やってみてわかった、デザインしやすい写真 #AdobeStock

連載

SNS写真時代を駆け抜けるフォトグラファーの秘訣

XICO(ヒーコ)がオススメする、SNSを中心に活躍しているフォトグラファーから撮影方法や現像テクニックを学んで、Adobe Stockでベストセラー作品を目指してみませんか?日々多くの写真をSNSで目にする中、目を引く写真や印象深い写真には、どういったバックグランドがあるのでしょうか。フォトグラファーのワークフローやマインドを紐といて、売り上げアップに繋げましょう!今回は、デザイナーの目線を持つことの重要性をお伝えします。

はじめに

こんにちは。北海道在住エディトリアルデザイナーのsachiと申します。勤め先では雑誌の制作をメインに仕事をしているため、日々写真とデザインの良い関係について考えながら制作しています。写真を撮る事も好きなので、自分の撮影した写真にデザインを施してSNSに作品を投稿することが多いです。今回は、私なりに制作してきてわかった、デザインと写真の関係性について、作例を交えながらご紹介させていただきたいと思います。使う人をイメージしたり、画作りは大切な要素です。Adobe Stockで写真を売る際のヒントになると幸いです。

Instagramのストーリーズ用に制作したデザイン

“デザイン×写真”との出会い

今思い返してみると、私がデザインと写真の組み合わせの魅力に気付いたのは中学生の頃だったと思います。当時から雑誌がだいすきで、ファッション雑誌を切り抜いてはノートに貼り、手書き文字やシールなどを組み合わせて1枚のページを作ることにはまっていました。その頃から雑誌のデザインをしたいと思い始め、エディトリアルデザイナーを志すようになりました。その後大学生時代も写真とデザインを組み合わせた作品作りを行っていたのですが、今の雑誌風デザインのスタイルを確立したのは、社会人になってからでした。

大学時代、約7年前にtwitterに投稿していたデザイン

SNS上には素晴らしい写真を撮る方々がたくさんいて、自分は到底届かないと自信をなくした時期があったのですが、あるとき「デザインと写真を組み合わせて投稿している人はほとんどいないな」と気付いたのです。特に私が大好きで強みでもある雑誌のデザインは、WEB上で見かけることがほぼありませんでした。既存のもの(紙媒体としての雑誌)でも、表現するフィールドを変えたり掛け合わせることによって、新しい表現方法が生み出せることを実感しました。

写真とデザインの関係性

さて、前振りが長くなってしまいましたが、ここから実践的なお話をさせていただきたいと思います。

1枚の写真で強いメッセージ性を感じる作品が沢山あるように、“すべての写真にデザインを施せば良いものになるというわけではない”と、わたしは考えています。写真とデザインを組み合わせることで、より良い関係になると感じたシーンを、以下に4点あげてみました。

scene1.伝えたい要素が複数あるとき
scene2.連続するストーリー性を伝えたいとき
scene3.文章をメインで伝えたいとき
scene4.写真の補足をしたいとき

これらの4つのシーンの作例を、同じ写真を使用したデザインとともに説明していきます。

scene1.伝えたい要素が複数あるとき

この画像では、“わたし流おうち時間の過ごし方”を4つ紹介しています。同じテーマで伝えたい要素が並列で複数あるときは、1枚にまとめると簡潔でわかりやすいデザインになり、さらに見た人にぱっと伝えることができます。他にも、自分のすきなものと写真とデザインを組み合わせてみると魅力的な1枚になりそうです。

scene2.連続したストーリーを見せたいとき


この画像では、休日の過ごし方の雰囲気や時間の流れをイメージしています。複数枚を1枚のデザインに落とし込むことで、よりストーリー性を感じられるものに。見た人の想像を膨らますことができます。

scene2では1と比べ、時間軸の流れを意識して組み合わせます。動画のコマのようなイメージで制作しました。
このデザインでは、「コーヒーを淹れて休日喫茶の準備」→「喫茶を楽しむ(テーマのメインなので真ん中に配置)」→「喫茶時間を楽しみながら読書」というように、一枚でその情景をイメージできるよう意識しています。

scene3.文章をメインで伝えたいとき


写真1枚に対して伝えたいことがたくさんあるときは、思い切って長い文章を組み合わせます。長い文章と組み合わせることで、より“雑誌らしい”デザインになります。フォトエッセイのような表現にぴったりです。

scene4.写真の補足をしたいとき


写真の補足となるような要素、例のようなレシピだったり、旅の工程などを写真と組み合わせることで楽しく見せることができます。

このような4つのシーンで、写真とデザインの組み合わせが、より力を発揮すると考えています。デザインは、目的を達成するための手段のひとつ。なので私自身も、達成したい目的が明確なときに(上記のシーンのような)、デザインと写真を組み合わせて発信しています。写真とデザインで自分が何を伝えたいのかを考えることが大切です◎

デザインしやすい写真について

私が雑誌を制作したり、写真とデザインを組み合わせた作品を作っていく中で、“デザインしやすい写真”というものがあるということに気がついたので、お伝えしたいと思います。

デザインしやすい写真とは…

pattern1.余白のある写真(余白部分が暗いor明るい)
pattern2.背景が大きくボケている

実際に作例をお見せしながら説明していきます。

pattern1.


上記の写真を使って、実際にデザインを施します。

NG例)余白が少なく、デザインしにくい


一見問題なくデザインできているように見えますが、文字の可読性が低いことがわかると思います。余白が少ないと写真のメイン部分や、明暗がわかれている部分に文字を乗せることになってしまいます。

OK例)余白が多く、デザインしやすい


このように写真のどこかに余白を多めにとることで、文字の可読性をあげることができます。私の場合は、写真を撮る時点でどこにデザインを入れられるか考えながら撮影することが多いです。

また併せて、その余白部分が暗いor明るいと尚goodです。明るい場合は暗い色を、暗い場合は明るい色(白など)でデザインを乗せてみましょう。暗い部分に一部分だけ明るいところがあると可読性がさがってしまうこともあるので注意が必要です。上の写真の場合は“時間の間”のあたりですね。

pattern2.


背景をぼかす事で写真の主題がはっきりするとともに、文字の可読性をあげ、デザイン全体がすっきりとした印象になります。背景のボケ感がすくないと、ごちゃついた印象になり、視線の誘導が難しくなってしまいます。

もちろんNG例であげた「余白が少ない写真」や「背景のボケが少ない」写真も、違うデザインアプローチをすることで活かすことが可能です。“文字を入れやすい”という視点で見たときのデザインしやすい写真だということを補足させていただければと思います。

また、自分はデザイナーなので他の方の素材を使用することも多くありますが、上記のようなポイントをおさえると、ストックフォト素材などでも選ばれる頻度が高くなりそうです。ぜひ意識して撮影してみてください。

おわりに

いかがでしたでしょうか。表現したいもの、達成したいことが明確なときほど、写真とデザインは良い関係になっていくと思います。デザインを入れることを前提に考えながらファインダーを覗いてみると、いつもと違う写真が撮れるかもしれません。この記事が、写真とデザインを組み合わせるときの参考に少しでもなれたら幸いです。ぜひ写真とデザインで自分なりの表現方法を見つけてみてくださいね。

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