OgilvyのEXチーム、Adobe StockでIBM向けのビデオ制作をスピードアップ #AdobeStock

1948年の創業以来、広告業界を代表する大手エージェンシーの一社に数えられるOgilvyは、ブランディングの発展とともに進化を遂げてきました。企業のブランドイメージは元々ロゴと広告で形成されていましたが、最近ではカラーパレット、視覚的なガイドライン、発信するメッセージ、作り込まれたコンテンツを主軸に据え、企業のイメージをより全体的に伝えるものへと発展してきています。Ogilvyもそんな時代の流れの中で進化してきました。Ogilvyのチームは世界83ヶ国132のオフィスに所在。ブランドの重要性をあらゆる面で浸透させてきた幅広い実績を持っています。

販売支援ツールや従業員用の能力開発コンテンツなど、社内におけるブランドの浸透をOgilvyに委託しているクライアントも少なくありません。Ogilvyの人材活用(EX)部門では、そのような案件を専門的に扱っています。EX部門はデンバーを拠点とし、多くの専門分野を縦断するクリエイティブなチームです。従業員教育、研修および販売コンテンツ、ツールをクライアントや消費者に発信するメッセージと同じようにブランドイメージに即して作成しています。

「私たちのチームはクリエイティブチームとしては比較的小規模ですが、ネットワーク全体でのやり取りとベンダーとの提携を円滑にし、プロセスとツールを活用してどこにいても可能な限り効率的に進められるように努力を重ねています」と、OgilvyのEX部門担当クリエイティブディレクターのAndy Campbell氏は語っています。結果として魅力的で有益なコンテンツが生まれ、クライアントの従業員全員が、「(職務内容にかかわらず)自社ブランドの広告塔となり、業務に必要な教育とツールを備え、息をするように自然にブランドをまとい、世界に発信できる」ようになるのです。

OgilvyはどのようにB2Bマーケティングを成功に導いているのでしょうか。その様子を詳しくご紹介いたします。クリエイティブな制作には業界固有の問題がつきものですが、OgilvyはAdobe Creative CloudAdobe Stockの映像素材ライブラリを活用することでそのような問題に対処しています。

OgilvyのEX部門は、B2Bコンテンツを制作する際、IBMのようなクライアントと緊密に連携を取りながら業務を進めており、それによってクライアント組織が重んじているグローバルなブランドガイドラインのイメージに沿ったコンテンツを生み出すことができています。

マルチタスクをクリエイティブに

Ogilvyのクリエイティブチームは、ライター、デザイナー、編集者で構成されています。チームの強みはチャレンジ精神。最高の結果を得るためには、労をいとわずスキルとツールをとことん磨き込みます。OgilvyのEXクリエイティブ部隊に所属するメンバーは、幅広い才能を持つ精鋭たちです。積極的に共同作業に取り組み、ワークフロー全体で協業して、制作プロジェクトで発生しがちな、デザイン、コピー、コンテンツ作成の「孤立化」防止に取り組んでいます。

OgilvyのEX部門はさらに効率性を高めるため、Ogilvyネットワーク全体でクリエイティブリソースを最大限に活用しています。「他の専門チームに所属しているメンバーの優れた才能とスキルをできるだけ活用するようにしています」とCampbell氏。また、クライアントと二人三脚で共同作業を進めることで、どのようなコンテンツがわかりやすく魅力的かを互いに明確にしたうえで作業を進めていけるので、制作プロセスとレビュープロセスがよりスムーズに進みます。

制作に使用する柔軟なツール

OgilvyのEX部門がその多才な能力を余すところなく発揮するためのもうひとつの秘策、それはAdobe Creative Cloudの活用です。アドビのエコシステムによって、アドビアプリ間の連携作業をスムーズに進められます。ひとりがAdobe InDesignでストーリーボードを作成する間、別の人がIllustratorで描画し、After Effectsでベクターを作成することも可能。作成した素材はPremiere Proでまとめて編集できます。さらにOgilvyのチームでは、校正にPDFを使用し、素材の管理にBridgeを使用しています。

