デジタル社会で活躍できる力を育てる ~アビリーンクリスチャン大学~
Adobe Creative Campusとして学生と教職員のデジタルスキルを高める取り組みの事例
米国テキサス州のアビリーンクリスチャン大学 (ACU) では、全学的にデジタルリテラシーを高める新しい取り組み を進めています。この大学はAdobe Creative Campus認定校で、デジタルリテラシー育成のために、アドビと提携をしています。学内で学生、教職員にAdobe Creative Cloudアプリケーションの研修を行うだけでなく、他の大学とも協力してコンテンツの共有を行うことで デジタルリテラシー教育機会を他学の学生にも提供しています。
「デジタルスキル教育を強化することは大学の戦略目標と合致しています。」教育学博士のMarisa Beard氏は言います。Beard氏はデジタルリテラシーを中心として、教育工学と産学連携を行うテクノロジーハブの責任者を務めています。「本学ではまずジャーナリズム、マスコミ、アートやデザインなどのクラス でCreative Cloudを使い始めました。そこからさらに、従来はクリエイティブとは無縁だったさまざまな学部でもCreative Cloudを活用するようになりました。」
例えば、web開発の講義では、UI/UXデザインと共同作業を実現するツールであるAdobe XDを使用して、実社会のUXを学び、プロトタイプを作成しています。農学部の学生は、プラスチックが環境に与える影響についてのプロジェクトで、ビデオ編集ソフトのAdobe Premiere Rushを使っています。Premiere Rushは、解剖、生理学の授業でも使われていて、体の仕組みに関する講義用資料作成に役立っています。看護学の授業では、Adobe Illustratorを使用し、視覚的にわかりやすい研究発表を行っています。
Adobe Creative Cloudのツールが使えることは、教授陣に講義内容、講義手法、講義資料のすべてについてよい影響をもたらしています。その結果、デジタルリテラシーが学生の学びの中心に取り込まれることとなり、学生たちは21世紀の実社会で活躍するために欠かせないスキルを身に付けることができるのです。
デジタルリテラシーが重要な理由
多くの高等教育機関では、学生がSTEM分野の仕事で通用するする力を付けられるようにすることを重視し始めていますが、高度なスキルを持った優秀な人材を輩出するためにはデジタルリテラシーも非常に重要です。Hays Global Skills Indexによると、世界の主な経済圏の60%が人材不足に直面しています。今や、会計士、事務職、ソフトウエア開発者、弁護士などあらゆる中間スキルおよび高度スキル業種で一定のデジタルスキルが必要です。求人情報サイトを見ても、ほぼ確実にデジタルスキルが応募条件となっています。
「現代社会では、デジタルリテラシーは専門分野に関わらずますます重要になってきています」ACUの解剖学と生理学の教授のAndres Saucedo氏は言います。「私の学生の大半は看護師を目指しています。ヘルスケアの世界では、患者さんに最善のケアを行うために、新しく進歩する技術に適応できることが不可欠です。」
デジタルリテラシーは現代社会で就職に必要な重要スキルの一つになりつつありますが、多くの大学はデジタルツールとソフトスキルをカリキュラムの中に関連づけて取り入れる方法に苦慮しています。大学の学費は年々上がり、毎年卒業生が社会に出ていきます。そのような中で、教育機関は、新しいリソースを取り入れ、学生がスキルを身に付けて学業でも卒業後の社会でも活躍できる競争力を身に着けられる教育を提供する責任を負っているのです。
これからの未来へ
アドビとのパートナーシップの利点を最大限に活かすため、ACUは産学連携ラボにAdobe Ambassadorという新たな役職を設け、その職に教育工学のスペシャリストであるAmos Gutierrez氏を迎えました。Amos氏は学内でのAdobe Creative Cloudアプリの活用に重点を置き、ワークショップ、ラボ、1対1指導やLinkedInラーニングビデオなどで教職員と学生に対して教育や研修を行っています。
「テクノロジーは私たちが住む世界の一部です。そして、すぐに進化していきます。その使い方や学び方を知らなければ、すぐに後れを取ってしまいます」Amos氏はこのように述べています。「今後ほぼすべての業界の企業が学生や従業員にデジタルツールを使いこなす力を求めるようになるでしょう」
看護学部長のTheresa Naldoza博士は次のように述べています。アドビはグラフィック、デザイン、写真の分野で非常に有名ですが、看護学のような他の学問分野でもデジタルリテラシーを重要視し、教育が授業のプロジェクトに積極的に導入しつつあることにぜひ注目して欲しいと思います。」
Naldoza博士によれば、教員が新しいことを学ぶ意義は大変大きく、教職員も常に学んでいることを学生に率直に示すことで、学生のやる気が高められたそうです。
経営科学とコンピューターサイエンスの准教授であるBrent Reeves博士によれば、Adobe Creative Campusになりアドビのデジタルツールを活用するもう一つのメリットは、学生がより実践的なワークフローを学べることだといいます。
「Adobe Creative Cloudが学内で無料で使えることで、より高いレベルの環境をすべての学生に提供することができます」とReeve氏は述べています。
ACUの取り組みは始まったばかりです。今後は「教員助成プログラム」を通じて、少なくとも20名の教員が、授業にアドビ製品を取り入れる予定です。さらに多くの学生たちが高いデジタルスキルを獲得し、より高い能力を身に着けた状態で社会に出る準備ができるようになります。
「デジタルツールを学ぶことは使い方を学ぶだけではありません」 Amos氏はいいます。「より効果的にコミュニケーションする方法を知ることです。つまりデジタルツールを学ぶことは、創造性を身に付けることなのです。」
ACUの取り組みがデジタルリテラシー教育の推進にとどまらず、学生が意欲的に学修し高いスキルを身に付けるための力強い取り組みであることを考えると、この大学が次世代のリーダーのトップランナーを輩出することは間違いないと思わされます。
ACUはAdobe Creative Campusとして、Adobe Creative Cloudツールを学生や教職員に提供しています。デジタルリテラシーの強化に取り組み、学生の学びに貢献しています。詳細を見る