#AdobeMAX 2020レポート:コラボレーションも業績も上がるアドビ+マイクロソフトの最新情報
パンデミック以前から、世界中さまざまな社員や協力者とコラボレーションして仕事を進める機会が今日。かねてから「情報過多で、必要な情報を探すために多くの時間を費やしている」「重要なコミュニケーションが十分取れていない」などの課題が指摘されていましたが、そこに追い討ちをかけたのが、新型コロナウイルスです。多くのナレッジワーカーの間でリモートワークが進み、情報の共有やコラボレーションに関して、より効率的/生産的に進めることが求められるようになりました。
アドビはこうしたニーズに対し、コラボレーションツール「Microsoft Teams」を提供するマイクロソフトと共に取り組んできました。アドビが提供する電子署名ソリューションのAdobe Signや、Acrobatと、マイクロソフトのさまざまな業務ソリューションと組み合わせることで、お互いが離れた場所にいながらチームの生産性、創造性をより向上させる働き方を提案しています。Adobe MAX2020では、マイクロソフトでマーケティング ディレクターを務めるマイク・アマラーン氏(Mike Ammerlaan)と、アドビのプロダクトマーケティングリーダーであるイアン・ピーコック(Ian Peacock)が、創造性・生産性を上げるコラボレーションのあり方について、事例紹介や提案を行いました。
増加するコラボレーション業務、情報過多が課題に
アドビの緊密なパートナーとして、企業の生産性向上に関してアドビと共に取り組んできたマイクロソフト。そんなマイクロソフト Microsoft 365 エコシステムマーケティングディレクターのマイク・アマラーン氏と、アドビ デジタルメディア プロダクトマーケティングを担当するイアン・ピーコックが、2020年10月20日(日本時間10月21日)に開催されたAdobe MAX 2020の“Driving Productivity through Creativity & Collaboration”(創造性とコラボレーションで生産性向上)で、2020年現在企業・組織が直面している働き方の変化、そして生産性向上について話し合いました。
イアンはAdobe Creative CloudやAdobe Document Cloud、Adobe Signのプロダクトマーケティングを推進する部門のリーダーです。そんなイアンは、「ここ数年、デジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されてきましたが、今回の新型コロナにより、DXが単なる『技術開発』の範疇から『企業活動に必須の手段』に変わってきました」と、今日の企業・組織が直面している課題を指摘します。こうした課題に対処するため、いまあらゆる企業・組織が取り組まなければならないのが、「コラボレーションの再構築です」(イアン)といいます。
対談相手のマイク氏は、Microsoft Officeや電子メールのMicrosoft Exchange Online、グループウェアのMicrosoft SharePoint Onlineなどのサブスクリプションサービス「Microsoft 365」のマーケティングディレクターを務めており、互いに包括的なソリューションベンダとして協力してきた実績があります。
マイク氏は、イアンが指摘する働き方の課題について同意すると共に、「現在のIT労働者が一緒に働くチームの数は、2013年から2018年の5年間で2倍になっています」との調査結果を示しました。
増加するコラボレーションは、情報過多を生み出します。そのためレポート作成やコラボレーション活動の準備のために、平均的なナレッジワーカーが検索や情報蒐集に費やす時間は、労働時間の20%を占めるまでになりました。5日間の勤務日のうち、1日は付帯業務に費やしていることになります。さらにマイクによると、「管理職の59%が、同じく情報過多のため、重要なコミュニケーションができなくなっています」と実感しているそうです。
Microsoft Teamsとアドビソリューションの連携で生産性向上
こうした状況に対し、マイクロソフトがコラボレーションと生産性向上を目指して設計・開発したのが、Microsoft Teamsです。マイク氏は「Microsoft Teamsは、最初からさまざまなツールと連携してカスタマイズや拡張ができるように設計されています。追加したツールやアプリケーションは左側にあるメニューに表示されるので、必要なツールにすぐにアクセスできることも特徴のひとつ。もちろんAdobe Signも組み込むことができるので、リーガル部門などの業務も大幅に効率化します」といいます。
