アドビ ビデオ製品を継続的に強化していくための取り組み #PremierePro #AfterEffects #PremiereRush
ソフトウェアのパフォーマンスならびに安定性を向上させることは、私たち開発チームにとって最優先事項です。ここ1年間、ユーザーにその成果を届けられるよう、私たちはこれらの分野の開発を強化してきました。そのために、より頻繁なアップデートへの移行、より迅速な反復開発を可能にするチーム体制の整備、テストベースを拡大して開発プロセスにユーザーの参加とフィードバックを組み込み、パブリックベータプログラムの導入などに取り組みました。
現況の定期的なご報告
これは、ほんの始まりにすぎません。私たちはコミュニティーに対し、開発の現況を定期的にご報告していくつもりです。常に最新の進捗状況を知っていたいという方は、ぜひこのページをブックマークしてください。今回の記事では、私たちのこれまでの取り組みについてご説明します。
安定性
幅広いシステム上で動作する、幅広いフォーマットに対応したプロフェッショナルなビデオアプリケーションを提供する能力にかけては、私たちは自信を持っています。Premiere ProやAfter Effectsのようなアプリケーションがパワフルで柔軟性があり、拡張が容易なのはその結果です。そのような柔軟性は一方で、ハードウェア、ソフトウェア、OS、GPUなどの多様な組み合わせの結果としての、固有の設定やワークフローにおいて安定性が損なわれるリスクを孕んでいます。この問題に体系的に対処できるようにるするため、私たちは最近開発プロセスの変更に取り組んできました。
その結果、過去18か月間、着実なペースでリリースを重ね、改善を実施することができました。必要な修正に優先順位をつけ最も効果のあるものを選択するためにはデータ分析が用いられました。また、パブリックベータの導入はプロセスをスピードアップし、ユーザーにとって最も重要な分野に開発を集中させるのに役立ちました。
Premiere Proの「システムの互換性レポート」機能
安定性の問題は、すべてのユーザーに同じように影響するわけではありません。私たちは、クラッシュの統計と原因について広範な調査をおこなってきましたが、問題の大部分は要件を満たさないハードウェア使用や古いドライバーに起因することが分かっています。Premiere Proのような高度なアプリケーションにおいては、ほとんどすべてのワークフローで生じる問題に対する解答が用意されていますが、ユーザーがシステムをスムーズに動作させるために専門的知識が必須とされるべきではないことも私たちは認識しています。
Premiere Proの「システムの互換性レポート」。
Premiere Proにおいて古いドライバーに起因する問題を特定するための「システムの互換性レポート」機能を追加したのは昨年のことですが、それ以来、多くのユーザーにこの情報をご活用いただいています。私たちは今後も、システムの安定性保持に役立つ各種レポート機能を開発していく予定ですが、そもそもアプリケーションへのドライバーの不具合の影響を低減するという取り組みも続けていきます。
パフォーマンス
実際に体感するパフォーマンスは、ファイル形式、プロジェクトの複雑さ、ワークフローをはじめとするさまざまな要因の組み合わせの結果です。とりわけビデオ制作においては、ハードウェアの性能がパフォーマンスに大きな影響を与えます。そのため、Premiere Pro、After Effects、Audition、Character Animator、Adobe Media Encoder、Premiere Rushの各製品ごとに、私たちは詳細な必要システム構成をご案内しています。システムのアップグレードについては、Dell、HP、Puget Systemsなどのハードウェアパートナーからの推奨事項を含んだ「Premiere Pro/After Effects に合わせたシステムの最適化」というハードウェア推奨ガイドをご用意しています。
パフォーマンスは、再生(デコード)、書き出し(エンコード)、UIの応答性、そして個々の機能の動作速度といった領域それぞれで改善することができます。以下に、最近のアップデートの例を挙げながら、パフォーマンス改善のための私たちの取り組みをご紹介します。
再生能力の向上
特定のファイルフォーマットの処理がパフォーマンスに影響する場合があります。例えば、H.264やH.265(HEVC)のような高圧縮コーデックを使う場合、ポストプロダクション作業にはプロセッサー負荷の高い処理が求められます。これらのコーデックの再生を高速化するため、私たちはすでにmacOS版とWindows版(Intelとのコラボレーション(英語)によるIntel Quick Sync Videoの実装)のどちらにもハードウェアデコードを実装しています。この分野には今後も一層力を入れる予定で、H.264とHEVCの再生パフォーマンスは最優先事項のひとつです。
Apple ProResコーデックを含む、他のフォーマットの再生パフォーマンスも改善しています。私たちは通常、HDおよび4K(UHD)解像度のビデオを何本同時再生できるかというストリーム数をパフォーマンスの評価基準としています。
Premiere Proの現行バージョンと旧バージョンそれぞれの、同時再生可能なProRes 422 HQストリームの数を示すグラフ。HPのデスクトップおよびモバイルワークステーション上での評価です。
書き出し速度の向上
Premiere ProおよびAfter Effectsの最新バージョンでは、macOS版とWindows版が対応するすべての環境においてH.264とHEVCフォーマットのハードウェアエンコーディングが可能になりました。Windows版ではNVIDIA(英語)とAMDのGPUが新たにサポートされ、Premiere Proはこれらの環境でもハードウェアアクセラレーションを活用したエンコーディングの高速化ができるようになりました。
ハードウェアベースのエンコーディングを使用した書き出し速度の向上のHP Z8上での評価(英語)。Windows版でAMDとNVIDIAのサポートが追加されたことで、最新のmacOSとPCシステムでハードウェアエンコーディングが利用できるようになりました。
個別機能の最適化の例:自動リフレームの速度向上
After Effectsの「コンテンツに応じた塗りつぶし」やPremiere Proの「自動リフレーム」のような高度な機能は、プロセッサーとメモリーを大量に消費します。これらの機能の動作をより洗練させ、体感できる速度向上を実現するには、エンジニアリングの見直しとアルゴリズムの最適化がカギとなります。これにより、私たちは昨年、コンテンツに応じた塗りつぶしを2倍に高速化し、今年は自動リフレームでも同様の速度向上を達成することができました。
Premiere Proの自動リフレームは、Adobe Senseiの人口知能を活用し、異なるアスペクト比に収まるようにビデオを再構成します。この機能が、2倍の速度で動作するようになりました。
長期的な品質確保を目的としたパブリックベータ
今年始めに提供を開始したアドビのパブリックベータプログラムでは、希望するユーザーが、正式リリース前のビデオ&オーディオアプリケーションをインストールし、現行バージョンと並行して実行することができます。これにより、チームは現場で実際に使われている幅広いシステム構成を評価対象にできます。さらにプログラムは、製品チームがユーザーと対話し、バグ修正や機能に関する継続的なフィードバックを得るためのプラットフォームとしても機能します。
ここでご説明した、私たちのパフォーマンスと安定性への継続的なコミットメントの一環として、今後もこのブログ記事で進捗状況や活動内容をお知らせしていきます。私たちは、ビデオ制作の専門家やソーシャルビデオのクリエイターが、どこにいてもクリエイティビティーを最大限に発揮できるよう、制作現場のニーズに即したアプリや機能を提供することに全力を尽くしています。Creative Cloudのビデオ製品の最新バージョンについては、こちらの記事(英語)もご覧ください。
Premiere ProとAfter Effectsの推奨ハードウェアについてはこちらをご確認ください。
この記事は2020年5月19日に公開されたPerformance and Stability: Our Highest Priorityの抄訳です。