ビジュアルとサウンド:Adobe Stockの2021年モーション&オーディオトレンド #AdobeStock

by Adobe Stock Japan

Posted on 01-29-2021

Adobe Stock ビジュアルトレンド

2021年の到来です。今世紀始まって以来、これほどまでに待望された年明けがあったでしょうか。2020年は間違いなくすべての人に傷痕を残していきました。しかし、今回お伝えする2021年のAdobe Stockモーション&オーディオトレンドには、私たちの社会とクリエイティブに備わっている回復力、創造力、不滅の希望がありありと映し出されています。

さあ、より良い年、力強い年、楽しい年をここから始めましょう。

●2021年のオーディオトレンド

昨年の夏、アドビは音楽配信サービスEpidemic SoundとJamendoから厳選されたロイヤリティフリー楽曲・オーディオコレクションの提供を受け、Adobe Stock Audioを開始しました。オーディオにはマルチメディアを牽引する唯一無二の魅力があり、オーディオコンテンツの制作は2020年中に劇的な盛り上がりを見せ、その勢いは未だ衰えを知りません。次の展開が非常に楽しみな状況になってきたこのタイミングで、私たちは初めての年間オーディオトレンド予測を発表することにしました。

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クレジット: Adobe Stock /Dudarev Mikhail

1. Global Rhythms – グローバルリズム

現代の世界では、社会正義と平等についての取り組みや、文化の正統性を尊重する活動方法の模索が各方面でおこなわれています。音楽ビジネスも例外ではありません。

Epidemic Soundの音楽監修を務めるKathryn Matt氏によれば、最近はアフロビート、レゲエトン、フュージョンの需要が高まっており、各ジャンルのルーツとなった文化とのつながりが深いアーティストやミュージシャンによる作品がとりわけ注目されています。「多くの企業が、世の中に文化の盗用がはびこっている状況を意識し、盗用のない活動方法を考えるようになりました。その結果、企業が文化的正統性のあるコンテンツを求めるようになったのです」と同氏は言います。

Epidemic Soundの音楽開拓部門責任者であるDavid Slitzky氏は、企業は正統性の意味合いにも注意を払っていると指摘し、このように話しています。「クリエイターやストーリーテラーの多くは、ある意味、1曲の作品を送り出すたびに命がけの勝負をしています。大手もそうですし、小規模な事業者は特にそうでしょう。ですから判断ミスをする余裕はありません。彼らのそういった事情から、昨年、背景に確かな正統性がある楽曲だけを扱うエージェンシー的な存在を利用することが大きなトレンドになったのだと思います」

この動きは、国際的に活動を展開するミュージシャンにキャリアの長短を問わずチャンスをもたらしました。1980年代からプロとして活動するマリ人デュオAmadou et Mariamの曲がCoca ColaのCMに起用されたのも、その一例です。「アフロビート、ベイルファンク、ボサノバなどのリズムは、彼らにとって当事者性のある文化なのです。動画編集者から見て、そういう背景を持つ彼らの作品を手掛けるのは非常にやりがいがある楽しい仕事ですね」とMatt氏は言います。

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クレジット: Adobe Stock /Aberheide/Pond 5

2. Electronic Spectrum – 電子音楽の幅広いスペクトラム

「デジタルであること」を明確に意識し、電子音楽的な性格が強いジャンルとアナログな従来型ジャンルの両方で活動を展開するアーティストの作品にスポットライトを当てるトレンドが「エレクトロニックスペクトル(Electronic Spectrum)」です。Slitzky氏が「きわめて幅広いジャンルにおいてデジタルとの融合が進んでいることに、いつも感心させられます」と言うとおり、ここには、エレクトロポップからシンセウェイブまで、ファンクからクラシックまで、あらゆる音楽を見出すことができます。

多彩な広がりを意味する「スペクトル」という名称は、このトレンドのスタイルが多様であることに加え、非常に幅広い対象にアピールするサウンドが集合的に包含されていることを表しています。つまり、潤沢な予算がつくCMにも低予算のYouTube動画ブログにも馴染みがよく、また、本格的なプロデューサーの作品と、新興アーティストが零細スタジオや自宅スタジオでミックスした作品が同居しているのです。したがって、そこにはクロスオーバーの巨大な可能性が眠っています。今や超売れっ子となったBillie Eilishの人気も、彼女自身がプロデュースしてSoundcloudにアップロードした手作り作品が注目を集め、KiaのCMに起用されたことから始まりました。

Slitzky氏は次のように指摘します。「とりわけ感慨深いのは、普通はどんな音楽スタイルであれ、本当に完成度の高い作品を仕上げる気があるなら、自宅でやろうなどと考えるのはまず無理だったわけです。しかしエレクトロニックミュージックは、そんな既成概念をほぼ完全にひっくり返し、アクセス手段があるということの価値を爆発的に高めました。これは、動画コンテンツ制作の世界で起きている現象とも非常によく符合します。2つの世界は相互に影響を及ぼし続けているのです」

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クレジット: Adobe Stock /Dubassy/Pond 5

3. Pod Tracks – ポッドキャスト用の音楽素材

ポッドキャストは、テレビ番組のまとめ視聴が(良くも悪くも)捗る皆が大好きなストリーミングサービスとともに、2020年の長い巣ごもり生活においていつも私たちの身近にありました。それ以前はニッチ的なメディアでしたが、実話を調べ上げて構成した犯罪ノンフィクション、文化評論、シリーズ物、単発タイトルなど様々なコンテンツのポッドキャストが、リスナーと作者の両方の力によって堂々たるメインストリームメディアの地位に昇格しました。

