光と影が鏡面で反射する幻想的な3DシーンをAdobe Dimensionで作成する

フォトグラファーで、Photoshop愛好家で、インスタグラムのインフルエンサーで、Witchoriaとして知られるヴィクトリア・シーマーは、7年以上前から幾何的な反射を表現に取り入れた幻想的な作品を制作しています。今やこれは彼女を代表するスタイルのひとつとなり、GucciSamsungなどとの契約や、ソニーのAlpha Imaging Collectiveメンバーとしての特権的な地位の獲得へとつながりました。

ビクトリアは、この記事のためにAdobe Dimensionを使って、オリジナルのシーンを(写真撮影は行わずに)作成してくれました。完成した3D画像は素晴らしい出来栄えで、まるでSF映画のワンシーンのために美術部門が用意したモックアップのようです。

幸いなことに、ビクトリアは彼女の制作プロセスをチュートリアル動画として共有することに同意してくれました。彼女が使用した素材をダウンロードして(下のGIF画像のような)彼女の成果を正確に再現したり、彼女の指示を参考にWitchoria風の架空の風景を独自に制作するための参考になる動画です。

事前準備

以下は、ビクトリアが今回のシーン制作に使用したアセットです。

ビクトリアと全く同じ3Dシーンを再現したい場合は、Adobe Stockのマテリアルと画像のライセンスの購入が必要ですが、チュートリアルのシナリオに従って作業を経験することが目的であれば、ライセンスを取得せず独自の画像ファイルとDimensionが無償で提供するマテリアルを使用して、この先の作業を進めてください。

上の動画では、シーン完成までの制作フロー全体を確認できます。個々のステップの説明は、以下のテキストをご覧ください。

1. シーンの設定

まずシーンの設定から着手します。入手したマテリアルを使う前の段階の作業です。

カンバスサイズの調整

ビクトリアは、プロパティパネルを使って、カンバスサイズを 2400 px x 3000 px に設定しました。次に、表示倍率のドロップダウンリストから「カンバスに合わせる」を選択し、カンバス全体が表示されるようにします。

地形データの読み込みと配置

ファイルメニューから、「読み込み」を選択し、さらに「3Dモデル」をクリックします。

読み込んだオブジェクトの色は白で、その背景の色も白です。このままでは、はっきりと見るのが難しいと多くの人が感じるでしょう。視認性を高める方法のひとつは、一時的にマテリアルを適用することです。ビクトリアは、画面左側のスタータアセットパネルの標準マテリアルから「艶消し」を選択しました。他のオススメの方法は、オブジェクトをダブルクリックしてマテリアルを選択し、プロパティパネルからベースカラーを暗い色に変更することです。

また、このオブジェクトは非常に小さな状態で読み込まれます。ビクトリアは拡大・縮小ツールを使って、オブジェクトを大きく引き延ばしました(その際、Shiftキーを押しながらドラッグすることで、全方向に等しく拡大しています)。方向が90度傾いて読み込まれるため、回転ツールを使ってオブジェクトの向きを変え、さらに位置を若干変更します。

こうした調整はプロパティパネルで実行することもできます。ビクトリアが操作した結果、設定された属性値は次の通りです。

位置 X: 1.1, Y: 5.9, Z: 0.9

回転 X: 90、Y:-180、Z: -180

サイズ X:51.73、Y:51.73、Z:12.31

カメラアングルを探る

このままオブジェクトの拡大や回転を続ける代わりに、ビクトリアはカメラツールを使用して、最終的なシーンを構成する構図を見つけました。カメラの角度を調整する軌道カメラツール、カメラを上下左右に動かすパンツール、そしてカメラを前後に動かす遠近ツールを使い、複雑な地形の中から求める構図を探ります。

カメラの設定をブックマークしておけば、いつでもその時点におけるカメラからの構図に戻ることができます。忘れずにブックマークの追加を行いましょう。

2. 色、テクスチャ、ライティングを追加する

シーンの設定が完了したら、次はそこに命を吹き込む作業を行います。

地形にマテリアルを適用する

「ファイル/読み込み/選択部分にマテリアルを配置」の順にクリックして選択します。

表示されたダイアログから、ダウンロードした岩のマテリアルを追加します。同じマテリアルを2回繰り返して追加することで、より詳細が再現されるようになります。

モデルとマテリアルアセットを使って水面を作成する

スターターアセットから平面を選択し、「水面」として使用します。ビクトリアは、サイズを 200 px x 200 px にしてから、移動ツールを使用して平面の表示位置を決めました。その際、緑の矢印をドラッグするとY軸に沿って水面を移動させることができます。少し構図が変わったので、カメラの位置を調節して、新しくブックマークを追加します。