「Premiere Pro、Photoshop、Illustrator、XDなどのCreative Cloudツールを使用すれば、手間のかかる作業をこなせますし、すべてのキーボードショートカットがアプリ間で共通なので作業がはかどり、とても助かっています」とCampbell氏。「バージョンのトラッキング、校正、コメントの追加がしやすいのも大きなメリットですね」

一方、OgilvyのプロダクションデザイナーであるTerry Coleman氏にはXDの機能が欠かせません。XDではデジタルツール用にワイヤーフレームをすべて実行し、クライアントと共有、バージョン管理した後、同じくXD内でハイファイなグラフィックのプロトタイプ作成までできてしまいます。さらに、「アイコン用に良い感じのイラストが必要だとします。そんなときは、誰かに制作を頼んで、クラウドにイラストを保存してもらい、自分のファイルに直接埋め込んでもらうことだってできるのです。すばらしくパワフルです、チームではCreative Cloudを使い始めたばかりなので、まだ未開拓の機能はたくさんあると思います」とColeman氏は語っています。

大手のブランドにふさわしい見栄え

Ogilvyは最近、IBM向けの5部構成のB2BビデオシリーズにAdobe Stockの映像素材を使い始めました。Ogilvyにとって、IBMは36年来のクライアント。今回はビジネスソリューションの人工知能(AI)に関する複雑な技術的概念を説明するためのコンテンツ制作の依頼でした。

このプロジェクトでも他のEXプロジェクトでも、まずやるべきことは、情報を伝達する上での最適な方法を最初に決めておくことです。例えば、シリーズ化されたアニメーションが必要なのか、ビデオクリップでストーリーを伝えるべきなのかは、プロジェクトによって異なるでしょう。「ビデオの場合はストック素材を使うことがほとんどです。B2Bセールスの内部資料や社内の能力開発用に、オリジナルものを撮影する時間と予算を投入できるクライアントはめったにいませんので」とCampbell氏は話しています。

このIBM向けのプロジェクトに対し、チームはストック映像素材を主に使用し、After Effectsでベクター図をいくつか追加で作成するという方針を固めました。そうと決まれば早速、ブランドイメージに合うビデオクリップや画像の検索開始です。「IBMのプロジェクトに限らず、独自のブランドイメージを持つクライアントと仕事をするときには、できるだけ多くのオプションを用意しておくことが重要です」とCampbell氏。「バラエティに富んだ素材をつなぎ合わせるだけではなく、全体として統一感のある見栄えに仕上げなくてはなりません」

IBMが指定したカラーのブランドガイドラインに準拠するため、Adobe Stockで素材を検索する際に、16進数のカラーを変数として指定しました。「クリエイティブの観点から見て、この検索方法は実に理にかなっています」とColeman氏は述べています。

Adobe Stockには指定した色の組み合わせでビデオクリップを検索する機能があり、OgilvyのEXチームはこの機能を活用してIBMのブランドガイドラインに一致するオプションを見つけました。

5本あるビデオのすべてで大量のクリップが必要になることは間違いありませんでした。「このプロジェクトではたくさんのクリップと短いカットが必要でした。バラエティに富んだ魅力的な映像を画面に次々と映し出し、かつ洗練された美しい構図を維持する必要もあったのです」とCampbell氏は語っています。

OgilvyのEXチームは当初から必要なクリップの種類を想定し、Adobe Creative Cloudライブラリに蓄積し始めていました。Adobe Creative Cloudライブラリを使用すれば、クリップを一元管理し、チームのメンバー全員が最新の素材に簡単にアクセスできるからです。ひとつの最終カットに50クリップのストック映像素材が含まれるようなプロジェクトでは、共同作業の効率の良し悪しで大きな差が生まれます。EXチームではAdobe Bridgeを利用してすべてのクリップを閲覧していました。

