小中高等学校の先生が研修でAdobe Sparkでロゴ作りに挑戦!〜奈良県の「GIGAスクール構想 先生応援プログラム」

アドビのクリエイティブツールの活用が公立の小・中・高・特別支援学校でも始まろうとしています。奈良県では、GIGAスクール構想によるひとり1台のタブレットPC端末整備を県域で進めてきたのに伴い、Adobeの「教育機関向け無料Sparkライセンス」を導入しました。市町村を越え県内の各学校の先生と児童・生徒が、Adobe Sparkと1アカウントあたり2GBのクラウドストレージを利用できる体制が整っています。地域ごとに活用フェーズを迎える中、奈良県立教育研究所が主催する教員研修「GIGAスクール構想 先生応援プログラム」の一環として10月20日(火)にAdobe Sparkの研修が行われました。

チャットで質問を受け付けながらリモート研修

リモートで行われたAdobe Sparkの研修

教育現場ではまだ珍しい完全リモート研修

すでにGoogleのG Suite for Educationを導入済みの奈良県。今回の研修も、G Suiteの学校用コミュニケーションツールであるGoogle Classroomをプラットフォームに、ビデオ会議のGoogle Meetを利用してリモートで行われました。参加する先生はそれぞれの学校からパソコン等でアクセスするだけ。移動の負担がなく短時間で参加できる手軽さは大きな魅力です。リモート業務に親和性の高い業界ではすでに当たり前の研修スタイルですが、学校現場ではまだ少なく先進的と言えます。

Adobe Sparkの研修に申し込んだ先生は、Google Classroomの研修用クラスに招待され、クラス画面からGoogle Meetのアイコンをクリックするだけで研修に参加できます。

Google Classroomのクラス画面。リンクから簡単にMeetに参加できる。研修用の事前資料もClassroom上で公開されている

デザインの基礎知識をレクチャー

Adobe Sparkは、グラフィックを作成する「Spark Post」、ウェブページを作成する「Spark Page」、ショートビデオを作成する「Spark Video」の3種があり、全てウェブアプリとしてブラウザで利用します。今回は「Spark Post」を実習形式で学びながら「ロゴ」を作るのがテーマです。

Adobe Sparkではさまざまなクリエイティブワークをウェブブラウザ上で手軽に行える

講師のAdobe Education Evangelist 井上リサは、まず良いロゴの条件を「ぱっとみてわかる」「シンプルである」という明快なキーワードで紹介し、デザインの基礎知識として、色、書体、形、余白の役割と特徴を解説しました。Adobe Sparkは、豊富なテンプレートやすぐれた設定項目のおかげでデザインの知識がなくともクオリティの高いグラフィックが作れるアプリですが、使う人がデザインの目のつけどころを理解していればさらにその力を発揮します。事例豊富に誰にとってもわかりやすい説明で、実習の準備となりました。

あっという間にロゴが完成!

いよいよ「Spark Post」の実習です。今回はテンプレートを使用せずに各自オリジナルのロゴを作ります。基本機能の説明のあと、講師の井上がデモンストレーションでたこ焼き屋のロゴを作りました。テキストの書式、色、シェイプとの組み合わせ等をコントロールし、タコのアイコンを追加してちょっとした工夫を加え、10分も経たないうちにロゴが完成しました。

デモで作成されたたこ焼き屋のロゴ。簡単なステップで作成できる

この作例は講師であるプロのデザイナーの手によるものですが、制作手順を見ていると、「Spark Post」の編集機能は操作が簡単なだけでなく、色やさまざまな選択肢が厳選されていて、誰もが自然とデザインのバランスが取れるように工夫されていることがわかります。

受講者のロゴ制作は課題となり、2日後を期限に提出となりました。自分の名前をモチーフに15分間で好きなだけ作成するなど、いくつかのルールが示されました。

課題について説明する講師の井上。適度な制約を設けることで、初心者でも制作しやすくなる

共同編集や他サービスとの共有にも便利

Adobe SparkのプロジェクトはAdobeのクラウドストレージ上に自動保存されるのでデータを失う心配がなく、自分のアカウントでSparkを起動すればいつでも開けます。Adobeユーザー同士で共同編集するのも簡単です。作品はPNG、JPEG、PDFの形式でダウンロードできるので、誰かにメッセージで送ったり、スライド資料に貼ったり、プリントしたりと自由に活用できます。

研修の課題提出は、Google Classroomの課題管理機能で行います。教育機関向けのAdobe Sparkの場合、Sparkから「共有」メニューでそのままClassroomに課題提出をすることができてとても便利です。もちろん、好みの形式でダウンロードしてから添付で提出しても構いません。

Adobe Sparkの[共有]メニューからGoogle Classroomに直接課題提出ができる。教育機関向けのSparkはMicrosoft Teamsとの連携や、Microsoft OneNoteへのデータ埋め込みにも対応している

セミナー動画や疑問点を共有して繰り返し学べる

限られた時間のセミナーなので、操作説明を追いかけきれないこともありますが、当日中にセミナー動画がGoogle Classroom上で共有され、受講生なら繰り返し見直せる体制も整えられました。

Google Classroomで研修動画を公開したところ

奈良県立教育研究所の鹿島慎一指導主事によれば、奈良県全域の先生と児童・生徒がユーザーになるということは、15万人ほどの規模になるということです。奈良県ではGIGAスクール環境を現場で使いこなすために、10月に「GIGAスクール構想 先生応援プログラム」を立ち上げたばかり。負担感の少ないオンライン研修がたくさん用意されていて、県内の先生が自由に参加できる体制が整えられています。研修メニューでは、奈良県で基本プラットフォームとなるG Suite for Educationの使い方にも力を入れていて、今回のAdobe Spark研修は、 Google Classroomのリアルな活用練習にもなりました。今回の「Spark Post」に続き、「Spark Video」と「Spark Page」の研修も同じスタイルで行われます。

力作ぞろいの課題

課題で提出された作品の一部をご紹介しましょう。

提出された課題作品の一部。短時間で工夫をこらした作品が集まった

1回の研修と制作は15分という制限つきの課題制作でこれだけの力作が集まりました。提出作品は「先生方同士でオープンに作品を見せ合うことで制作意欲やインスピレーションにできれば」との意図で、奈良県の先生方向けにSpark Pageで作品共有用Webページが用意されました。

実際に先生自身が手を動かして使ってみることで、操作性を実感し、授業での活用アイディアがイメージできたのではないでしょうか。今回はロゴでしたが、例えば自己紹介カードやポスターなど様々なグラフィックの制作に使えますので、学習の成果を表現する子ども達の活動にはぴったりです。子ども達の日常的な学習に当たり前に使われる日が来るのが楽しみです。

(文/狩野さやか)

GIGAスクールモデルに最適! 教育機関向け無料 Adobe Spark

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