Adobe Aero 2020年6月アップデートリリース。よりイマーシブ(没入的)なAR体験を実現する新機能を搭載

2020年6月リリースのAdobe Aeroでは、空間オーディオのサポートとビデオキャプチャの品質向上を導入し、イマーシブ(没入的)なAR体験の作成を支援します。

AR(拡張現実)は、デジタルストーリーを表現する次の広大なフロンティアです。このメディアとそれを支えるテクノロジーは、ここ数年で急速に進歩していますが、その制作はクリエイターにとって難しいものでした。そこで私たちは、昨年のAdobe MAX 2019において、AR体験を作成して共有したいと考えるすべての人が使える最先端のオーサリングツールとしてAdobe Aeroをリリースしました。今回のAeroの最新リリースでは、このツールを進化させ、物理的世界とデジタル世界の融合をさらに進める新機能を追加しました。

アーティストやデザイナーが、すでに素晴らしい作品をいくつも生み出しています。例えばドン アレン3世(Don Allen III)氏の「clean mirror(英語)」シリーズもそうですし、ナイマ アルメイダ(Naima Almeida)氏が自宅でAeroを使い制作した遊び心にあふれたシーンの数々は、この困難な時期にも多くの人々を笑顔にしてくれました。私たちはAdobe Aero Instagramチャンネルを通じてそういった素晴らしい作品をご紹介していますが、同時にARを次のステージへと進化させるために必要な領域への取り組みも始めています。それがオーディオです。

真にイマーシブなARエクスペリエンスを実現するための空間オーディオ

オーディオファイルをAeroのプロジェクトに追加し、リッチで多感覚な体験を作成できるようになりました。AR体験は次のレベルへと進化します。今回のアップデートには、より複雑なAR体験の作成を可能にする、強化された新しいUIも搭載されており、ARを使ったストーリーテリングで自己表現をするための最適なツールとなっています。

インパクトのあるイマーシブな体験の多くは、複数の感覚に訴えかけるものです。今回のAdobe Aeroのリリースでは、ARシーンにオーディオを読み込む機能を追加し、ビジュアル要素にインタラクティブなオーディオを加えた体験をデザインできるようになります。ARシーン内のオブジェクトにサウンドエフェクトを追加したり、音楽クリップを再生させるトリガーを設置したり、シーンにセリフの読み上げや会話を追加したり、その可能性は無限です。

Aeroに組み込まれた空間オーディオエンジンにより、ユーザーのアクションに基づいてサウンドがトリガーされるような、多感覚な体験を効果的にデザインすることができます。このエンジンにより、あらゆるAR体験上で、空間に配置された個々のデジタルオブジェクトの配置に紐付いた正確なサウンドスケープ(耳に聞こえる風景)を簡単にデザインできるようになります。オブジェクトが発するサウンドのレベルや周波数は、ユーザーのアクションや向いている方向によって変化させることができるので、最大限のリアリズムが実現できます。

シンプルな読み込み機能を使って.WAVと.MP4ファイルをアプリに読み込むだけで、Aeroのオーディオ機能を使えるようになります。自前のオーディオファイルを持っていない場合や、すぐにこの機能を使い始めたい場合は、「動作」作成ツールの「再生」オーディオアクションパネルに搭載されている120以上のサウンドエフェクトから選んで使うこともできます。いったんファイルを読み込めば、それをオブジェクトに追加し、動作を設定するだけの簡単操作で、最高のイマーシブAR体験の完成に向けてさまざまな試行錯誤を重ねることができます。

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デザイナーのナイマ アルメイダ(Naima Almeida)氏は、Adobe Aeroを使用して、空間的なサウンドエフェクトを統合した想像上のインタラクティブな庭園をデザインしています。これは、ウラジミール ペトコヴィッチ(Vladimir Petkovic)氏とのコラボレーションで制作されました。

最高水準のARエクスペリエンス制作のための、オーサリング機能の強化とビデオキャプチャの改善

Adobe Aeroで夢中になれるイマーシブな体験を作成するカギは、その正確さにあると私たちは考えています。そこでデザイナーがシーンを作成する際、より思い通りにコントロールできるようにする機能強化の一環としてUIに「3Dギズモ」を追加しました。これまでオブジェクトを空間に配置するためには、スライダーを使ったり、拘束のない(不正確で)自由な移動、拡大・縮小、回転といった操作を使っていましたが、この新しいツールでさらに高度なコントロールと視覚的フィードバックを提供できます。

また、AR体験に含まれるすべてのコンテンツを一覧でき、編集したいオブジェクトを簡単に選択できるシーングラフも追加されています。オブジェクトの表示のオン/オフや名前の変更、あるいは削除やロックなどの操作がすべてシーングラフ上でできるので、整理された状態を維持しながら、より複雑で高度な体験が作成できます。

さらに、Aeroコミュニティからのフィードバックを受けて、ビデオキャプチャの品質も大幅に改善しました。AR体験の録画品質は、これまでになく高いものになっています。

ARの民主化を次のステージへと拡大する大きな一歩

この記事でご紹介した最新の機能強化は、多感覚ARの作成の民主化に向けた新たな一歩です。ビジュアルとオーディオの両方を駆使したイマーシブなAR体験がデザインできるようになったAdobe Aeroをぜひご活用ください。皆さんの作品を拝見するのを楽しみにしています。

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