ムーブメントレスポンスでデジタル世界への窓を開こう #Adobe Stock
Adobe Stock ビジュアルトレンド
Adobe Stockが報告した、2020年のクリエイティブトレンドの一つに「ムーブメントレスポンス」があります。このブログではこのトレンドについてご紹介します。
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「window」という英単語には様々な意味がありますが、語源を紐解くと興味深い事実が見えてきます。元々の語源は古ノルド語の「vindauga」で、おおよその意味は「wind eye(風の目)」です。古英語ではその意味が転じて「eye door(目の扉)」を意味する「eagduru」という単語に変化しました。その後13世紀から現代まで時代が移り変わる中で、「window(窓)」は様々な意味を獲得していきます。建物の壁にある開口部、透明なガラス、「開く」の比喩的表現、コンピューターが稼働するプラットフォーム、さらにはインターネットブラウザーを操作するためのビジュアルインターフェイスのことまで指すようになりました。
「window」の様々な意味の中でも、「eye door(目の扉)」はほかのすべての意味に共通する「積極性」や「透過性」という特徴を見事に表しており、言葉の本質を捉えた表現だといえます。ノートパソコン、スマートフォン、テレビの画面は「スクリーン」と呼ばれていますが、その根本は「窓」だといえるのではないでしょうか。スマートフォンの画面はまるで光る窓、画面を隔てた向こう側には広大なデジタル世界が広がっています。私たちの視線が画面に注がれるとき、画面は窓のように世界を映し出すフレームになるのです。このような「内」と「外」、「仮想」と「現実」との間を行き来する機会は、ここ1年で確実に増えてきました。さらに直近の数ヶ月で各国がCOVID-19対策のためソーシャルディスタンスを導入したことが、この状況に拍車をかけています。モーションやレスポンシブ要素、アクティビティを、ビデオ、webページ、プロフィールにどのように追加するか。私たちの探求はとどまる所を知りません。できるだけたくさんの窓を開け、できるだけ外の世界と行き来しやすくするために。
Adobe Stock / Flashmovie.
アドビが2020年の2つ目のモーショントレンドとして紹介したムーブメントレスポンスは、いま特に注目度が高いトレンドです。ムーブメントレスポンスは実写動画とモーショングラフィックスを統合したテンプレートを収録し、あらゆる種類のレスポンシブな光と音を様々な対象に追加できます。アドビが紹介しているアーティストの中には、ダンスの動きに追従し、一つひとつの踊りや回転、旋回に反応して動くグラフィックを作成しているアーティストもいます。ジョイスティックを使用すれば、仮想のペンで空間に線を描くことも可能。手描きの炎が、動画の中で燃え盛るような映像だって作ることができるのです。
ソーシャルメディアを見ていて目にする機会が一番多いトレンド、それは「フェイスフィルター」ではないでしょうか。かわいらしい加工、シュールな加工から、気味の悪い加工やおもしろ加工まで、様々な加工を施すフィルターがあります。ただフェイスフィルター自体は、実はかなり昔から存在していました。特にアドビのコレクションの中で特に注目度が高いのは、動画内の動きに追従するだけではなく、動きに対して_レスポンシブに反応_するものです。実際の動きを検知し、その動きに対してデジタルで反応する。まさにインタラクティブなビジュアルエフェクトだといえるでしょう。
ムーブメントレスポンスをテーマにしたAdobe Stockのテンプレートコレクションは、特に人気が高く、149ある作品のほとんど(10種類を除く)は、ここ1年以内に作成されたものになります。特にこの数ヶ月間に追加されたものは、Box of Motion、Wavebreak Media、Sean Locke Photographyをはじめとするデザインスタジオ/アーティストが、精力的に取り組んでくれた作品になります。これらの作品はリリース直後から多くの人に利用いただいており、様々な地域で好評いただいております。
Adobe Stock / Gorodenkoff
「難しい」を「簡単」に
ビデオ内のオブジェクトに追従してオブジェクトにビジュアルエフェクトを追加するのは、特に目新しい技術ではありません。ですが、一般のユーザーがこの技術とデザインを利用できるようになったのはごく最近のことです。
