Adobe Stock FILM FEST 2020 ショートフィルム『Wonderful Lives』制作の舞台裏 #AdobeStock

by Adobe Stock Japan

Posted on 07-17-2020

アドビは2020年7月16日、Adobe Stock素材のみで作られたショートフィルムの映画祭「Adobe Stock FILM FEST 2020」を開催し、世界中の才能あふれる映像作家13人が制作した作品を上映しました。

この映画祭において、日本人クリエイターとして唯一の参加となったショウダ ユキヒロ氏は、フランク・キャプラ監督の映画『素晴らしき哉、人生!』にオマージュを捧げた『Wonderful Lives』を出品。さまざまな問題に直面する世界へ向けて、暖かなメッセージが込められた力強いショートフィルムです。
今回は同作品の舞台裏を紹介。映画祭への参加に至った経緯や作品に込めた想い、Adobe Stock素材を利用する際のノウハウなどについてお話を伺いました。

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【ショウダ ユキヒロ氏プロフィール】
デザイン、ファッション、音楽、建築などさまざまな分野の芸術を嗜み、それらをルーツとしながらVJ、モーショングラフィックスに傾倒。2005年からポストプロダクションに所属し、編集だけでなく撮影や録音、VEなどの技術を広く学ぶ。2009年にディレクターとして独立した後は2010年に坂本龍一の「watch_ryuichi sakamoto playing the piano 2009 japan」でライブ映像とツアー・ドキュメンタリー映像を担当。2011年には震災後の日本の未来を描いたショートフィルム『blind』を発表し、国内外で話題を呼ぶ。その後も広告映像を作るかたわら作品づくりを継続し、2016年には村上虹郎主演の体感型アートフィルム『KAMUY』を公開。2017年に渡米し、現在は東京とロサンゼルスを拠点にさまざまな活動を展開している。

海外での活動や映画制作を志したのはいつ頃ですか?

2010年に東京で開催されたライブ形式のワールドワイドデザインバトル「Cut &Paste」への参加がきっかけの1つです。モーションデザイン部門で優勝してNYでの世界大会まで行った際、会場で自分の作品が一番盛り上がっていたのに負けてしまったんです……そのときは悔しさよりも日本人でないオーディエンスが僕の作品を受け入れてくれたのが印象的で、自分の作品は海外でも通用するのだと実感しました。(本当はめっちゃ悔しかったですけど。)帰国したあとにショートフィルム『blind』をリリースしたときにも色々な反応をいただいて、映画で食べていきたいなと考えるようになりました。
ただ日本では映画はメジャーじゃないとなかなか食べていけない。そこでまずは自分の作りたいものは作りつつ、広告映像制作で実力をつけて海外に行くというプランを立てました。2016年、渡米前の集大成としてアートフィルム『KAMUY(カムイ)』を製作発表しました。寝転んで視聴する体験型の映画です。

KAMUY ©NION

そのあとロサンゼルスに移住されましたね。アメリカを選んだのはなぜですか?

「世界のスタンダード」がそこにあるからです。世界各地から大勢の人が集まり形成する市場なので、世界的に見たらニッチでも日本のメジャーより大きくなるチャンスがあると思いました。私はもともと超アングラ気質なので日本のメジャー映画は肌に合わなかったのですが、世界を舞台にした「グローバルニッチ」なら狙えるんじゃないかと。
そしてアメリカに渡ったのが2017年2月21日。その直後の25日にはオスカーの番組があって、知人の家でノミネートのリストを渡され、誰が受賞するかを予想しながら観ていました。誰もが知っている俳優たちが緊張しているさま、アカデミー賞という栄光を目の当たりにし、必ずこの場所へ行くんだと決意しました。それからハリウッドに住み始めて、アカデミー賞を目標に、約3年間勉強しながら映像制作を続けています。