続けて平面にメタルのマテリアルを設定します。すると、表面が反射するようになり、水らしい外観になります。この時点の水面は、周囲の岩山と真っ黒な(何もない)背景が写り込んだ状態です。

背景に空を読み込む

ここで、背景に空の画像を配置して、よりリアルな風景に近づけます。まずは、シーンパネルの「環境」を選択して、プロパティパネル内の背景のベースカラーを示す白い四角をクリックします。ウインドウが開いたら、画像タブをクリックして、先ほどダウンロードした雲の画像を追加します。これでシーンの背景に空が表示されます。

次に、シーンパネルの「環境光」を選択し、プロパティパネル内の画像のサムネイルをクリックして、もう一度雲の画像を追加します。そうすると、Dimensionが画像に含まれている光源を解析し、同じ位置からの光源を配置済みのモデルに適用します。これにより、実際に撮影したかのようなシーンができ上がります。水面には空の雲が写反射して見えるようになります。

太陽を照らす

続けて、太陽の光もシーンに加えます。スターターアセットの指向性ライトから太陽を選択すると、日光をライティングに追加できます。ビクトリアは、回転と高さを調整して、太陽がつくる影もシーンに追加しました。

このように、Dimensionでは、天気や時刻による影響を実際に確認しながら作業することができます。

アセットを使って鏡を作成する

最後に、反射する面をつくるために、シーンに鏡を追加します。ビクトリアは、スターターアセットの基本シェイプから立方体を選択して、それを鏡のような薄い立方体に変更しました。そして、適切な位置と角度を探ります。

このままでは鏡に何が反射するのか見ることができないため、平面と同様に立方体にもメタルのマテリアルを適用します。そしてウインドウメニューからレンダリングプレビューを表示を選択すれば、反射する表面を確認できます。

鏡の位置および角度の調整を繰り返し、自然にシーンに溶け込む反射を見つけます。角度を少し調整するだけで、鏡に反射する景色がが大きく変わるため、細心の注意を払って作業します。

この間、レンダリングプレビューは表示のままにしておきましょう。ライティングやシャドウの反射する様子を確認するためです。

Dimensionの利点のひとつは後からのサイズ変更が容易なことです。ビクトリアは途中でカンバスサイズを 6000 px x 6000 px に変更して、そのまま同じクオリティを維持したまま作業できることを実演してみせました。

3. レンダリング

ほぼ出来上がったと感じたら、レンダリングタブをクリックします。ビクトリアは、レンダリング設定に高画質を選択すると、レンダリングに時間がかかることを指摘しました。素早くプレビューを表示することが目的の場合は、低画質のPNG書き出しを選択するのがよいでしょう。また、クラウドレンダリング(ベータ版)を使用すると、レンダリングを大幅に高速化できます。クラウドレンダリングでは、Dimensionのシーンをクラウドにアップロードして、サーバ上でレンダリングが行われます。クラウドレンダリングは毎月15クレジット(高品質レンダリングは1回3クレジット)が利用可能です。

ヴィクトリア・シーマーのような幻想的な世界をつくろう

ビクトリアはDimensionを使って他にも素晴らしい作品をつくりました。そして、同じことをしたい人の役に立つ追加のチュートリアルも作成しています。以下のリンクから彼女のサイトを訪れて、彼女のスタイルを使いながら自分だけの幻想的な世界をつくる方法を学びましょう。

皆さんの素晴らしい3Dデザインを見ることを楽しみにしています。InstagramやBehanceにデザインを共有するときは、#AdobeDimensionタグを付けることを忘れずに。Behanceでは、ツールにAdobe Dimensionを選択してください。

この記事は3D Design Tutorial: Geometric Reflections in Adobe Dimension with Victoria Siemer(著者:RC Woodmass)の抄訳です