Adobe Stockのモーションおよびオーディオ責任者であるTom Spotaはこう語っています。「以前は一部のハイエンドなプロフェッショナルにしかできなかった処理が、いまではもっと簡単なりました。一塁から二塁に走るランナーやダンスを踊る人の動きに合わせてモーショングラフィックスを適用するなんて、昔はそうそうできませんでした」。当時このようなことを実現しようと思えば、デジタルアニメーションやビジュアルエフェクトの様々なテクニックだけでなく、退屈で難解なロトスコープの知識も必要だったことでしょう。
今ではそうしたトラッキング機能の多くは、Adobe After Effectsをはじめとする最新のビジュアルエフェクトソフトウェアを使用すれば自動的に実行できるようになりました。
「いまや基本スキルさえあれば、誰でも動画を編集できる時代です。Adobe Stockからモーショングラフィックステンプレートをダウンロードして、タイムラインに読み込むのも造作ありません」とTomは言います。モーショングラフィックステンプレートは世界の一流アーティストが制作を手掛けています。After Effectsの機能を活用しているにもかかわらず、Premiere Pro内で直接使用、カスタマイズできるのが大きな魅力。わざわざAfter Effectsを開く必要はありません。この利便性の高さがきっかけとなり、レスポンシブデザインをクリエイティブに解釈する動きが大きく広がりました。
テンプレートやフィルターが急増している背景には、Spark ARのような中間プラットフォームの普及もあるでしょう。Sparkを使用すれば、デザイン経験がなくてもフィルターを作成してSnapchat、TikTok、Instagramなどのプラットフォームに公開できます。これこそ「クイズ」フィルターの種類が増え続けている理由ではないでしょうか。(Ariana Grandeも夢中に)「ポケモン診断」から「ハリーポッター・あなたにぴったりの寮は?」まで、実に様々なクイズが生まれています。
ただ、革新的なデザインやリアクション、機能を生み出すのは、今でもやはりAfter Effectsのようなビジュアルエフェクトプログラムを使用しているアーティストです。Sparkの影には有能なVFXデザイナーとモーショングラフィックスデザイナーがたくさんいて、ユーザー個人のウィンドウをどこまでレスポンシブにできるかを探求しているのです。
Adobe Stock / oles_photo
視野を広げよう
ムーブメントレスポンスはなぜ急激に広まっているのでしょうか?その理由のひとつに、近年注目されている拡張現実(AR)の活用があります。バーチャルなデザインを現実空間に投影すること自体は特に目新しいことではありません(研究者やプログラマーは60年代からARに取り組んでいました)。一方で、スマートフォンの処理能力向上により、ここ数年でアプリの数が爆発的に増えました。動画を撮影したり、グラフィックアプリケーションを処理できるようになったことで、プログラマーやデザイナーが表現できる幅が広がってきたのです。
最近では、企業で独自にAR機能を開発するようにもなりました。例えばコスメショップのSephoraでは、消費者はAR機能を使用して、購入前にバーチャル環境で自由にメイクを試すことができます。またIKEA Placeアプリケーションでは、自分の部屋に家具を投影して、今あるインテリアにフィットするかどうかを確認できます。ここで紹介したのは消費者向けのAR機能ですが、概算ではARのおよそ73%が医療、輸送業、製造業などの法人向けに開発されています。
ムーブメントレスポンスは文化的にも注目に値します。クリエイティブの分野で、2つの異なる要素を組み合わせた点は評価されるべきでしょう。
「ムーブメントレスポンスを取り入れるアーティストが増えてきました」。Adobe StockコントリビューターアウトリーチスペシャリストのPaul MacAniffはこう語っています。「このトレンドでは実写とグラフィックが統合されているので、それぞれ別の人物が制作しているケースが多いようです」。
一人二役をこなすアーティストもいますが、映像の専門家が撮影したライブアクションと一流のデザイナーが作成したモーショングラフィックスを組み合わせと、1人で制作したときにはないプラスアルファが生まれるのかもしれません。Paulの言葉を借りれば、「モーションコンテンツは単なる動画技術ではなく、現実世界の知覚を拡げるもの」です。
Adobe Stock / HQUALITY
