イノベーションを紐解く – テクニカルリサーチアーティスト 伊藤大地 #AdobeLife

by Adobe Comms

Posted on 08-20-2020

世界をキャンバスにクリエイティブなアイデアを実現に導く、その極意を聞いた

テクノロジーの進化を背景に、クリエイティブな表現の世界を次の段階に押し上げようと、絶え間ない奮闘を続けているのが伊藤大地です。伊藤はテクニカルリサーチアーティストとして、スケッチ&ペイントの技術から3Dモデリング、そしてアニメーション化に至るまで、多くの媒体で高い価値を生み出す新しいテクノロジーの開発に力を注いでいます。デジタル化が進むアートのかたち、アーティストとテクノロジーの距離をどのようにして縮めるか、そしてカリカチュアを描き続ける理由について、詳しく聞きました。

アーティストとしての出発点、そしてクリエイティビティが刺激されたきっかけについて教えてください

昔から絵を描くことが大好きで、4歳になった頃には1日中線路の絵を描いていました。スケッチブックを手にすると、決まって最初のページに電車を描くのです。電車を描き終えると、次のページから先を線路で埋め尽くしていました。自分で描いた電車を頭の中で走らせるのですが、そこで思い浮かべる線路の形状は様々です。どんな線路の上を走らせたいか想像をふくらませ、延々と描いていました。

アートをさらに高いレベルで学びたいという思いからサンノゼ州立大学でアートを専攻し、芸術に対する強い思いを追及しました。参加していたアニメーション&イラストレーションプログラムで、プロのコンセプトアーティストにお会いする機会がありました。コンセプトアーティストの役割は、映画やゲームを製作するにあたり、想像上の概念を具現化することです。この出会いがきっかけとなり、自分の頭の中に広がる世界に輪郭を与えたいという意欲が強くわき起こりました。思えばまさに小さな子どもの頃からやっていたことでした。

芸術とテクノロジーの関係性についてはどのようにお考えですか?

経験からいうと、テクノロジーはアーティストの地位を奪うものではなく、キャパシティを引き上げてくれるものだと思っています。AIや機械学習が登場して久しいわけですが、コンテンツをゼロから組み立て、クリエイティブなアイデアをかたちに落とし込むことができるのは、今でも変わらずアーティストだけです。ただ、クリエイティブな仕事にも、ある意味単調で煩わしい作業というものが存在します。例えば写真から素材を切り出す作業などがそうです。テクノロジーを活用すれば、こうした部分にかかる負担を減らすことができます。

アーティストは、テクノロジーに使われるのではなく、使えるようにならなければなりません。一方で、テクノロジーの開発に携わるリサーチャーやエンジニアは、必ずしもアーティストのニーズを深く理解しているわけではありません。それに気づいてから、私はアーティストとリサーチャーの意思疎通を助ける「通訳者」であろうとしています。アドビのリサーチャーやエンジニアと協力し、テクノロジーの力でクリエイティブの世界に一段と貢献できるよう、改善点のフィードバックを行っています。

サンノゼのアドビ本社では、ランチタイムのカフェで社員のポートレートを描く伊藤さんの姿をよく見かける、と聞いています。デジタルツールでカリカチュアを描いているそうですが、詳しく聞かせてください。

お金をかけずにポートレートを描いてもらえるとなればみんな喜んでくれますし、最初は面白がって始めただけでした。しばらくして、アドビリサーチに機械学習を用いたカリカチュア関連のプロジェクトがあるということを知り、自分が描いた絵をトレーニング用のデータとして提供することになりました。多くのアドビ社員と出会えるだけでなく、開発中のテクノロジーが将来イノベーションを起こす可能性に寄与できるのですから、今はもう楽しくてしかたがありません。現在は在宅勤務なので、ランチタイムにビデオ会議システムをつなぎ、リモートで描かせてもらっています。

アドビリサーチの仕事では、ご自身のクリエイティビティがどのように活かされていますか?今まで満足感が最も大きかったプロジェクトについても教えてください。

私のスマートフォンには長い「ウィッシュリスト」が入っています。「こんなツールがあればいいのに……」という考えが浮かんだら、例え実現不可能に思えたとしても、その都度リストに書き加えています。将来テクノロジーでなにが現実となるのか、知っている人はこの世にひとりもいませんから。新しいプロジェクトを始める時は、いつもこのリストから取り組む内容を選んでいます。

ウィッシュリストからひとつ例をあげると、「写真をトレースしてクリアな線画を起こす」というものがありました。これを叶えるため、ほかのリサーチャーと一緒になってインターンを採用し、スタートさせたのが「Project Fine Line」です。去年Adobe MAX JapanのSneak Previewで、プロトタイプを発表しました。将来的に、当社のクリエイティブツールで力を発揮する可能性を秘めた技術だと考えています。

ご自分を表すことばを3つ、選んでください。

「クリエイティブ」「ユニーク」「観察好き」の3つです。

日々をもっとクリエイティブに過ごしたいと考える人々にアドバイスをお願いします。

新しいことに挑戦したいという気持ちがあるなら、それが絵でも料理でも写真でも、とにかく始めてみることです。始めてしまえば、クリエイティビティはおのずと発揮されます。情熱をもってやり続ければ、その先には最高の結果が待っています。

クリエイティブなコミュニティに飛び込んでみるのも良いと思います。クリエイティビティに富んだ人と時間をともにすると、想像力が掻き立てられ、洞察力も磨かれます。世の中には才能あるアーティストがたくさんいます。枠にとらわれない発想に触れる機会をもてば、刺激を受けられるはずです。

私の場合、なにかをひらめいたらメモかイラストに残しておくようにしています。インスピレーションは思いもよらない時に突然ふってくるものです。運転中かもしれないし、シャワーを浴びている時かもしれません。眠っている間だって例外ではありません。

あとは脳が疲れてしまわないよう、しっかり食べて睡眠を十分にとることも大事ですよ!

Topics: Adobe Life, コーポレートニュース

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