クリエイティブとテクノロジーの分野で活躍できる学生を育成 ~フルセイル大学
テクノロジーを追い風に
フルセイル大学では、エンターテインメント、メディア、アート、およびテクノロジー業界で活躍できる学生を育成するため、各業界のベテランが指導するプロジェクトベースの課程、および早期就職を可能にする短期学位プログラムを開設しています。従来の大学とは異なるこの方法により、フルセイルの卒業生は、賞を獲得した音楽アルバム、人気の映画やテレビ番組、最新のテクノロジー、ベストセラービデオゲームなどを手掛け、ポップカルチャー分野で名を馳せてきました。
同大学は、1979年に小規模なレコーディングアートのワークショッププログラムを立ち上げ、以来大きな発展を遂げてきました。今日では、アート&デザイン、ビジネス、テクノロジー、映画&テレビ、ゲーム開発、メディア&コミュニケーション、音楽、スポーツ放送などの学位取得課程が設計されています。どの課程にもテクノロジーが深くかかわっていることから、フルセイルは一貫してあらゆるデジタルツールに投資するというビジョンを掲げてきました。
フルセイル大学産学連携部長のScott Dansby氏はこう述べます。「本学では、学生たちを成功に導くことを究極の目的と考え、卒業後の夢の実現に役立つテクノロジーに投資しています。10年以上にわたりオンライン授業を提供していますし、コンピューターアニメーションやゲームデザインといった新しいテクノロジーに対応できるよう、常にプログラムを進化させています」
同大学は、多くの教育機関よりも早く学習管理システム(LMS)を導入しました。2007年には、フルセイル独自の文化を再現するFull Sail Onlineを一から構築。これは、プロジェクトベースの学習や、学生と教職員との1対1のやり取りが可能な、メディアを駆使したデジタル環境です。このプラットフォームの立ち上げが大きな転機となり、世界中の学生を対象とするオンラインでの学位課程が開始されました。また、学生の技術力を強化するためのProject LaunchBoxという全学共通のプログラムも実施しています。
広報部長のCasey Tanous氏はこう語っています。「Project LaunchBoxでは、まず学位課程ごとに全員が同じラップトップとソフトウェアを使用します。これにより、教職員が学生に指導する際の多くの障害が取り除かれ、スムーズな共同作業への道が開かれることになります」
学生にとってLaunchBoxの「価値」のひとつは、Adobe Creative Cloudです。フルセイルでは、2014年からAdobe Creative Cloudを学生に提供しています。プロが使う業界標準ツールとして、Adobe Creative Cloudアプリはフルセイルの学位課程の多くに必要不可欠です。そのため大勢の学生がCreative Cloudを利用しますが、毎月新入生が入る一方で卒業生もいるため、常にユーザーが入れ替わります。同大学では、Creative Cloudのサブスクリプションを導入し、Adobe Admin Consoleを使用して、新入生に即座にライセンスを割り当てています。フルセイルとアドビをつないでいるのは、アプリそのものだけではありません。
「アドビはフルセイル大学にとって常に良きパートナーであり、アドビ製品を独自の方法で効果的に使っておられる他業界の専門家の方たちとの架け橋です」とDansby氏。「そうした人脈を活かして、ゲストスピーカーや講師を招いていますし、特別プロジェクトを立ち上げたり、Adobe Creative Jamに参加したりもしています」
「アドビはフルセイル大学にとって常に良きパートナーであり、アドビ製品を独自の方法で効果的に
使っておられる他業界の専門家の方たちとの架け橋です」
Scott Dansby氏
フルセイル大学産学連携部長
パンデミック状況下でも授業を継続
フルセイルのテクノロジーへの投資は、実りあるものとなりました。特に効果を発揮したのは、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックに対応して、キャンパスで学んでいた5,000人以上の学生を完全なオンライン授業へとスムーズに移行させたときです。
Dansby氏はこう話しています。「本学では、10年以上前にオンライン化を見据えていました。今こうして17,000人を超える学生をサポートする強力なプラットフォームが整っているのは、とてもありがたいことです。オンライン授業への移行は数日で完了したため、学生は継続して授業を受けることができました」
オンライン授業になじむと、学生も教職員もAdobe Creative Cloudを利用して順調に課程を進め、新たな手段で研究課題に取り組むことさえありました。特に、パンデミック状況下では、普段のように直接写真を撮影できないことから、Adobe Stockの素材を利用する機会が急増しました。
「Adobe Stockを利用できることは、1日中講義を受けながら課題の期限を守ろうとしている学生にとって、大きなメリットとなりました」とDansby氏は述べています。Adobe Stockにアクセスすれば一から作成しなくても素材を利用できることから、教職員にとっても、教材の準備時間短縮につながります。しかも、Adobe Premiere Proなどのツールと連携しているため、素材のライセンスを取得して、プロジェクトのシーケンスに直接追加するのも容易になります。
最近、フルセイルはAdobe Creative Cloudのサブスクリプションを拡大し、ビデオ、モーショングラフィックス、オーディオクリップ、3D要素のAdobe Stockコレクションも利用できるようにしました。すぐに使える素材がさらに豊富になったことで、学生はキャンパスでも自宅でも一段と意欲的に創作に取り組んでいます。
プロ品質のアプリに対する気後れを解消
多くの学位課程において、アドビアプリは単なる便利なツールではなく、カリキュラムに必須となっています。そのため、メディアコミュニケーション、エンターテインメントビジネス、音楽ビジネス、スポーツ放送、映画、デジタル映画撮影、文芸の学位課程で学ぶ前にニューメディアツールクラスの受講が義務付けられています。
