンがテーマのテンプレートですが、クリスマスカラーの赤と緑に限定せず、冬全般で使えるデザインを目指したと稲葉氏は語ります。文字の中に雪っぽいディティールが入っていたり、文字が集まって来てまた消えるフレームインフレームアウトのアニメーションなど、随所に細かいこだわりが見えます。
「ユーザーが色々アレンジして『ここでも使えた』という発見があるといいなと思い、クリスマス以外でも使える幅を持たせました。雪の結晶を黄色にすると、雪というよりパーティクルの一部として捉えることもできるので、お祝いシーンなどでも利用できると思います。他のテンプレートにもいえることですが、設定のどの数値を動かしても格好悪い形にならないように各項目を設計しているので、色々と試してみてほしいですね」
その名の通り、1 ハッピー、2 ジョイ、3 怒り、4 悲しみの4タイプの感情を、テキストの動きで表現するテロップテンプレート。感情に合わせてテキストが弾んだり膨らんだり振動したりします。稲葉氏によると、テレビ番組の例では、出演者のコメントやツッコミの際に目を引く演出を入れたい時に使用すると効果的。アニメーションがしっかりついているので決めどころで使うことを想定しています。
稲葉氏:
「テレビではこういうテロップの発注が多かったので、ディレクターやCGの作り手側の時間短縮に貢献できればという思いも込めて作りました。とくに健康番組などはテロップがとても多いんですよ。毎週オンエアで文言も変わるのでフォーマットを作ってしまうと楽になると思います。
また、人気のYouTuberが動画の中で『視聴者に寄り添ったツッコミのテロップが一番大事』と語っていたのを拝見して、テロップをすごく大事にしていると感じたことがありました。YouTuberのみなさんにも、ぜひ使っていただきたいテロップです」
稲葉氏:
「テキストのディテールはベベルやシャドウストロークの厚み、ライトの角度などを調整できます。テキストの層(Line)が3つに分かれていて、Line 1やLine 2だけオンにしたり、Lineごとに色も調整できるようにしてあります。
明るい感情の『1 ハッピー』と『2 ジョイ』は基本的なディテールが似ていて、アニメーションのタイプが違うイメージ。『3 怒り』は尖った形をイメージしています。例えば赤と青の配色で使うと、バトルもののクイズ番組だったりチーム分けした対決の時に使えるでしょう。毒々しい感じもあるのでホラー系でも映えますね。『4 悲しみ』は文字がどろどろと揺らめいています。たとえば、健康番組の中で『腸内にガスが溜まっちゃって…』みたいなコメントの時に使ったらマッチすると思います」
番組テロップではこの3つのベース要素は欠かせないと稲葉氏はいいます。メインテロップベースとサブテロップベース、それから番組のロゴなどが入るロゴベースの3点です。
今回のテンプレートでは各ベースのサイズを調整可能。メインベースのテクスチャーは三角や丸型、星型など10種類のパターンが用意されていて、角の丸みや透明度も変えられるので、番組のパッケージに合わせて印象を変えることができます。アンダーラインの細い部分にもテロップが入れられるので、英語で番組タイトルを入れるなどのちょっとした味付けが可能です。
サイドベースやロゴベースも同じように自由にレイアウトできます。ロゴベースは中身のオンオフもできるので、番組ロゴが別にある場合は枠として使用することもできるし、センターに配置して一からロゴを作ることもできます。
稲葉氏:
「一番思いが詰まっているのがこのテレビ番組風のグラフィックスです。『COLOR CONTROLS』で6つの配色を選べるところが肝で、メインテロップ、サブテロップ、ロゴの3箇所のカラーを同時に制御できるようにしています。テンプレートをタイムラインに重ねて使うことも想定していて、例えばテレビでよく見るランキングベースのように、上から順に配色やテクスチャーを変えて並べて使うときなどに便利でしょう。
また番組出演者のテロップはひな壇で使う小さいタイプなど、サイズ変更する度に余計な手間がかかっていました。そのときにかかるディレクターと作り手の負担を少しでも減らしたいというのもテンプレートを作る目的のひとつですね』
テレビ番組のCG作成と2Dアニメーションの豊富な経験から生み出されたテンプレートは、エッセンシャルグラフィクスのビギナーに使いやすいだけでなく、テロップのバリエーションに悩んでいるディレクターや、インハウスで使い勝手のよいテロップを探しているユーザーにも有効ではないでしょうか。番組風のムービーはもちろんのこと、少しアレンジを加えるだけでさまざまなシチュエーションにも活用できるので、ぜひお試しください。
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稲葉 秀樹 DIRECTOR / ANIMATION
2017年 Red Hot Chili Peppers「Getaway Tour Viz」に映像作家として参加。海外のアーティストとコラボレーションした作品は、Pictoplasma、Reading & Leeds Festivals、This is Colossal、The Vergeなどの映画祭やメディアで上映、掲載されている。第20回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出。
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