リモートからプレゼンテーションする前にすべき準備と心構えについて | アドビUX道場 #UXDojo
エクスペリエンスデザインの基礎知識
約束していた講演を断ったのは、この3月が初めてでした。ちょうどCOVID-19が流行し始めた時期で、会社は国外への移動禁止を決定しました。そのため、noBS conferenceの主催者に連絡を取って、初めてのオーストラリア旅行は別の機会を待たなければならないことを伝えました。主催者から代案としてリモートからの講演を勧められれたとき、私の中で大きな精神的変化が起きました。私はこれまで何回もパネルディスカッションや基調講演に参加してきましたが、バーチャルトークをしたことはなかったのです。それ以来、いくつかの基調講演や社内向けのプレゼンテーションを、すべて自宅から行ってきました。そこで学んだことをこの記事では紹介します。
いつもの手順に従う
以前、講演する前のルーチンについて書いたことがあるので、ここでは詳しくは触れません。一番のアドバイスは、自分がいつも実行しているルーチンがあるならそれを守ることです。いつも準備するのと同じように準備します。目の前に聴衆がいないトークはあまりフォーマルに感じられないかもしれません。自宅からの講演は快適でしょう。しかし、視聴者は専門家としての経験を期待しています。有料の講演ならなおさらです。1万人の前でステージに上がるかのように準備をしましょう。身なりを整え、振る舞いを少し変えるだけで、プレゼンテーションに変化が生じます。聴衆はそれに気付くでしょう。
事前に環境をチェックする
最新のWiFiシステムを使用しているなら、プレゼンテーションに使うPCが優先的に帯域を使用するよう設定されていることを確認しましょう。可能であれば、講演中にインターネット接続を一時停止できるデバイスのグループも設定しておきます。すべての(スマート)デバイスをマナーモードにします。家のインターフォンなども可能なものは着信音をオフにします。家に他の人がいるなら、近づかないように伝えましょう。ドアをロックするか、混乱の元になる可能性のある相手に何かを与えておきます。私の場合、重要な会議の時は、犬のアルフィーに噛みごたえのあるおやつをあげることにしています。
機器の設定を確認する
カメラチェックをします。後ろに何が映っているかを確認します。気が散るようなモノがないでしょうか?あるいは、話したい話にプラスになるものが映っているでしょうか?これらはプレゼンテーションの一部です。
仕事をしている部屋に窓があるでしょうか?時間によっては、ブラインドと良い室内照明が必要になるかもしれません。講演する時間帯の周囲の状況をよく確認しましょう。
頻繁にリモートからの講演行う場合、あるいは大勢の視聴者が想定される場合は、ハードウェアへの投資を考慮しても良いかもしれません。デジタル一眼レフカメラにElgatoのCam Link 4Kのようなデバイス接続して動画をストリーミングすれば画質は格段に向上します。Blue YetiやRode NTのようなマイクも投資する価値はあるかもしれません。
また、PCのデスクトップを整理して、ブラウザーの不要なタブを閉じ、ブックマークバーなどは非表示にします。自分の閲覧履歴を他の人たちに覚えていて欲しくはくはないでしょう。プレゼンテーションを始めた瞬間に、画面上のすべてが共有されるかもしれないことを覚えておきましょう。
サポート用のデバイスを使う
おそらく最も重要なアドバイスは、サポート用デバイスの使用についてです。ほとんどのプレゼンテーション用ソフトウェアでは画面をミラーリングすることになります。そうすると、講演のメモを画面に表示しておくことができません。iPhoneをKeynoteの二次スクリーンとして使うと、この問題を回避できます。MacでKeynoteを実行していてiOSデバイスが同じネットワーク上にある場合、デバイスからプレゼンテーションを制御できます。その際、デバイスが視線上にあるよう配置して、遠くを見たり、下に顔を向けたりしないよう注意します。この2つ目の画面には、スピーカーノート、タイマー、そしてプレゼンテーションのコントロール機能が提供されます。
もしiPadのような贅沢品を持っているなら、Keynoteと一緒に他のアプリをマルチタスクモードで使うことができます。そうすれば何か不具合が起きたときに、プレゼンテーションを聞いている友人からSlackにメッセージをもらえます。また、2台目のデバイスは、聴衆とのチャットにも利用できます。リモートから講演することの利点のひとつは、視聴者からは見ることのできないスペースを活用できることです。
テクニカルリハーサルを依頼する
主催者と協力して、技術的な検証を行います。リモートから行う基調講演であれば、少なくとも1日前には行いましょう。接続をテストし、配信用ソフトウェアのバージョンが正しいことを確認します。また、上記の事前チェックを行い、抜けが無いかどうかも確認できます。基調講演ではこうした確認は一般的ですが、すべてのオンライン講演で必ずしも実施されるとは限りません。リスクやノイズを最小限に抑えて、当日のパフォーマンスに集中できるよう準備しておきましょう。
無観客のプレゼンテーションに備える
プレゼンテーショする相手を見ることができるかを事前に確認します。小規模なチームミーティングでは、これは問題にならないでしょう。しかし、カンファレンスで講演をするときは、何のフィードバックも得ることができないかもしれません。つまり、自分と、自分のコンピューターだけが存在する状況です。
オーストラリアでの講演のときは、何度も事前練習を繰り返しました。人々がいつ笑うのか、いつうなずくのか、講演全体がどのように受け取られるのかは、比較的自信を持ってわかっていました。相手の見えない状況でプレゼンテーションをする前に、少なくとも一人の前で実演することをお勧めします。それが不可能な場合は、自分のプレゼンテーションを録画して、それを見直しましょう。少人数を相手にするなら不要かもしれませんが、大人数の前で話すのであれば、相手の反応が見えないときの自信に大きな違いを与えるでしょう。
この新しい状況下でプレゼンテーションを行う際に、この記事が役立つことを願います。リモートからプレゼンテーションをする際のヒントやコツを見つけた人は、ぜひ広く共有してください。
この記事はGiving Remote Presentations(著者:Eric Snowden)の抄訳です