2021年最初にお届けする、Adobe Fontsのフォントラインナップ追加と言語サポートの拡充

新年を迎え、私たちデザイナーは気持ちも新たに今年のプロジェクトに取り掛かっているところだと思いますが、デザインにこれまでと同じフォントを使い続けながら気分をリフレッシュするのは難しいのでは?そこで、Adobe Fontsに新たに360種類余りのフォントを追加しました。Adobe Creative Cloudプランのユーザーなら、どんなプロジェクトでも追加料金なしでご利用いただけます。

砧書体のラインナップが大幅追加

今回のアップデートで、砧書体制作所のフォントが39追加され、42のラインナップとなりました。人気の「丸明シリーズ」や「いろはシリーズ」など、豊富なデザインバリエーションの追加はクリエーターの皆様にとっても大きな機能強化となるのではないでしょうか。さらにこの追加ラインナップにはカラーフォントが含まれています。これまでアドビオリジナルフォント「貂明朝」には一部の記号、干支の文字などにカラーグリフが含まれていましたが、「砧 きりこ かな」は、カタカナ、ひらがな、アルファベット全てがカラーとなっているので、その意味ではカラーフォント第一号となります。

既にSNSなどでは多くの皆様から反響をいただいております。是非砧書体のラインナップをご活用ください。

東アジアとの新たなつながり

Adobe Fontsでは、東アジア向けのデザインに関わるデザイナーにより多くのオプションを提供する継続的な取り組みの一環として、中国語ならびに韓国語のフォントの拡充に取り組んでいます。今回は、Adobe Fontsのカタログに新たに6つの韓国のファウンドリを追加しました。

Sandollからは、50以上の新しいフォントが提供されています。韓国で最も影響力のあるタイポグラファーであり、書体デザイナーでもあるソク クムホ(Geumho Seok)氏によって1984年に設立されたSandollは、韓国で最も古く、最も有名なフォントファウンドリです。マイクロソフトやアップルなどのハイテク企業のフォントデザインで知られるSandollは、ハングル文字の重要性、価値、美しさを伝えるために、600種類近くのフォントを開発してきました。

韓国を代表するフォント会社の一つであるRixFontは、約600種類の高品質フォントのライブラリを誇り、韓国の大手企業クライアント向けにカスタムフォントを開発してきました。そのノウハウと技術特許は、急速に変化する市場に迅速に対応することを可能にしています。同社は今回、Adobe Fontsに20種類のフォントを提供しています。

AG Typography Instituteは、著名なデザイナーのアン サンス(Ahn Sang-soo)氏が創業した、韓国ソウルの大手グラフィックデザインコンサルタント会社Ahn-graphics Ltd.の研究部門として2012年に設立されました。同氏は、伝統的なハングルを今日のフォントユーザーが活用できるメディアへと革命的に転換させた立役者ともいえる人物です。

1989年以来、デジタルフォントデザインのパイオニアであるYoondesignは、豊富な経験とリサーチに基づいて、書体デザイン、ブランド、コンテンツの関係性を探求し、創造することに専念しています。同社が開発するハングルフォントやタイポグラフィは情報を伝えるだけでなく、完成したデザインに求められるコンテンツや文化コードをも表現するものです。

韓国の書体デザイナー兼タイポグラファーのハン ミンジュ(Minjoo Ham)氏は、2005年から2009年までソウル女子大学でグラフィックデザインを学んでいた時にタイポグラフィに興味を持ちました。「Dunkel Sans」はごつごつしたポスター向け書体で、「Blazeface Hangul」は、「Ohno Blazeface Italic」のハングル版です。

Noh Typeは、韓国の活字デザイナーであり研究者でもあるノ ウニュ(Eunyou Noh)氏のファウンドリです。彼女はTypeMedia 2017の卒業プロジェクト(英語)である「Optique Display」をAdobe Fontsに提供しており、シャープで際立ったセリフ書体を実現しています。

