MAX Sneaks 2020で披露された、境界を突破するクリエイティビティとイノベーション #Sneaks #AdobeMAX

Adobe MAX 2020の時間はあっという間に過ぎ去ってしまったような気がします。Creative Cloudの毎年恒例のクリエイティブカンファレンスですが、今年はいくつもの史上初のことがありました。オールデジタルへの完全移行、誰もが参加できる無料での開催、そして人気のSneaksも初めて公にライブ配信されました。

Sneaksは、さながらオーディション番組『アメリカン・アイドル』のアドビ版です。想像力豊かな研究者やエンジニアたちが、現実の世界から私達を連れ去り、テクノロジーが願いを叶えてくれる未来へと1時間だけテレポートしてくれるのです。Sneaksで発表されるプロジェクトはみな初期段階のものですが、テクノロジーの可能性を探求する彼らによる最先端の研究成果です。この数年を振り返ると、アドビ製品に実際に採用されたプロジェクトも少なくありません。

今年も、クリエイティブイノベーションの境界を突破する、夢のような9つのテクノロジーが、10人の勇敢なアドビ社員によって発表されました。セッションの進行役は、特別ゲストのチェルシー ハンドラー氏(Chelsea Handler)とエバンジェリストのポール トラニ(Paul Trani)です。

MAXでライブ配信されたSneaksを見そびれた皆さん(WiFiのせいにしておきましょうか)のために、この記事ではセッションを再現し、すべてのプロジェクトをダイジェストでご紹介します。これらワイルドでクレイジーかつ印象深いプロジェクトの中で気に入ったものがあれば、プロジェクトのタグを付けて感想をソーシャルに投稿し、私達に教えて下さい。

#SharpShotSneak(Adobe Senseiを活用)

スマートフォンの普及により、誰もが手の中に収まる高品質なカメラを持ち歩くようになりました。随分と便利になりましたが、いまいましいカメラの手ブレ問題は解決していません。

撮影時のちょっとしたことでビデオはたやすくブレるものです。画面のブレた映像は理由が何であれ好ましくなく、よく知られた修復テクニックはありますが、膨大な手作業なしに明確な品質向上は不可能です。#SharpShotSneakは、最新のコンピュータービジョンと深層学習を活用し、ブレしてしまった映像でも、アクションはそのままに、シャープで安定したフッテージに変換します。

プレゼンター:シュビ グプタ(Shubhi Gupta)

#2DPlus

Illustratorで作成した2Dオブジェクトに、手作業でそれらしい感じを出すのではなく、瞬時に立体感を加えられたら素晴らしいですよね?「ベクターリアリズム」とでも呼ぶべき新しいスタイルを適用可能にする#2DPlusは、動的に変更可能なシャドウ、オブジェクトに追従するシャドウ、オブジェクトの自動再配置、グラフィックパターンの適用による照明効果といった機能を組み合わせ、グラフィックデザイナー好みの2.5Dルックを作成してくれます。3Dアプリの習得に時間をかける必要はありません。

プレゼンター:ラケシュ バイディヤ(Rakesh Baidya)

#Scantastic

AR(拡張現実)によるイマーシブな3Dエクスペリエンスの人気が高まり、3Dモデルの需要もこれまでになく増加しています。しかし、3Dモデルをモデリングしながらリアルに近づけていくには、適切なテクスチャの作成やモデル細部の作り込みといった手作業が必要で、容易なことではありません。

#Scantasticは、スマートフォンだけでフォトグラメトリパイプラインを完結できる直感的なソリューションで、ユーザーに求められる操作を最小限に抑えつつ、実環境から3Dモデルをキャプチャすることが可能になります。

プレゼンター:ニヒール グプタ(Nikhil Gupta)

#InSyncSneak

XDファイルが本番での環境のアプリケーションとして完成する道のりは、並行して走る別々の物体を最終地点で合体させるようなものです。デザイナーはデザインファイル上で画面のスペックを定義し、一方の開発者はそのスペックに可能な限り忠実であろうと努めます。しかしその間、アプリ内でそのまま再利用できる形で両者が共有できる成果物はごくわずかです。

#InSyncSneakはこの断絶した2つの世界を繋ぎ、デザイナーが実装とデザインを一体化して共有できるようにします。具体的には、XDで「ブリッジプロトタイプ」を作成し、そのまま本番環境にプッシュすることを可能にします。

