ロンドン自然史博物館のデジタルコレクション:昆虫を3Dアートに#Adobe Stock

文化施設の社会的価値はなかなか言葉で表現できるものではありません。図書館では、古今東西の書物や文献を調べて創造力を膨らませ、美術品や工芸品などが多数収蔵された博物館では、斬新な創造力や知識を体験できます。私たちにとって、高みを目指し、未知の世界を探り、地球や宇宙の美しさを見い出そうとするときに、それを助けてくれる存在だと言えるでしょう。Adobe Stock 3Dチームは、常に誇りを持って、そうした文化施設の精神や豊かさをサポートしています。NASAアムステルダム国立美術館とのすばらしいコラボレーションでは、一流の出展作品をまったく新しい独自の方法で提供するという目標を追求しました。

今年、Adobe Stock 3Dチームは、ロンドン自然史博物館のデジタルコレクションプログラムとの魅力的なコラボレーションを発表します。目標は、クリエイターやアーティスト、科学者をはじめとする世界中の人々に、この博物館とその使命、コレクション、そして3Dデザインの芸術性を知ってもらい、インスピレーションを感じてもらうことです。

そのため、博物館が収蔵する昆虫の標本をヒントに、Adobe Dimension向けに最適化された3D素材を20点無料でご利用いただけるよう、ご用意しました。

Adobe Stockの「3Dの昆虫のアート」コレクション:ロンドン自然史博物館のデジタルコレクションプログラムから着想を得た作品

この企画の一環として、ロンドン自然史博物館の歴史とビジョンを紹介したいと思います。この博物館の起源は1753年。元々は、Hans Sloane卿が収集した71,000点を超える書籍や絵画、標本などを英国政府が買い取って創設した大英博物館の一部門でした。1856年にRichard Owen卿が大英博物館の自然史部門長に就任すると、その標本を展示するスペースが足りないことから、自然史関係標本のために別館を建てるよう評議会を説得しました。サウスケンジントンの用地が選定され、そこに作られたのが今ある博物館です。1963年まで大英博物館の一部門として存続した後、1992年に正式名称が「自然史博物館」に変わりました。

開館以来、同博物館は、科学的にも文化的にもかけがえのない施設です。その収蔵品は8,000万点を超える動物標本(全長25mを超えるシロナガスクジラの骨格標本「Hope」を含む)と3,000万点を超える世界中の昆虫標本から成り、科学者、来館者、教育関係者は、科学や社会に関する基本的な課題に取り組む目的や、世界の歴史について学び知識を広げる目的でそれらを利用しています。

トリバネチョウの標本箱、ロンドン自然史博物館のデジタルコレクションプログラムより許可を得て掲載。

2014年、同博物館はアクセシビリティに向けて大きな一歩を踏み出し、デジタルコレクションプログラムを開始しました。このプログラムのコミュニケーションリソースマネージャーを務めるJennifer Pullar氏は次のように述べています。「世界の自然史コレクションを人類と地球の繁栄に役立てようとしています。天然資源の消費増加や汚染、気候変動によって、生物多様性の分布が大きく変わり、環境への影響が急激に進む今、私たちは危機的な状況にいます。コレクションをオンラインで共有してこのデータへのアクセスを開放したことで、観客数は少なく見積もっても館内のコレクションに足を運べる科学者の10倍になります」

同博物館では、現在までに収蔵品のおよそ5%に相当する450万点近くの標本をデジタル化してリリースしており、このデータは、農業、生物多様性、進化、生態学、種の分布、人間の健康などをテーマとする科学研究に利用されています。それでもなお、同博物館はさらなる集客を目指しています。そのために今年、何か特別なことをしようとAdobe Stockチームと手を組みました。そして3DのAdobe Stock素材から選りすぐりのコレクションを作成することとなったのです。

左:ビコロールホソアカクワガタ、ロンドン自然史博物館のデジタルコレクションプログラムより。右:ビコロールホソアカクワガタの3Dモデル、博物館のコレクションから着想を得たAdobe Stock素材。

ロンドン自然史博物館のデジタルコレクションプログラムとAdobe Stock 3Dチーム、双方とも誇りを持ってこの3Dの昆虫モデルのコレクションを公開しています。みなさんがこれらの素材を独創的な方法で活用してDimensionで美しい作品に仕上げ、いつものクリエイティブ制作で活用いただいたり、ご自身のソーシャル等でご紹介いただけると幸いです。

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この記事は2020年2月4日にAdobe StockのKimberly Potvinにより作成&公開されたThe Digital Collection of the Natural History Museum, London: A 3D Insect Challengeの抄訳です。

トップ画像:3D作成:Vladimir Petkovic.