ニューメディアツールのコースディレクター、Pete Episcopo氏は次のように述べています。「Adobe Creative Cloudアプリをみんなが臆することなく使えるようにするのが、私の役割です。全学位の学生に一連の入門チュートリアルを見せ、6種類のアドビアプリを1ヶ月で習得させます」
学生たちは、まずAdobe Illustratorでロゴをデザインし、それをAfter Effectsでアニメーション化します。次に、Adobe Photoshopで合成画像を作成。Adobe Auditionでオーディオを、Premiere Proでビデオを編集します。最後に、Adobe InDesignでポートフォリオにまとめます。こうしてアプリ間でファイルを移動させるうちに、Creative Cloudライブラリのワークフローを使いこなせるようになります。
Episcopo氏は、創作にとってストック素材が非常に重要であると考え、Adobe Stockをチュートリアルに組み込もうと取り組んでいます。「ストーリーを表現するうえで視覚的メタファーは非常に重要ですが、アイデアを形にするのに必要な写真が学生の手元にあるとは限りません。ストック素材があれば、それを補えます」と同氏は言います。「みんなAdobe Stockをとても重宝しています」
フルセイル大学がニューメディアツールコースを必須科目としているのには、理由があります。Adobe Creative Cloudを安心して使用できれば、他の講座で成果を挙げやすくなり、しかも楽しんで学べるのです。
「ストーリーを表現するうえで視覚的メタファーは非常に重要です。
みんなAdobe Stockをとても重宝しています」
Pete Episcopo氏
フルセイル大学ニューメディアツールコースディレクター
プロ仕様のツールを使う実践的なデザインプロジェクト
デジタルアート/デザイン/グラフィックデザイン課程の学生は、Adobe Creative Cloudをすぐに使いこなせるようになります。毎日ツールを使うことで、業界標準アプリでプロ品質のロゴやwebサイト、写真、モーショングラフィックス、3Dアニメーションを作成する方法を身につけるのです。使用ツールには、Adobe Illustrator、InDesign、Photoshopはもちろん、Premiere Pro、After Effects、XD、Lightroom、Dimensionなども含まれます。これは、デザインの世界で活躍するための準備として貴重な経験です。
Eric Rosenfeld氏は、デジタルアート/デザイン/グラフィックデザイン課程のプログラムディレクターです。彼はAdobe Stockを単なる素材集ではなく、プロの仕事に役立つ素材を学ぶための場とみなし、その利用を促進しています。
Rosenfeld氏はこう述べます。「Adobe Stockで提供されている素材を分析してニーズを把握するよう学生たちに勧めています。彼らは、業界のデザイナーやビデオ編集者にとって実用的な素材とはどういうものかを感覚的につかみ、独自の素材を生み出してAdobe Stockに投稿し始めています」
Rosenfeld氏は、Adobe Stockがパンデミック状況下のオンライン授業に効果を発揮することにも気付きました。「オンライン授業に移行すると、それまでより効率的に演習を準備する必要が生じました」と同氏は言います。「自分ですべてを制作しなくても、Adobe Stockから作例をダウンロードできます。おかげで、時間を節約しながら創造性を発揮できます」
撮影監督を目指す第一歩
デジタル映画撮影課程もまたAdobe Creative Cloudを大いに利用しています。最初に取り組むビデオ作品は、Adobe Rushを使って作る60秒間のハウツー動画です。このプロジェクトを通して、学生は映像の撮影と編集の基礎を身につけます。作品例をこちらとこちらでご覧ください。
学生はその後、ショートストーリーやドキュメンタリー、広告キャンペーンなど、もっと高度な映像作品を制作します。ある学生は、地元のバーベキューレストランのミニドキュメンタリーを作りました。学生たちはPremiere Pro、Audition、Lightroom、Media Encoder、After Effectsを使用して、カラー補正からタイムラプスやスローモーションまで、ポストプロダクションのテクニックに習熟していきます。さらに、撮影中にAdobe Acrobatを使用して、放映許可書に電子的に署名できるようにもします。
ただ、必要な映像すべてを撮影できるとは限りません。そこで便利なのがAdobe Stockです。
デジタル映画撮影プログラムディレクターのBob Truett氏はこう語っています。「学生自らが各作品の映像素材の90%以上を撮影する必要がありますが、ストーリーボードやBロールにはストック素材を使えます。Adobe Stockのビデオクリップやイラスト、オーディオクリップを利用することで、学生がデジタル映画に肉付けするための選択肢が広がります」
Episcopo氏、Rosenfeld氏と同様、Truett氏もAdobe Stockを指導のために使用しています。「通常は教師がコンテンツを作成しますが、学生に見せるために特定の素材が必要になる場合があります」と同氏。「Stockを利用すれば、授業の準備時間を短縮できます」
未曾有の状況下でも学生を成功に導く覚悟
フルセイル大学は、学生のことを第一に考えてテクノロジーを重視し、実践的な知識の習得に力を入れる、独自の教育方針に誇りを持っています。この方針が、メディアやエンターテインメントでの活躍を夢見る学生に、力強い道筋を示し続けているのです。
「フルセイルは前進を続けています。毎月新入生を迎えるたびに、教員はそれまでにないテクノロジーの使い方を見つけ出しては、学生たちに斬新な取り組みや共同作業を体験させています」とTanousは言います。「この状況下、本学では卒業式をオンラインでおこない、学生が帽子とガウンを身に着けて家族とともに祝えるようにしました」
重要なのは、学生の意欲を維持し、就職に必要なスキルを習得させることです。キャンパスでもオンライン授業でも、フルセイルは学生中心の教育方針を貫いています。