Adobe Fontsに簡体字中国語フォントを提供する2つの新しいファウンドリFounderTypeとHelloFontも、東アジアのユーザーに貢献しています。

FounderTypeは、北京北大方正電子有限公司が提供する、世界的に有名な方正中国語デジタル出版システムに不可欠な要素です。同社は中国初の商用中国語フォントの開発者であり、中国語フォント製品の世界最大のプロバイダーでもあります。プロの出版社や印刷業者の間では、その豊富な種類、高品質、幅広い応用範囲、そして顧客のニーズへの対応力が高く評価されており、FounderTypeは今回Adobe Fontsに4種類のフォントを提供しています。

HelloFontは、デザイナーに高品質な現代中国語書体の多様性を提供します。この中国のファウンドリの提供により、簡体字中国語用の20書体がAdobe Fontsに追加されました。その多方面にわたるセレクションは、伝統的なカリグラフィ書体から現代的な幾何学的デザインやモノラインデザイン、カジュアルで時に気まぐれな、あるいは子供のような手書きフォントまで、十全な範囲を表現力豊かに網羅しています。

使用言語にあわせたフォントのブラウジング

Adobe Fontsのユーザーは、国際的で多様性に富んだコミュニティです。そこで、要求される仕様に適したフォントを見つけるための最高の体験を提供するために、ブラウジング機能を一新しました。サイドバーが強化され、ドロップダウンメニューから25以上の言語サポートオプションが選択可能になったほか、東アジアフォントのフィルタリングに特化した新しい分類が用意されています。

Type Networkが提供する新しいフォントの数々

独立系タイプデザイナーのコレクティブであるType Networkのファウンドリパートナーたちによるフォントの数々は、Adobe Fontsコレクションを充実させ続けています。今回の最新版には4種類のフォント、1つのスーパーファミリー、1つの広範な書体システムが含まれ、合計130書体が新たに追加されました。

Font Bureauでカスタムフォントのディレクターを務め、現在はType Networkで活躍するディアナ ワイズマン(Dyana Weismann)氏は、「Apotek」で注目を集めています。この四角いサンセリフのスーパーファミリーは、ワイズマン氏が自身のブランドKerns & Cairnsからリリースした最初の製品です。この変幻自在のフォントにはウェイトと文字幅のバリエーションがそれぞれ7種類あるため、どのようなスペースにも対応でき、パッケージ、ポスター、表紙、さらにはブランディングや広告の用途など、出版物全般に便利に使える強力なツールです。

ブランドタイポグラフィの専門家であるニューリン(Newlyn)氏は、20世紀初頭の古典的なデザインを現代的なデジタルフォントファミリーとして再発明しました。 ヘルマン ホフマン(Hermann Hoffmann)氏の「Herold」にインスパイアされたカジュアルなサンセリフの「New Herman」は、ポスターや見出しに華を添えます。丸みを帯びたユーモアのあるセリフ書体の「New Kansas」は、最も重いウェイトの「Cooper Black」で最もよく知られているオズワルド クーパー(Oswald Cooper)氏の同名のデザインを解釈したものです。そして、レギュラー幅とコンデンス幅の「New Spirit」は、アイコニックなセリフ付きディスプレイ書体である「Windsor」の重厚感と柔らかさを21世紀にしっかりともたらしています。

XYZ Typeは、そのバリエーションを1つずつ拡大していくことで、「Aglet」をゆっくりと、しかし確実に真の書体システムへと進化させてきました。テクニカル風味でありながら人間的な丸みを帯びたスラブセリフの「Aglet Slab」とサンセリフの「Aglet Sans」に続き、「Aglet Mono」が登場しました。飽きのこない親しみやすいリズムは、コード表示やタイプライター様式のタイポグラフィに親しみやすい雰囲気を与えてくれるでしょう。

Bold Mondayの「Dico」は、さらに大規模な書体システムです。ピーター ファン ロスマレン(Pieter van Rosmalen)氏は、2004年にデザインしたオリジナルのサンセリフ書体を再構築し、8つのサブファミリーからなる壮大なスイートに拡張しました。アップデートされた「Dico Sans」には、「Dico Sans Soft」と「Dico Mono」だけでなく、「Dico Slab」と「Dico Mono Slab」というバリエーションもあります。プログラマーには「Dico Code One」または「Dico Code Two」のいずれかが最適でしょう。「Dico Typewriter」は、モノスペースタイポグラフィを回顧調にしてひねりを加えています。

