オンラインビジュアルワークショップのススメ
ビジネスの場で活用するビジュアルクリエイション
みなさん、こんにちは。
アドビでプロフェッショナルサービスを提供しているコンサルタントの山田と申します。
プロフェッショナルサービスチームでは、アイデアや構想をカタチにするワークショップを多数行っており、様々なお客様のテーマに応じたカスタマイズでファシリテーションを支援しています。
今回は、そんなプロフェッショナルチームのワークショップ術のうち、ビジュアルを中心に活用するコミュニケーションをオンラインで上手に取り仕切る方法について、明日から役立てる技をご紹介したいと思います。
テレワークが推奨される中、大人数で集まり、大きなロール紙に付箋紙を貼って進めていくワークショップが難しくなっていませんか?あるいは、オンラインで試しにやってみたけれど、なかなか意見がまとまらなかったり、オンライン会議だと発言が難しかったり、理解を確認しあう、ということが難しい、と思うことがあると思います。
どうしても、コトバとテキストのやりとりだけでは、認識を揃えたり意味について共通の理解を持つことは難しくなります。この課題に対して、ストックフォトを活用した、イメージを使ったファシリテーションのワークショップの提案です。いくつかのルールとポイントをおさえれば、これまでコトバとテキストを主体にすすめていたワークショップも大きく変わります。
(1)オンラインコラボレーションする場所を決める
いわゆるデジタルホワイトボードと呼ばれる、同じタイミングに複数の人が共同編集できるツールがあるとスムーズです。手軽に準備をするのであれば、プレゼンテーションツールやノートツールのオンライン共同編集機能を使うことができます。ただし、一度に閲覧できる範囲が決まっていたり、レイアウトの自由度が少し落ちてしまうので、例えばAdobe XDのようなキャンバスサイズを問わず、複数人で共同編集ができるコラボレーションツールを利用すると、視認性と取り回しやすさを担保して、ワークショップの体験を高めることができます。
(2)アジェンダテーマと進行方法を事前に定めておく
当日とりあえず集まって、さあ話し合おう、ということも可能ではありますが、事前に話し合うテーマ、そのテーマである理由、到達ゴールについて、決めておき、参加者と共有しておくことが大切です。
いざ、集まって、話し始めてみると、「あれ、なんで今日はこの話をしているんだっけ?」「何を決めるための会だっけ?」ということを思うタイミングは多くあると思います。
できれば、事前ワークを設定したり、当日の役割分担の任命などを事前に割り当てるなど円滑な進行をするための準備は進めておきましょう。
こうした準備段階から、Adobe XDのキャンバスに書き込みながら進めていくと、当日のアクセスもスムーズになるので、終始同じコラボレーションツールを使うことがポイントです。
(3)ルールと制限を設ける
アドビのプロフェッショナルチームが提供するワークショップでは、必ず本日のルールというスライドでルールを説明する時間を設けています。ルールといっても非常に当たり前なこと(下図参照)が書かれているだけですが、参加しやすい雰囲気をつくる、ということがワークショップ進行において非常に重要になります。
「制限」を設けるということも、発想を拡げたり、考えを深める上で役にたつことがあり、私が行うワークショップでもよく行います。
今回のビジュアルワークショップのススメにおいての重要な「制限」は、あえてコトバを使わず、写真を使ったビジュアルだけで表現をしてください、というものです。
例えば、自己紹介をフォトストックの中にある写真だけを使って表現してください、というお題にして、参加者の皆さんに自分を表現してもらい、集まった画像からこれは誰?と問いかけて参加者に当てていってもらう、アイスブレイクを私は行ったりします。これをすると、三者三様の表現が集まり、今日の気分を表現する人、好きなコトを表現する人、いろいろなイメージとともに意外な発見や気付きを得ることができます。
(4)ビジュアル選定に正解を求めず、選定意図や意見を引き出し、認識を合わせる
ビジュアルワークショップのポイントはコトバではなく、イメージを用いてコミュニケーション意図を確認しあうことです。選定した写真の良し悪しではなく、どうしてこのビジュアルを選んだのか、その背景にあることはなにか、について耳を傾け、同調したりアイデアを載せていくことで認識を揃えたり、アイデアを洗練させていくことが重要です。
ビジュアルワークショップの良いところは、私は絵心がないからという人でも、すでにあるビジュアルから選ぶだけ、という手軽さがあります。正解を選ぶというよりも、自分の直感で選び、意見を出し合うことで、コトバによるコミュニケーションと異なるニュアンスを表現して、意思疎通を図っていけるようにしましょう。
まずは身近なストックフォトで実践する
Adobe Stockでは様々なジャンルにおけるシーンのビジュアルが揃っています。まずは自分のチームの中で自己紹介をAdobe Stockの写真だけを使って、Adobe XDのキャンバスに貼りあい、誰を表す写真なのかを当てるようなことにチャレンジしてみてください。
ビジュアルを探していくうちに、自分が表現したいと思っていることがコトバで考えるよりも多い視点をもってできるようになるはずです。
<お役立ちリンク>
※本連載は、Creative Cloud オンラインセミナー “ビジュアルクリエイションで 説得力を向上させる入門講座” との連動企画です
2020/11/18 16:00 –【オンライン】ビジュアルクリエイションワークショップ実践編
<連載担当>
アドビ:山田 智久
マーケティング領域におけるブランドクリエティブとテクノロジーの融合を手段に、クリエイティブコミュニケーションの課題解決に長年従事。博報堂アイ・スタジオでは、感性だけではなく、データを起点にクリエイティブを発想するデータドリブンクリエイティブ部を発足、後に、統合デジタルマーケティングセンター長としてブランドプロモーションやオウンドメディアリニューアルを推進するプロデューサーとして従事。2016年よりアドビにコンサルタントとして入社後、マーケティングテクノロジーを活用した施策のみならず、デジタル組織の構築支援や制作プロセス改革支援などのサービスを開発。エンドユーザーと働く人のエクスペリエンスを最適する、エクスペリエンス・クリエイションをつくるメソトロジーを多く考案