「世代を超えたつながり」で認知度を高める #AdobeStock

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Adobe Stock ビジュアルトレンド

Adobe Stock2020年のクリエイティブトレンドは、COVID-19が爆発的に流行する直前に公開されました。まさか公開後に人々の暮らしが根底から覆され今年1年の計画が頓挫することになろうとは、この時点では私たちの誰一人予想していません。ただ想定外の事態が起きたものの、ここで発表したトレンド予測は引き続き有効です。

一例をあげると、今年特に大きなトレンドになっているのが世代を超えたつながりです。文化と美的感覚は2020年に大きな転換期を迎えましたが、このトレンドは引き続き主要業界の全体で高い相関関係を保っています。医療、銀行、金融、美容、ウェルネス、ファッションなどの業界のキャンペーンを見ると、このトレンドが流行しているのがよくわかります。トレンドの流行は今後もしばらく続くでしょう。

なぜ今「世代を超える」ことが重要なのか

近年では、医療とウェルネスの確かな進歩によって寿命が延び、健康的な生活を送れる人が増えています。その結果、働ける人の年齢が上昇。これまで「高齢者」とされていた年代でも、労働意欲を保ち、引退せずに働き続ける人が増えてきました。こうした変化により、50歳以上の人々の可処分所得が増加し、いきいきと生産的に暮らせる年齢が飛躍的に上昇したものと考えられます。

Adobe Stock/Hero Images/Hero Images

高齢者人口の増加は止まりません。世界保健機関(WHO)によると、世界人口における60歳超の割合は、2015年から2050年の間に12%から22%へとほぼ倍増することが予想されています。現代は医療やネットワーク技術が進歩したおかげでシニア世代がこれまでにないほどアクティブになり、世界中でその存在感と重要性を増しているといえるでしょう。

シニア世代の特徴、それは豊かな経済力です。ニールセン社のレポートによると、50歳以上の消費者は「マーケティング史上最も価値ある世代」とされています。2015年以降、米国における可分所得の70%はベビーブーマー世代が担っており、支出もほかのどの世代よりも高い年間4,000億ドルを誇ります。米国の消費の50%以上はベビーブーマー世代が支えているのです。

ベビーブーマー世代の影響力を考えると、ブランド各社がこの世代の購買意欲を刺激しようと様々な施策を打つのも当然だといえるのではないでしょうか。業界全体を見渡しても、X世代とベビーブーマー世代の消費者を取り込もうと画策している企業は少なくありません。企業のマーケティング担当者には、高齢の消費者を取り込むためには、歳を重ねても健康的に暮らしを楽しむ人々を表現したビジュアルを前面に押し出していかなければならないことがわかっているのです。

新たな方向性

では、シニア世代に響くビジュアルとはどのようなビジュアルなのでしょうか。Adobe Stockをご利用いただいている様々な業界のブランド各社と話をしていると、頻繁に話題にのぼる要素がいくつかあります。同時代的で商業的にも利用価値が高く、訴求力にも優れたシニア世代のストック画像を生み出す秘訣。それはあらゆるコミュニティと個人を対象とする表現、つまりダイバーシティとインクルージョンです。

Adobe Stock/LIGHTFIELD STUDIOS

全米退職者協会(AARP)が実施した調査によると、これまでのストック写真では高齢者は寂しい人、あるいは「助けを必要とする」人としてステレオタイプに描かれてきました(ひとりぼっちで家にいる老人、じっと座っているシーン、老人ホーム、杖など)。しかし、そのようなステレオタイプは現実を正しく表現していません。アクティブで活動的に暮らしている50代、60代、70代以上の健康な高齢者の方で、ステレオタイプが表現しているようなセルフイメージを持っている人はほとんどいないでしょう。高齢者層は非常に豊かな人生経験を持っており、最近では企業のマーケティング担当者もその点に着目し始めました。ブランド各社が現在求めているのは、シニア世代の消費者が暮らしをいきいきと楽しんでいるというだけでなく、世界各地に暮らすシニア世代の様々な人生経験、ライフスタイル、背景、個性を描いたリアルな表現なのです。

Adobe Stock/Sam Edwards/Caia Image

近年では、若い世代の消費者にターゲットを絞っていた多くのブランドが、顧客の年齢層を広く設定するようになってきました。若さへの過剰なまでのこだわりで知られるファッション、美容、ウェルネスの業界でも、インクルージョン促進に向けた大きな動きが見られます。Target、L’Oreal、Fenty、Sephoraのような世界的なブランドや、Outdoor Voices、Rachel Comeyをはじめとするブティックブランドはその筆頭です。

COVID-19および美的感覚の大きな変容

COVID-19のパンデミックによって、ブランド各社における人物の表現方法は大きく変化し、さらに率先して被写体となる人の数も増えました。

Adobe Stock/Hero Images

主要業界は、パンデミックへの対応で明らかに変化しました。この変化は、業界各社によるライフスタイル画像の利用方法にはっきり表れています。

例えば、金融業界と医療業界はともにデジタルサービスの推進に踏み切り、その結果50歳以上の人がデジタルデバイスを使って金融取引をしている画像や、遠隔医療の画像を目にする機会が増えました。オンライン診療や予防医療サービスを利用するシーンを表現した画像も増えています。

Adobe Stock/Westend61

一般的にベビーブーマー世代は若い世代よりもCOVID-19で重症化するケースが多いため、シニア世代が安全な対人距離を積極的に保ちながら健康に暮らしているイメージの画像に対する需要は、全体として拡大しているといえるでしょう。この変化は様々な業界で起きており、遠隔医療、オンライン帰省、オンライン飲み会およびオンライン会議、食べ物や日用品を宅配するエッセンシャルワーカーの画像が増えてきています。

注目に値するのは、市場で需要が拡大しているのは_すべての_年代の画像であり、60歳以上の高齢者の画像だけに需要が集まっているわけではないということです。ただし、シニア世代はCOVID-19の感染リスクが高いため、高齢の消費者を表現した画像の重要性は特に高いといえます。パンデミックの影響で生活に支障が出ているものの、私たち自身も不便な現状に適応しはじめてきました。そんな中ブランド各社が求めているのは、概して幅広い年齢層をリアルに描いた表現だといえるでしょう。

Adobe Stock/Hero Images

シニア世代が毎日送っている日常生活(がらんとした部屋や病院にぽつんといる姿とは対照的です)をリアルに描写しようとすると、必然的に家族や友人との世代を超えた交流も描くことになります。COVID-19のパンデミックにより、家族は外との接触を避け、まるで閉ざされた「気泡」の中にいるような「隔離」された環境で生活するようになってきています。それを受け、ブランド各社も現状を反映した多種多様な家族の画像をキャンペーンに取り入れるようになってきました。

Adobe Stockでも、多世代家族の画像に対する需要が急増しています。求められている画像には、パンデミックの初期段階に「隔離」環境で一緒に暮らす大勢の家族の画像もあれば、隔離中に会えなくて心配していた高齢の家族に初めて直接会えた人たちを描いた画像もあります。パンデミックが続くなか、家族の暮らしは少し様子が変わったかもしれませんが、家族の時間が大切であることは変わりません。多くの人にとって、そうした時間は今まで以上に大切になっているのです。

ビジュアルトレンドを詳しくお知りになりたい方は、ぜひAdobe Stockの「All Ages Welcome」ギャラリーをご覧ください。

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この記事は2020年10月1日にBrenda Milisにより作成&公開されたAll Ages Welcome to greater visibilityの抄訳です。

ヘッダー写真:Marc Bordons/Stocksy / Adobe Stock