Global Accessibility Awareness Day(GAAD)に関連した、アドビのアクセシビリティ領域での活動について #AdobeColor
毎年5月の第3木曜日は、アクセシビリティへの理解を促進する日「Global Accessibility Awareness Day (GAAD)」です。2020年の今年もその日を迎えるにるにあたり、アドビはデザイナーでありADHD(注意欠如・多動症)のアドボケートでもあるダニ ドノヴァン(Dani Donovan)氏をお迎えしたオンラインイベントを2020年5月30日に開催しました。この記事では、新製品のリリースを含め、当日アドビがおこなったアクセシビリティ関連の発表についてご紹介します。
社内向けアクセシビリティトレーニングプログラム「Blue Belt」の刷新
アドビ社内向けのアクセシビリティトレーニングプログラム「Blue Belt」は、8年目を迎えました。これは、Webおよびソフトウェアのアクセシビリティの基礎を学ぶための、開発者やテスターを対象とした8時間のオンライントレーニングとして始まったものです。その後、年を追うごとにより多くの職種をカバーするようになり、世界規模で実施する対面トレーニングへと発展しました。
私たちは、アドビのエンジニアリングチームを対象としたBlue Beltトレーニングプログラムを刷新し、再びオンライントレーニングとして提供することを発表しました。これは、アドビの支援のもと2015年に設立された非営利団体「Teach Access(英語)」の活動をもとに発展させたプログラムとなっており、エンジニアリングスタッフに、よりインタラクティブな体験を提供するのがねらいです。
「Adobe Inclusive Design」Webサイトおよびワークショップ
Blue Beltプログラムから派生した活動のひとつである、「Inclusive Design」ワークショップは、Adobe Design部門が実施している対面型の終日トレーニングプログラムであり、昨年4月から今年1月までに世界中のアドビのデザイン関連部門に属する全従業員が受講しています。なお、本プログラムは、チームやレビューアーからのフィードバックをもとにカリキュラムを更新し、今年の7月から一般にも公開される予定です。
本コースは、障害だけでなく年齢、人種、性別、セクシュアリティ、経済的地位、文化、言語、識字率などを取り巻く、デザインにおけるさまざまなインクルージョンの側面を探求する3つのモジュールで構成されています。また、より深い理解を促すとともに、実践的なインクルーシブデザインの習熟に役立つ共同演習も含まれています。
さらに、新しく開設された「Inclusive Design(英語)」Webサイトは、インクルーシブデザインに取り組む私たち自身の経験や探求の成果についての最新情報をお届けするためのハブとなります。サイトに登録することで、ワークショップ関連の情報や、プログラムに関するその他のニュースを受け取ることができるようになります。
Adobe Colorのアップデート
インクルーシブデザインの取り組みのひとつとして、アドビに在籍する色の専門知識を深めたメンバーが開発、公開しているデザイナー向けツール「Adobe Color」が挙げられます。本ツールは、色彩学に基づき、デザイナーの色選びをアシストするものになっています。
このAdobe Colorに、色覚異常を持つ人々にとって問題となりうる色の組み合わせを識別するのに役立つ新機能「色覚異常対応」が追加されました。パネル上のカラーホイールに色の競合が生じる領域を示す「カラー競合」ラインが表示されるため、色の選択を簡単に修正できます。これまで複数のツールを組み合わせたり、何度も色の組み合わせを試行することで問題を解決してきたデザイナーにとって大きな一歩です。
色覚異常は人口の3~5%に見られる(英語)ため、適切なカラーシステムを作成してこの問題に対処することはとても重要です。この機能についての詳細と今後の展望について、カラーチームがブログ記事(英語)にしていますので、ぜひご覧ください。
Reactアクセシビリティ
アドビはこの1年間、障がい者の活躍推進のためのイニシアチブ「The Valuable 500」への加盟(英語)や、Adobe Experience Platformへのアクセシビリティ組み込み(英語)などに取り組んできました。アドビは、このようなアクセシビリティへのコミットメントとして引き続きさまざまなイノベーションを促進しています。ここでは、アドビ社内で使っている「React Spectrum」ライブラリを発展させた「React ARIA」コンポーネントライブラリ(ARIA=アクセシブルなリッチインターネットアプリケーションのための標準仕様)への取り組みと、「Adobe Connect」のアクセシビリティ強化についてご紹介します。
React Spectrumは、アドビが自社で活用しているデザインシステム「Spectrum(英語)」をReactベースで実装したものです。Spectrumは、アドビのすべてのアプリケーションを通じて、受容性が高い、利用しやすさを感じるエクスペリエンスを提供するために設計されています。アドビのエンジニアは現在、このデザインシステムが規定しているアクセシビリティ機能を、独立したUIの構成要素のライブラリとして抽出することに取り組んでおり、アドビ社外の皆さんにもお使いいただけるReact ARIAとして近日中にオープンソース提供する予定です。React Spectrumの開発を担当しているアドビのデヴォン ゴヴェット(Devon Govett)がReact ARIAプロジェクトの概要を説明しているYouTubeビデオ(英語、9:07:00から)をぜひご覧ください。
Adobe Connectのアップデート
アドビのWeb会議サービスであるAdobe Connectは、FlashベースのUIからHTMLベースのインターフェイスへの移行を進めています。HTMLインターフェイスをReact Spectrumを使って構築することで、Connect macOSユーザーにVoiceOverのサポートをはじめ、キーボードその他のアクセシビリティ支援機能のサポートが提供可能になりました。Connectチームは、Web会議の主催者と参加者のどなたでもアクセスしやすいエクスペリエンスを提供することにコミットしており、インターフェイスの改善をさらに重ねていく予定です。
今後の展望
この記事でご紹介した他にもアドビでは多くの取り組みをおこなっており、製品にもそれを反映していく予定です。今後数か月間にわたり、アクセシビリティを推進する新製品、新機能、ならびにイベントについてInclusive Design Webサイトでご紹介していきたいと考えています。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
この記事は2020年5月19日に公開されたAdobe Celebrates Global Accessibility Awareness Dayの抄訳です。