企業を体験主導型コマースへと向かわせる3つの重要なトレンド #AdobeSummit

Adobe Experience Cloudビジネスの戦略的マーケティング担当シニアバイスプレジデントであるアシーム チャンドラ(Aseem Chandra)は、完全デジタルでオンライン開催となったAdobe Summit基調講演の冒頭、将来の見通しが利かないこの状況にあって、すべてのビジネスが「ニューリアリティー」への迅速な対応を模索していると指摘しました。

自宅収録されたセッションで、チャンドラはエクスペリエンス主導型コマースを牽引するアドビのビジョンを説明しました。現在、顧客と関わるすべての瞬間をパーソナルかつショッパブルにする必要性が高まっており、コンテンツとコマースの統合がCX(顧客体験)の成功に不可欠であることを強調しました。

チャンドラは「必要は発明の母である」とし、「世界は、私たちがまばたきをするよりも速く動いており、教育機関や企業はすべてオンラインへの移行を急速に進めています。そのなかで組織が成功するには、顧客を中心に据えたトランスフォーメーション戦略が必要です。そのような顧客体験管理(CXM)実現に向けた戦略の策定は、簡単なことのように見えて、いざ実践となると最もシンプルなものでさえ難しいものです」と続けました。

そのため、アドビは、効果的な顧客体験管理への道筋を示す設計図「CXM Playbook(英語)」を作成しました。これは、データドリブンなエクスペリエンスビジネスへの変革を目指す企業が、自社に最適な計画を作成できるよう支援するコンテンツです。
https://experienceleague.adobe.com/playbook/

体験主導型コマースを促進する3つのトレンド

1.顧客ニーズへの機敏な対応

チャンドラは次に、企業を体験主導型コマースへと向かわせる3つの重要なトレンドについて語りました。1つ目は、顧客ニーズへの機敏な対応です。これまで以上に、顧客がひらめいた瞬間、つまりニーズが生じた瞬間が、コンバージョンの瞬間になってきている、と彼は述べています。これはいつでも、突発的に発生しうる可能性があります。

「マーケターである私たちにとって、これはどのような意味を持つのでしょうか?それは、その瞬間における、その顧客に固有の文脈を理解し、対応することが私たちの仕事になったということです。それによって顧客は企業との関わりを持ちたいと思うようになるのです」と彼は続けます。

2.オムニチャネルエクスペリエンスへの転換

チャンドラが強調した2番目のトレンドは、オムニチャネルエクスペリエンスへの転換です。社会生活や仕事環境における慣行の変化により、モバイル、ソーシャルメディア、オンラインマーケットプレイスなど、さまざまなオンラインチャネルの成長がさらに勢いを増していることがアドビの調査で明らかになっています。アドビが最近発表したDigital Economy Indexによると、過去2週間でEコマースは米国で25%、英国で33%増加しているのです。

さらにチャンドラは、オンラインチャネルにおける購入のジャーニーは直線的なものではないと指摘しました。消費者は、場所や時間を問わず、自分のタイミングでブランド企業に接し、インタラクションすることを期待しています。とりわけデジタルネイティブ層の消費者は、より新しく没入的なフォーマットに順応しており、関心を持ち続けられるような充実した顧客体験を期待しています。そして、正しい購入判断につながる適切な情報とコンテンツを手にしたいと考えています。

「3Dコンテンツ、拡張現実、バーチャルリアリティーなどの新しい技術を活用したオムニチャネルな顧客体験は、ごく近い将来、消費者のブランドとの関わり方を変える大きな可能性を秘めています」と彼は語ります。

3.パーソナライゼーション

チャンドラが挙げた3つ目のトレンドは、パーソナライゼーションです。多様な顧客に対して同じ体験を提供しても有意義とはいえません。なぜなら、消費者はひとりの個人として扱われることを望んでいるからです。パーソナルショッパーからオンラインでのレコメンデーション、個別オファーの提示まで、パーソナライゼーションにはさまざまなかたちがあります。それ自体、新しいコンセプトではありませんが、パーソナライゼーションを適切なツールセットなくして実現するのは非常に困難です。

「私たちがこれまで何度も目にしていることですが、逆境にあるとき、それを機会と捉えてイノベーションを起こし自己変革を図る組織は、以前よりも強くなって戻ってきます」と、チャンドラは語り、こう結びました。「今日の企業にとって、ビジネスの安定化と継続性が最優先事項であることは間違いありません。私たちは、ここにご紹介したトレンドと戦略を今すぐに取り入れることが、将来の驚異的な成長への道を開くと信じています。」

アウトドアブランドのヘリーハンセンは、体験主導型コマースを取り入れ、ストーリーを消費者に直接伝えることに成功しました。こちらの記事をぜひお読みください。

※本記事は、2020年4月1日にアドビのエンタープライズソートリーダーシップ エグゼクティブエディターのジゼル アブラモビッチ(Giselle Abramovich)が投稿したブログの抄訳版です。