プレゼンター:アレクサンドル ダニエル ミレア(Alexandru-Daniel Mirea)

#TypographicBrushes

単調なテキストを手書き風にスタイル化し、より生き生きとしたテキストオブジェクトに変えるテクニックは、さまざまなアートワークで使われています。しかしこれにはテキストに使われる文字の字形一つひとつをPhotoshopで何時間もかけてスタンプ化したものが必要です。誰だって、そんな暇はありませんよね。

#TypographicBrushesを使えば、ユーザーが描いたストロークと、選択したブラシを組み合わせ、テキストオブジェクトのタイプデザインの特性に合わせて適用します。手描きペイント風のブラシを活かしたまったく新しいフォントファミリーがわずか数秒で出来上がるのです。

プレゼンター:ニプン ジンダル(Nipun Jindal)

#MaterialWorld(*Adobe Senseiを活用)

1枚の画像から3Dアセットを作成することは、それ自体が難しいことです。オブジェクトに命を吹き込むのに欠かせないテクスチャの作成も容易ではありません。#MaterialWorldは、自然光のライティングを前提とした直感的なマテリアル認識プロセスを実現し、これまでキャプチャに必要だった複雑なセットアップやユーザー入力を省けます。最終的な結果は、感触がイメージできるほどリアルなデジタルテクスチャです。

プレゼンター:ロザリー マーティン(Rosalie Martin)

#OnTheBeatSneak(*Adobe Senseiを活用)

あなたが流行りのTikTokダンスを練習したり、ミュージックビデオの主演をしたり、自分の結婚式のファーストダンスを再現したりする場面を思い浮かべてください。あなたは素敵で、ミュージックは話題になりそうなもので、でも動きと音が合っていないとしたら。踊りが苦手か、テンポに乗り切れないのか、あるいはその両方か。そんなことを想像させます。

クオリティの高いダンス動画を作るには、音楽のビートに体の動きが同期していなければいけません。#OnTheBeatSneakは、リズムから外れた動きを特定して修正、ビートにぴったり合ったビデオを生成します。

プレゼンター:ジメイ ヤン(Jimei Yang)

#PhysicsWhiz

3Dツール内でオブジェクトを思い通りに操作するのは大変です。現実世界と同じように自然で、互いにめり込んだりしないようにオブジェクトを配置するには、高いスキルとディテールへのこだわり、そしてかなりの時間が必要です。しかし、現実世界におけるオブジェクトの配置は、アイテムを積み上げ、ちょっとずらして位置を調整するだけで完了します。重力と物理の力にすべてお任せというわけです。

現実世界のシンプルさとデジタル世界のテクノロジーを結びつける #PhysicsWhizは、ユーザーの直感的な物理操作感覚とデジタルツールの精密さを融合させた、物理ベースのレイアウトツールです。

プレゼンター:ジュヒェン ワン(Jui-Hsien Wang)

#ARTogether

今日の標準的なARユーザー体験は、チームの一致団結というよりも単独ミッションのように見えます。これでは、チームワークによって開かれるARユーザー体験の可能性が閉ざされてしまいます。#ARTogetherは、参加する誰もが同じ現実空間とバーチャルオブジェクトを同時に見られるマルチユーザー体験を提供します。同じARシーン内でコラボレーションしながら、ユーザー体験の質を損なわずにオーサリングすることが可能です。

プレゼンター:ハオリャン ワン(Haoliang Wang)

#ComicBlast(*Adobe Senseiを活用)

コミックブックのデザインは、グラフィックデザイン業界で最もエキサイティングな潮流のひとつです。しかし、その視覚化テクノロジーが200年かけて印刷物からデジタル、アニメーションやモーション、さらには最近のAR/VRコミックスまでに進化した一方で、デザインプロセスは原始的で時間のかかるものに留まっています。

コミックブックを作る側と見る側の双方に革新をもたらす#ComicBlastは、作業効率化やコラボレーションの思想を組み入れたインテリジェントなデザインおよびテクノロジーのパラダイムを導入することで、コミックが100倍のスピードで楽しく制作できるようにします。

プレゼンター:ガリマ アローラ(Garima Arora)

この記事は10月21日(米国時間)に公開されたMAX Sneaks 2020 ー where creativity and innovation knows no boundsの抄訳です。