デザイナーとコピーライターが手を組むべき理由とその方法 | アドビUX道場 #UXDojo

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エクスペリエンスデザインの基礎知識

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ここで一息。

この記事を表示したとき、目の前にダミーテキストが表示されませんでしたか?信じてもらえるのであれば、それはデザイナーと一緒に働くコピーライター、コンテンツチーム、あるいはクライアントが見たいものではありません。なぜなら、どんなに美しく、整理されて、効率的で、一貫性を持ったデザインをデザイナーが構築しても、実際のコンテンツを意識してつくられていなければ、成長(あるいは縮小)に伴う痛みが常にあるからです。

あなたがデザイナーなら、自分自身で新しいコンテンツを用意して、それを使ってデザインしたことはありますか?そのときにはどんな内容のコンテンツを書きましたか?

多くの人の答えはおそらく「いいえ」でしょう。デザインとコンテンツは、お互いの領域がほとんど重なることがなく、どちらの側にとっても歯がゆい方向へと追いやられている状況にあるようです。私は、デザインとコンテンツのハイブリッドな役割に就いたときに、この現象を経験しました。最も共感的で人間中心の思考を持つデザイナーとコンテンツチームでさえ、相手チームの持つ課題や作業プロセスに対する理解の欠如が、お互いを不快に感じるきっかけになり得るのです。

そこで、デザイナーとして、コンテンツ(およびコンテンツチーム)の役割を様々な場面において理解できる、いくつかのデザイン構築のアプローチを紹介します。

デザインする前に調整する

プロジェクトの開始時に、デザイナーとライターが一緒に作業できない場合があります。クライアントと制作会社に立場が分かれている場合もあれば、まったく異なるチームに属しているために接触の機会がほとんどない場合もあります。コンテンツ優先のデザインアプローチを採用しても、そうした状況にいると、必要となるコンテンツが間に合わないかもしれません。それでも、デザインに必要な要素の種類を定義することはできます。

デザインに必要な要素の種類を定義するのに役立つように、付箋にアイデアを書き留めます。

デジタルデザインのプロジェクトでは、クライアントのビジネス、彼らが達成したい目標、および既存のコンテンツを調査することで、基本的な要素の確認用リストを作成できます。ビデオコンテンツはあるか?企業コンセプトを伝える記事を提供しているか?開催するイベントのカレンダーはあるか?コンテンツ本体へと導くティーザーはあるか?今あるものがそのまま提供されることになるのか?

ビジネスのゴールとユーザーのニーズのバランスをとる上で、コンテンツがどのような役割を果たしているかを把握するには、各分野の専門家、そして理想的には一部の既存ユーザーへのインタビューを設定することが役立ちます。

コンテンツがまだ存在しない新規開発の場合は、クライアントやブランドが、公開初日、およびその先にどんなコンテンツをつくるつもりなのかを理解することが有効です。コンテンツを使ってデザインする上で重要な教訓は、一部のコンテンツのニーズのために多数のコンテンツのニーズを犠牲にしないことです。将来のコンテンツのための柔軟性をを最大限に保ちつつ、公開当初の限られたコンテンツによる物足りなさを最小限に抑えるデザインを心掛けます。

コンテンツを閉じ込めない

調査を行ってコンテンツ関連のニーズを把握した後は、コンテンツの種類やボリュームに合わせられるように、柔軟性をデザインに組み込みます。

デザイナーは、見出しと小見出しの2つの異なるスタイルを配置して要素を目立たせたいと思うかもしれませんが、コピーライターは、それがストーリーに不可欠でない限り、2つのコピーを作成することを好まないかもしれません。デザイナーが、2つの短い文を並べた時の見た目が一番いいと思ったとしても、コピーライターやクライアントは、メッセージを伝えるためには段落が(しかも複数)必要だと考えるかもしれません。仮のコンテンツを使い、見た目の観点からの判断のみで柔軟性のない要素をデザインすると、実際のコンテンツを組み込むときに、ライターにとってもデザイナーにとっても相当に苛立たしい状況になりかねません。

そうした状況の回避方法には以下のようなものがあります。

  1. かじる、つまむ、食べる」の考え方: コンテンツに対してこのようにアプローチすると、デザイナーには視覚的に明確な要素をデザインする機会が、ライターにはストーリー全体を語る機会が生まれます。そのコンテンツに特に興味を持っているユーザーはクリックして進むことでより詳細を発見することができ、一方、完全なコンテンツに興味のないユーザーの前にテキストが氾濫することはありません。
  2. ルールはそれが役立っている間は素晴らしい: ルールは破るためにあります。類似のコンテンツを3つまで並べられる美しい要素をデザインしたとしても、さらに柔軟性のある要素をデザインすれば、ライターがリストを削る必要はありません。
  3. コンテナの枠にとらわれない: コンテンツには多様性があります。リアルなコンテンツを考慮することなく決められた制約を受けるべきではありません。さまざまな長さのテキストに対応するボックス枠に制限されないレイアウトや、テキストの長さに応じて画像サイズが変化する配置のデザインなどを検討してみましょう。
  4. デザインのベストプラクティスはそれでも重要: 目標は、コンテンツを制限しない柔軟性のデザインと、デザインされた要素をダメにしないコンテンツの作成です。しかし、要素のデザインに過剰な柔軟性を持たせることで、これまで活用していたベストプラクティスを放棄してはなりません。ユーザーが目にするコピーの長さの編集は依然として重要な行為です。この記事で提案しているのは、文字数制限はコンテンツチームによって決められたソフトな制限であるべきで、デザイナー決定すべき制限ではないということです。

デザインは誘う、コンテンツは留める

良いデザインは目に見えないものだという噂が出回っています。今のところ、私はそれを信じていません。私が信じているのは、ユーザーがそこにいる理由はデザインではないということと、それを私たちデザイナーが覚えておくことの重要性です。

デザインシステムのようなアプローチの優れた点は、クライアントのストーリーを伝えるコンテンツを輝かせるための、柔軟な部品の一覧を実現できることです。個々の部品が機能するため、ページ全体をまずデザインして、それからコンテンツを詰め込むという手順は必要ありません。それがストーリーを語るための最善の方法ではないことを、今では誰もが知っています。たとえ、どんなに素晴らしいストーリーであったとしてもです。

実際、私のチームでは、クライアントとのミーティングやワークショップに、中身が空のデザイン要素をを作成して持ち込むことがよくあります。最初にページ上の最も重要な情報の概要について議論し、次に、そのコンテンツを表現するために適切そうないくつかの要素を選択します。油性マーカーとテープを取り出して、紙を順番に重ねて貼り付けていき、ストーリーの伝え方をまず決めて、それから配置を考えます。

このアプローチはコンテンツにデザインを決定させます。その逆ではありません。こうしたプロジェクトでは、チーム間の摩擦を大きく減らし、クライアントとはより協力的な関係をつくることができました。結局のところ、デザインはアジャイルなプロセスです。コピーライティングやクライアントとの協業も、同様に進めない理由はありません。

最後のアドバイスです。この記事を読んだ後で、あなたのチームがまだダミーコンテンツを使うことを決意しているのであれば、公開する前に正規のコンテンツと交換するのを忘れないでください。ダミーコンテンツより間抜け(訳注:ダミーには「間抜け」の意味がある)ものがあるとするなら、それを取り除くのを忘れることです!

この記事はDon’t Be a “Dummy” – Design with Content(著者:Jenna Brucoli)の抄訳です