「Adobe Creative Cloudライブラリを使用することで、Adobe Stockの素材を各自のハードドライブに保存してから配置する必要がなくなりました」。そう語るのは、アソシエイトクリエイティブディレクター兼ビデオ&アニメーション担当チームリーダーであるNita Heroepermatasari氏です。また現在のリモートワーク環境にもぴったりの機能なのですが、ライブラリからクリップを取り出し、チームメンバー間でライブラリを共有しておけば、素材が誰かのローカルハードドライブにある場合でも、InDesignファイルを修正した後にリンク切れになる心配がなくて安心です。

IBMのビデオスクリプトを読み、ストーリーボードを作成した後、チームはクリップをコンポジションに追加してPDF形式でクライアントと共有しました。そうすることで、クライアントは各クリップの静止画をクリックして映像を表示できます。

ストーリーボードのクリップをフレームごとに表示すると、個々の映像をリアルにプレビューでき、制作段階でアイデアやスタイルに合わないクリップが見つかっても簡単に交換できます。Adobe Stockでは透かしのない高解像度クリップを幅広く取り揃えており、レビュープロセスのどの段階でも新しいアイデアを簡単に取り入れることができます。

例えば、「分析」をテーマにしたビデオの初期のストーリーボードをクライアントに見てもらったところ、導入部分にあるメタファーシーンに対して、別のバージョンも見てみたいという要望がありました。そこで、OgilvyのチームはAdobe Stockで新しいクリップを探し、豆から淹れるコーヒーをコンセプトにした映像に差し替えました。

クライアントはその新しいアイデアを気に入り、オープニングのシーケンスを承認。チームはその他の部分のペース配分や画像の微調整などに取りかかれるようになりました。ドローンによる上空ショットが多すぎると感じれば、別の角度の映像を取り入れてみればいいのです。Adobe Stockライブラリで新しいクリップを選択し、新しいコンポジションを見せることも簡単にできました。

納期を守り、予算内に仕上げ、ブランドイメージに即した作品に

レビュープロセスで作品のビジョンについてクライアントと密に情報共有してきたので、編集者がビデオをまとめる段階での最終製品は期待どおりの仕上がりになっていました。

「クライアントは出来栄えにとても満足してくれましたし、選んだクリップも気に入ってくれたようです」とCampbell氏。「仕上がった作品はIBMの雰囲気にぴったりで、見た目もすっきりし、クールなカラーパレットで、すべてがシームレスに連携していました。編集者が必要な映像素材にすばやくダイナミックにアクセスできるようにし、ナレーターが話す内容をわかりやすく説明する映像が常に画面に表示されるようにしたのです」

Ogilvyはテンポの速いAdobe Stockのビデオクリップシーケンスを使用し、ナレーションで説明されているコンセプトを映像で明確に表現しました。

ダイナミックなチームが描いたイメージは、スムーズかつ効率的に作成されました。複数のロケーションで撮影する予算も時間もない中、すべてが予定どおりに進み、完成したのです。OgilvyのチームはAdobe Stockのカタログと価格設定で大きな成果を収めた経験から、ストック映像を探すときは他社に先んじてまずAdobe Stockを見るようにしています。探しているものが間違いなく見つかるだけでなく、他にもたくさんのオプションを見つけることができるので、クライアントのイメージにぴったりと合い、ブランドイメージに即したストーリーを継続的に作成できます。

「Adobe Stockはすばらしいリソースです」とCampbell氏は話しています。「高品質のビデオクリップが見つかる上に、透かしのない高解像度画像を利用できるため、校正が非常に楽です。ストック素材は、撮影ができない環境でもすばやく効率的に素材を調達できるだけでなく、コストダウンも同時に図れるのが大きな魅力ですね」

この記事は2020年11月2日にMissy Meekにより作成&公開されたOgilvy’s EX team speeds up IBM video production with Adobe Stock footageの抄訳です。

ヘッダー写真:JR Pixels. / Adobe Stock