マイク氏はさらに、「業務プロセスやワークフローについても、より効率的に、いまの働き方に適応させようとする組織が増えています」と話します。Microsoft Teamsは、Piwer Automateなどのワークフロー自動化ツールと、Adobe Signを組み合わせ、業務プロセスの自動化を強力に促進し、チームコラボレーションの効率化に貢献しているとのこと。
アドビとマイクロソフトのこうした連携は、両社のCEOが「優れたデジタル体験を設計し、企業価値を向上させていく」とのビジョンを共有していることから始まりました。これを受け、Microsoft TeamsとAdobeソリューションとのシームレスな連携や、業界標準のセキュリティ規格のサポートなど、両社の規模や技術力をフル活用して、最先端かつグローバルスタンダードなテクノロジーソリューションを開発することに注力しています。
2016年からリモート環境のコラボレーションを進めてきたシアトル市
実際に、アドビとマイクロソフトの連携により、リモート環境下で業務のコラボレーションを促進している組織といえば、米シアトル市が挙げられます。イアンによると、シアトル市は、2016年からデジタルワークプレイス イニシアチブを立ち上げ、Office 365とクラウドファイル共有、そしてAdobe Signの検証を始めました。同市は翌年、紙の文書への署名や社内便を廃止。2019年に実地評価を行い、渋滞解消に向け、一部のスタッフに在宅勤務を促して遠隔作業モデルを試験するなど、新たな働き方の実現に向け、着々と準備を整えていったそうです。実際、大雪で都市機能が麻痺した時には、在宅勤務の範囲を拡大しました。
「こうした準備があったため、新型コロナのパンデミックが発生した際には、いち早く緊急事態宣言を出し、3000人の従業員にAdobe Signを展開して業務のリモート化を加速させました。これにより、請求書の処理が効率化したほか、中小企業助成申請のスピードを上げ、いまやほかの州や地方自治体のモデルとなっています。シアトル市では2020年末までに全スタッフ1万4000人にアクセスを許可する予定です」とイアンは説明します。
「これはシアトル市だけの問題ではありません。学校の管理や司法手続きの継続、安全な投票プロセスの実現など、セキュリティとプライバシーに注意を払いながら、遠隔で実現するための手段を、世界中の政府や行政機関が模索しているのです。」(イアン)
こうしたニーズは、パンデミック後も続くと予想されます。政府レベルの要求に応えるため、アドビでは、マイクロソフトのクラウドプラットフォームであるMicrosoft Azure上で、FedRAMP(Federal Risk and Authorization Management Program:米国政府機関が定めるクラウドサービスのセキュリティ評価基準)に準拠したことを発表しました。
今後も増加するリモート+コラボレーションを2社で強力支援
今後もコラボレーション業務は、リモートワークなど多様な働き方を吸収しながら、安心・安全に遂行していくことが求められるでしょう。イアンもマイク氏も、「さまざまな業務やチームの業務効率化に向け、ワークフローの自動化を促進すると共に、より使いやすく、必要な情報や機能にアクセスしやすくなるよう、両社の連携をより強固にしていきます」と話します。
イアンは講演で、リーガル部門だけでなく、Document Cloudと、マイクロソフトのCRMであるMicrosoft Dynamics 365やShare Pointと連携し、営業やフィールドサービス、人事などの業務効率化を支援するシナリオも紹介しました。Forresterの調査によると、アドビとマイクロソフトの連携強化が図られることで、Microsoft Teamsがもたらす経済効果を劇的に向上できるそうです。たとえばMicrosoft Teamsによる「1人当たり年間65時間〜108時間の業務削減効果」が、Document CloudとMicrosoft 365が加わることにより、業務サイクルが28倍速くなり、ROIもさらに2.8〜4.2倍向上するという試算が出ました。マイク氏も「Adobe SignやMicrosoft Power Automateなどのツールを利用して、プロセスを自動化することにより、2週間分の手作業を削減できるので、その分より価値のある業務に時間を割り当てることができるようになります。こうして、チームの生産性を より高められるのです」と説明します。
今後もアドビはマイクロソフトとのパートナーシップを強化し、新たな働き方やコラボレーションの成果向上する支援ソリューションを提案してまいります。