2020年4月のAdobe Digital Economy Indexを発表〜COVID-19は継続してEコマースのトレンドを牽引 #DigitalEconomyIndex 4月版レポート
COVID-19の感染拡大に伴う外出自粛期間中、特に影響を受けた分野は、アパレル、エレクトロニクス、食料品分野であることが明らかに
2020年4月の1か月間、自宅隔離中の米国の消費者は商品やサービスを求め、オンラインチャネルに押し寄せていたことがわかりました。
これは、Adobe Analyticsを使ってEコマースの最新状況を追跡するデジタル指標、Adobe Digital Economy Index(DEI)(英語)によって明らかになりました。また、オンラインショッピングが、いまやコマース(商取引)の主要な手段になったということも判明しました。
「このEコマースの急激な伸びは、アパレル、エレクトロニクス、食料品のオンライン購入に顕著にみられます」と、アドビのマーケティングおよびカスタマーインサイト担当バイスプレジデントであるジョン コープランド(John Copeland)は述べています。「これは、自宅隔離の要請を受けて店舗閉鎖が全米に広がった4月のDEIで明らかとなりました。また、このような商品カテゴリーを扱う企業が、未曾有の状況に対応するための戦略転換を余儀なくされたこと、消費者によるオンラインショッピングの利用が進化していることも浮き彫りになりました。」
DEIは、匿名で集計された小売店のwebサイトへの1兆件を超える訪問データに基づいており、米国のオンライン小売業者上位100社中80社の数千万の製品SKU(stock keeping unit)を対象にしています。分析の結果、4月はオンラインで注文して店舗で受け取るBOPIS(Buy Online, Pick-up In Store)の注文が、前年同月比208%増となっていることもわかりました。ここにも、実店舗での時間を減らして、コロナウイルスとの接触機会を最小限にとどめたい消費者の要望が現れています。
2020年4月のDEIで明らかとなった、他のトレンドについてご紹介します。
消費者のデジタル購買力は上昇
DEIによると、米国のデジタル購買力(アドビが追跡を開始した2014年と比較して、消費者が所定の金額でどれだけの商品を購入できるかを示した指標)は4月に前年比4.1%上昇しています。これは、消費者が昨年104ドル払って購入していた商品が、現在は100ドルで購入できるようになったことを意味します。
「長年にわたる一貫したオンラインデフレが、COVID-19が招いた価格上昇の打撃を緩和しているのです」と、コープランドは説明します。「デジタル購買力の総計は4月も上昇を続けており、これはアパレル分野における顕著なデフレが原因だと考えています。」
アパレルのオンライン販売におけるディスカウントの前倒し
店舗の閉鎖を迫られているアパレル小売業者が、オンライン販売の勢いを後押しするために、Eコマースでの大幅な値引きを実行していることも明らかになりました。アパレルのオンライン価格は前月比で12%下落し、4月の価格下落率としては過去5年間で最大の数値となりました。3月と4月を比較した前月比の価格下落率は、過去5年間で平均約2.9%であった一方、今年の4月の下落率はその4倍以上の11.9%となっています。ところが、このような価格の大幅な下落にもかかわらず、アパレルのオンライン販売全体としては34%の増加を達成しています。
「4月にアパレルで起きたディスカウントは、ブラックフライデーからサイバーマンデーまでのホリデーセール(米国の年末商戦)期間中に特定のカテゴリーで生じる値引きと同等の規模でした」と、コープランドは述べています。
アパレルの価格が下がるのは、オフシーズンで衣料品が一掃される5月から6月が一般的ですが、コープランドによると、COVID-19の影響下においては通常どおりの予測が当てはまらないので、今年もこの傾向が現れるかどうかを見立てるのは難しいと指摘しています。
それ自体驚くにはあたらないことですが、興味深いデータとして、4月に消費者が購入しているアパレルの種類が、より快適で自宅で過ごすのに適した衣料品にシフトしていることも判明しました。例えばパジャマのEコマースの売上が143%増加した一方、パンツの売上は13%減少し、ジャケットも33%減少しました。消費者は夏服も購入しており、EコマースでのショートパンツとTシャツの購入はそれぞれ67%、47%の増加が見られました。
エレクトロニクスが数年ぶりにインフレ状態に
2014年以降一貫してデフレを経験してきたエレクトロニクスのカテゴリーでは、状況は大きく異なっています。エレクトロニクスの売上高はオンラインで58%増加しており、COVID-19は数年ぶりにエレクトロニクスの価格上昇を引き起こしました。
DEIによると、特にコンピューターに関しては需要の増加による価格上昇が見られ、カテゴリー全体としてのエレクトロニクスの価格も上昇傾向にあります。「消費者にとって有利なオンライン価格が継続する可能性は低いと考えます。サプライチェーンへの影響が続けば、今後数か月間の価格変動をさらに悪化させる可能性があります」とコープランドは指摘しています。****
「新しい日常」としての、食料品のオンラインショッピング
アドビはまた、米国における食料品のオンライン通販の売上高が、4月中に1日あたり110%増加したことも明らかにしました。一方で、オンラインの食料品価格は、4月にわずかに上昇したものの、2019年1〜3月の水準に収まるものでした。
過去5年間、Eコマースの食料品価格は3月から8月にかけて下落し、9月から年末のホリデーシーズンにかけて上昇するというパターンを示していました。コープランドは、このパターンが今年も再現するかどうかはCOVID-19の状況にかかっている、としています。
さらにコープランドは、「現在、サプライヤーが食料品店向けに特定の商品の価格を引き上げている状況です。そのコストがEコマースのチャネルで消費者へ転嫁されるかどうか、引き続き追跡していく予定です」と、述べています。
最後に、ワイン、ビール、スピリッツ、アクセサリー類(ワイングラスやコルク抜きなど)のEコマースでの購入が4月に74%増加したことも、消費者が新しいリラックス方法を求めた動きとして注目すべき結果です。
最新のDEIについては、こちら(英語)からご覧いただけます。
*本記事は、2020年5月12日にアドビのエンタープライズソートリーダーシップエグゼクティブエディターのジゼル アブラモビッチ(Giselle Abramovich)が投稿したブログの抄訳版です。