今回の映画祭「Adobe Stock FILM FEST 2020」に出品したきっかけを教えてください。

普段からお世話になっているプロデュサーから電話がかかってきて、世界中で参加者を探しているということで……制作期間は5日間、Adobe Stockの素材のみで作るというレギュレーションを聞いたときは「マジで?」という第一印象でした。実は去年撮影した映画の編集中で、かつ新しい会社を立ち上げたりと忙しい時期ではあったのです。ただ、常にクリエーションしていたい性分だし、COVID-19の影響で思うように活動できず作品作りに飢えていたということもあり、すぐにアイデアを固めピッチ、その結果参加することになりました。
世界が問題に直面している中、みんなをチアアップするようなポジティブな話を作りたいというのが出発点で、フランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉、人生!』を現代の形に置き換えたオマージュ作品はどうだろうと。同作品のように人々が助け合いをする世の中になってほしいという希望を込めました。

そのアイデアをもとに、具体的にどんな工程からスタートしましたか?

まずはトリートメント(コンセプト、撮影手法、トーンから思い描く役者など細部にわたる監督の描く映像の設計図。)を書き、その後に脚本を精査して、どんな音楽を当てるかなど大まかな構成から見ていきました。ストーリーに対する全体尺を出すために、まずは自分と友人とで仮のボイスオーバーを録ってタイムラインに並べました。つぎにショットリストを作成して仮のカットを充て、それを元に撮影(今回はAdobe Stockからの素材チョイスという意味)の工程に移っていきました。
実際の撮影でも言えることですが、自分が「どんな素材がほしいのか」「どうしてその素材を使うのか」「そのシーンで何をいいたいのか」をはっきりさせておくことが重要です。「だからこのショットが必要なのだ」と自ら納得することでファイナルイメージができてきます。そうして目指すゴールを明確にし、逆算で制作期間5日分の仕事を割り振っていきました。

Adobe Stockからカットを探す作業はいかがでしたか?

ストック検索はなかなか根気のいる作業ですが、同じシネマトグラファーや好きな素材に使用されているタグで辿っていくと、理想の画像が見つけやすいと思いました。
検索中に見つけた、鳥が飛び交うアイスランドの海岸線沿いのショットなどは地球創生のイメージにはぴったりでした。その様に思いのほか良い素材を見つけたことで、ストーリーに変更を加えた箇所もあります。冒頭のドローンショットも、良い素材が沢山あったので全て俯瞰ショットで組むことができました。
あとは「天使が人を救って翼をもらうとベルが鳴る」という、オマージュ作品内の有名なくだりが、今回の僕が制作した作品のオチでした。これに合うベルのカットが見つからなかったらこのストーリーは成り立たない。じっくり半日費やした結果、自分が思い描いたショットを見つけることができました。
今回は5日間という制約があったのが逆によかったのかも知れません。もっと良い素材があるのではないか?と探し続けていたら編集は終わらなかったでしょう。だから無作為に素材を探し始めるのはおすすめしないですね。長期的に取り組むなら好きなルックのカメラマンや、お気に入りのリファレンス画像を溜めておくのがよいと思います。あと、もし私が次に同じレギュレーションで作るなら、スタッフの中にカメラマンを入れますね。ショットリストをもとに2、3人に選んでもらうという方法は面白い結果が得られるかもしれません。

素材の編集は具体的にどう進めましたか?

今回は自分で編集するのがルールだったので、仕上げのMAとグレーディング以外は自分で作業をしています。スケッチを書くような感覚で自分の考えを整理しながら編集していきました。
アニメーション作業はAfter Effectsを使用しています。エンジェルたちのセリフから摘出したウェーブフォームをキーフレーム化。エクスプレッションを使用し、5〜15dBの声の大きさに合わせて星(エンジェル)が30〜90%くらいの明滅を繰り返すというリップシンクの加工を施しています。星たちが飛んできたり飛び去ったりする動きは2Dのパーティクルを3D空間に置いて、カメラで動きをつけています。
また風景のカットなどでは逆再生やスピードを変えているところがあります。その際不自然な動きになる人間や車などは消し込み処理が必要になります。ショットを選定するときにどんな作業が必要かも考えながら進めていきました。

本番のボイスオーバーはどのように録音されたのですか?