PositypeがLustフォントの全バリエーションを提供

Positypeの「Lust」も書体システムへと発展を遂げました。オリジナルの「Lust」は、70年代の叙情的なスタイルを参考にしたエレガントなハイコントラストのセリフ書体ですが、そこに甘美な「Lust Script」に加わりました。現在、さらに3つのサブファミリーがリリースされています。「Lust Sans」は、輝くほどの高いコントラストを持ち。「Lust Stencil」では、文字の形状が途切れながらも流れるように繋がります、「Lust Text」はコントラストを抑えてプロポーションを調整しているため、より小さなサイズでの使用に最適です。

Process Type FoundryがAdobe Fontsに初提供

ミネアポリスを拠点とするProcess Type Foundryは、優れたデジタルフォントの提供者として長年にわたり高い評価を得てきました。この独立系フォントスタジオでは、さまざまな種類のフォントを提供しています。「Elena」は読み物に没入させてくれる信頼性の高い現代的な本文書体であり、丸みを帯びたサンセリフの「Moniker」は考え抜かれたプロポーションを備え、コピーにも同様に有用です。

Capucine」は、カジュアルなサンセリフ書体とスクリプト書体の良いところをあわせ持つ驚きのデザインです。ディスプレイ書体では、力強い「Maple」はレトロな木活版のグロテスク様式の魅力を醸し出し、「Pique」は目を見張るような様式化された筆文字であり、幾何学的なサンセリフの「Scandia Line」は曲線を一切排除したユニークな書体で驚きを与えてくれます。

Hamilton Wood Type、Darden Studio、Floodfontsの各ファウンドリから単一書体を提供

Hamilton Wood Typeは、書体の実験が熱狂的な盛り上がりを見せていた19世紀半ばの時代を現代流に解釈し、新鮮さと驚きを提供し続けています。「HWT Etta」には、装飾的なインライン(袋文字)スタイルの「Etta West」と、遊び心のあるリバースコントラストと内向きのセリフが特徴の「Etta East」の2種類があります。

リラックスして楽しい時間を過ごしたいなら、Darden Studio「Birra」シリーズはどうでしょうか。さまざまな種類のビールの味と色にインスパイアされたこのシリーズは、表現力豊かなデザインのテイスティングメニューを提供しています。最新のフォントは「Birra Lambic」で、ベルギーのパヨッテンランド地方特産のビールにちなんで名付けられた、ケルトの花束をあしらった陽気なデザインです。

Floodfontsの「Tuna」は、印刷物やスクリーン上の長文の本文コピーに最適化されたセリフ書体で、頑強かつ正確な図形的特徴がデザインに組み込まれています。コントラストの低さと、先が幅広のペンの筆致を模したセリフは、滑らかな読み心地を保証します。

Dalton Maagがフォントの多言語対応を拡充

Dalton Maagは、世界中のユーザーにより便利に使っていただけるように、いくつかのフォントファミリーの言語サポートを拡大しました。よく見かけるネオグロテスク系に代わる素晴らしい書体である万能サンセリフフォント「Aktiv Grotesk」は、タイ語、デーバナーガリ文字、ヘブライ語、アラビア語にも対応しています。しなやかなサンセリフの「Effra」と洗練されたセリフの「Bressay」(本文用と見出し用を提供)にもアラビア文字が追加されています。さらに、魅力的な丸みを帯びた太い書体の「Blenny」のタイ語版も登場しました。

ラテン文字、キリル文字、ギリシャ文字、アラビア文字、ヘブライ文字、デヴァナガリー文字、タイ文字、韓国文字、中国文字のいずれであろうと、今回Adobe Fontsでプレミア公開されたフォントのセレクションにはきっとお望みのものが含まれています。これらのフレッシュなフォントは、Adobe Fontsでアクティベートするだけですぐに利用できます。Adobe Creative Cloudのプランには、すべてのフォントが追加料金なしで含まれています。2021年は、タイポグラフィの装いも新たにしていきましょう。

この記事は2021年1月19 日(米国時間)に公開されたFresh fonts and language support features for 2021の抄訳です。