トレンドの成長
最近のブランド広告やマーケティング広告を見れば、ムーブメントレスポンスがどれほど使用されているかがわかります。野球のスパイクからタコスがあふれ出る広告、バス停にエイリアンが襲来する広告。Taco Bell、Pepsi、Red Bullをはじめとする企業広告では、様々なバリエーションを見ることができます。ムーブメントレスポンスの光、カラー、モーションは、ソーシャルメディアのブランド広告には特に有効です。ソーシャルメディアではほとんどの人が音をオフにしているからです。音声がないと興味を引きにくいので、映像だけで注目を集めるには1.5秒程度が限界なのではないでしょうか。
どのビジュアルトレンドにもいえることですが、ムーブメントレスポンスでも結局はアーティストが何を作り、見る人が何をおもしろいと思うかという点に尽きます。Adobe Stockコンテンツ開発マネージャーのDennis Radekeは、こう指摘しています。「ソーシャルメディアでこのトレンドが出てきたときに、『これはSnapchatで使えそう』と思った人たちがいたのでしょうね。その後自分でアレンジしたバージョンをYoutube、TikTokなどのプラットフォームに投稿するようになっていったのでしょう」。アドビのコレクションをはじめとする様々なデザイン要素を活用すれば、どこにいてもイメージをカタチにできます。
いまや誰もがスマートフォンで手軽に動画を撮れる時代になりました。実写でクリエイティブな動画を作りたい、そんなときはムーブメントレスポンスがぴったりです。「これこそ、このトレンドが生まれた理由です」とDennisは語ります。「ほとんどの人がスマートフォンを使用しています。自分でちょっとした微調整ができ、自分の声で話すこともできて、思いのままにソーシャルメディアで公開できるようになりましたからね」。
世界中でほとんどの人が自己隔離と安全な対人距離の確保で自粛生活を余儀なくされるなか、多くの人がデジタルを通して活動をもっと充実させたいと思っているのではないでしょうか。ありきたりなビデオ会議や日常的なInstagramのビデオチャットにモーションを取り入れ、もっと生き生きとやり取りする新たな方法を積極的に探したい。そう思っているアーティストも少なくないはずです。ムーブメントレスポンスで、スマートフォンからデジタルの世界への窓を開きましょう。短調なスクリーンを見続けるべき理由などどこにもありません。
アドビでは新しいムーブメントレスポンステンプレートを無料で提供しているので、初めての方でも安心です。直接ダウンロードしてライブラリに追加することも、Adobe Premiereのライブラリ内で「movement response」を検索することもできます。映画製作者のValentina Vee氏によるデモでは、モーショングラフィックステンプレートの使い方とカスタマイズ方法が紹介されています(「テキスト」ではなく「ムーブメントレスポンス」で検索してください)。
アドビのコレクションとモーションテンプレートをチェックして、イメージにぴったりのアイデアを見つけましょう。またAfter Effectsを使用すれば、完全オリジナルのテンプレートをゼロから作成することもできます。是非トライしてみてください!
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いかがでしたでしょうか?今回紹介したビデオ素材やモーショングラフィックス素材はクレジットパックをご利用いただくと、お得にご利用頂けますのでお試しください。
また、Adobe Stockでは、写真やイラストを中心とした「通常アセット」を豊富にご用意しています。現在、通常アセットが毎月10枚利用いただける年間サブスクリプションが1ヵ月無料となるキャンペーンを引き続き継続中です。PhotoshopやIllustratorなどいつものアプリから直接検索でき、カンプ作成で行った制作作業を無駄にすることなく高解像度画像への差し替えが一発でできるため、高い作業効率を実現できます。まだの方はこの機会にぜひお試しください。Adobe Stockについてさらに詳しく知りたい場合はこちらをご覧ください。
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この記事は2020年5月13日にMalcolm Thorndike Nicholson により作成&公開されたOpening the Window with Movement Responseの抄訳です