半分くらいは友人の役者が担当しています。スマホを2つ持ってもらって、片方でディレクションを聞いてもらいながらもう片方で録音してもらいました。どうしても音のレベルや聞こえ方が録音環境によってまちまちになるので、イコライザーで整えたり、リバーブで空間を広げるような処理をして宇宙の雰囲気に包み込むことで問題ない仕上がりにしています。

最終的なグレーディングはどう行いましたか?

素材をどう使うかにもよりますが、良いショットでも硬すぎる部分などは絵が崩れない範疇でDaVinci Resolveによる色調整を行いました。イタリア人のカラリストにお願いしたのですが、ProResHQでのやりとりは重くなるので、フィードバックは2回くらいで済ませています。Adobe Stockに関しては、グレーディングの自由度を広げるためにはRAWやLog素材のラインナップを期待したいところですね。

Adobe Stock素材のみでの作品作りはいかがでしたか?

プロセス自体もチャレンジングだったので大変なことも多かったですが、この5日間はものすごく楽しかったです。本編の一番初めに入っている世界各地からの声の一つは、韓国に嫁いだ友人の旦那さんの声なんですけど、病院で子どもが生まれたのにCOVID-19の影響ですぐに会えず、「早く赤ちゃんに会いたいな」って言っていて……その他にも多言語での祈りの声など、世界中のいろいろな仲間に助けられました。観てくださった方が少しでも元気になり、楽しんでくれたら嬉しいです。

最後に、海外の活動を目指している日本のクリエイターに向けて、メッセージをお願いします。

キャリアの初期段階ではすぐに成功できないことを気に病んだり、やる前から無理と考えてしまう気持ちはよく分かります。僕も始めはそうでした。ただ自分の可能性を自分で否定する人はどこにも辿り着けません。私が海外に目を向けたときにはどこにも「日本人お断り」という看板はありませんでした。
自分の限界を決めるのは自分です。世界のクリエーターはその世界のトップを目指してるからこそ成長するんだと思います。どうせ自分の限界を設定するなら、人に笑われるくらい高い方がいいんじゃないですかね。僕はそういう人を応援します。ゴールを決めたならそこから逆算で今やるべきことが見えるはずです。あとは人の目を気にせず自分を信じて毎日ひたすら頑張ってください。僕も頑張ります。

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いかがだったでしょうか?現在も国内外の撮影が難しい状況が続いていますが、そういった状況下でもAdobe Stockの2億点以上もある素材を活用すれば、世界中のイメージを利用でき、今回のショートフィルムのような作品から、動画広告、バナー広告、パンフレットなど様々なクリエイティブを制作することができます。ぜひAdobe Stockをクリエイティブ制作にご活用ください。

Adobe Stockでは、現在、通常アセットが毎月10枚利用いただける年間サブスクリプションが、初月無料となるキャンペーンを引き続き継続中です。また、Adobe Stockは必要な素材を必要な時に、数点からご購入できる「クレジットパック」という購入オプションもご用意しています。クレジットパックはプリペイドでクレジットをご購入し、素材が必要な時にクレジットでご購入頂ける仕組みです。5クレジット 5,900円よりご購入でき、クレジット数が多いと割引率が高くなりお得です。一度ご購入されたクレジットは6ヵ月間ご利用可能で、Adobe Stockのすべての種類の素材をご購入することができます。

また、 Adobe Stockにアーティストとして参加されたい方は、新規登録をしてください。取り扱われるアセットタイプについては、各種ガイドラインをご覧ください。Adobe Stockについてさらに詳しく知りたい場合はこちらをご覧ください。

Topics: Stock, クリエイティブ, 映像

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