Adobe Stockでモーション&オーディオ部門の責任者を務めるTom Spotaは言います。「今では数万数十万というものすごい数のポッドキャストが提供されるようになり、数百万ものリスナーが聴いています。市場では数百万ドル規模のポッドキャスト関連ビジネス案件が飛び交い、Spotify、Audible、iTunes、Amazon Musicなど大手ストリーミングプラットフォームの提供サービスにも取り入れられています」

ポッドキャストの制作にまつわる課題はいろいろありますが、中でもコンテンツの雰囲気を左右する適切な音楽の選定は(未経験者や自宅プロデューサーにとっては特に)難しい作業のひとつでしょう。Spotaの見立てによると、ポッドキャストに音をつける作業は動画の場合と同じではありません。「ポッドトラックは、ポッドキャストの演出に特化した音楽や効果音のトレンドです。ポッドキャストで使われるトラックには、イントロ、エンディング、バックに流す音響効果やBGM、CMに入る前のジングルといった種類があります」とSpotaは語っています。

ポッドキャストの音楽には、特定の内容を扱う流れの中におけるバランスや、そのポッドキャストメディア自体の中におけるバランスを生み出すことが求められます。それに関して、Matt氏は「例えば、電子音楽とマリンバを基調にした非常にシンプルな音楽。控え目なリズムは必須。話を進行させる効果を出すが、過剰にドラマチックな演出は無用。リスナーの意識を語りから逸らさない音楽」のような基本方針の立て方があると言います。氏は、この例を米国の公共的なラジオ番組制作・配給組織の雰囲気になぞらえて「NPRサウンド」と呼んでいます。

使う音楽を確保する方法がわからず途方に暮れている作り手は、ポッドキャストでは珍しくありません。特に問題になりやすいのは、費用、許諾方法の選択の難しさ、そして、適した素材を探すための所要時間です。ポッドトラック素材は、ジャンル(ホラー、ドラマ、コメディなど)と想定用途(イントロ、エンディングなど)にもとづいて丁寧に付けられたラベルを頼りに探すことができるため、こうした問題の解決に役立ちます。「コンテンツ制作に有効活用できる要素が揃っています」とSpotaは話しています。

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●2021年のモーショントレンド

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クレジット: Adobe Stock / Flux VFX

1. Media Replacement – メディアの置き換え

Adobe Stockは、皆様のニーズに応えてMoGRT(モーショングラフィックステンプレート)の拡充に取り組んでいます。まもなく、ドラッグ&ドロップして調整するだけの簡単操作で写真・動画コンテンツをモーショングラフィックステンプレートに追加することが可能になります。

メディア置換(Media Replacement)は即座に時間節約効果が得られる便利なツールであり、有名ブランドでもSNSの人気アカウントでも、身近さを演出する複雑なグラフィック(例えばロゴ出し映像)をわずか数回のクリック操作で制作できます。「世界の至るところに多数の動画編集者や動画クリエイターが生まれ、作品の制作価値を高める方法を探しています。動画や写真を追加できるモーショングラフィックスは、そうしたニーズを満たす良い方法です」とSpotaは言います。

ユーザーによる置換が可能なドラッグ&ドロップソリューションという大きなコンテンツ分野の枠内で、最近はいくつかのミニトレンドが伸びつつあります。「ミニトレンドの1つは写真モザイクで、動画編集者がたくさんの写真で構成された動く壁を手軽に作成できる手法です。ほかにも、デジタル版グリーティングカード、フォトフレーム、ロゴ出し映像などのコンテンツがメディア置換テンプレートで簡単に作れるようになってきました」とSpota。その多くはSNS上で発達を遂げているといいます。

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クレジット: Adobe Stock / Daniilvolkov

2. Handheld – 手持ち撮影

手作りの映像素材や手作り風の映像素材を使うことは、従来は(フラッシュバック映像や『Blair Witch Project』のような作品でない限り)やってはいけないこと_の代表例のように言われてきました。ところが今や、ユーザーの手で生み出されるコンテンツ(UGC)は_世の中にあふれAppleMicrosoftのような大手にも採用されています。

この現象の原因は、COVID-19によって世界中の制作活動が停止し、即時的にメッセージを発信する新しい方法への差し迫ったニーズが生まれたことです。Spotaはその点に注目し、このように語っています。「UGCや手持ち撮影のビデオは10ヶ月以上にわたり需要が続いた結果、あらゆる場所にあふれるようになりました。多くのブランドは放送向けコンテンツにUGCを使うことを従来避けていましたが、世界的なパンデミックの結果、放送業界での使用も浸透してきました。UGCはオーディエンスの体験と結びついて共感を生み出しやすく、その意味で非常に効果が高いのです。企業のCMには視聴者と同じ経験をした人がよく登場しますが、その狙いと同じことですね」

UGC映像素材の最大のアピールポイントは、正統性です。Adobe StockのビデオキュレーターであるRamin Talaieはこう言います。「まさしくユーザー本人がそこにいて、自分自身の実体験を見せてくれるのですから、これ以上の本物はありません。従来、企業は多大な費用をかけてユーザー自身の体験を再現しようとしてきたのですが、UGCは、この点において比類のないコンテンツです」

また、企業はエッセンシャルワーカーや医療サービス最前線で働く人々などを応援する姿勢のアピールにUGCを利用しています。例えばGoogleは、巣ごもり状況の中で仕事、暮らし、子育てに追われ疲弊する親の様子を映像で紹介しながら、先生に対する感謝の意を発信しました。「企業は人々の対話の中に入っていく必要性を認識し、その手段として、TikTok、Youtube、TwitterなどのSNSに投稿された動画を活用したのです」とTalaieは言います。

コロナ禍による隔離の中、手持ちのカメラで撮影された映像は、多くのオーディエンスにちょっとした「お宅訪問」の気分を与えるものとなっています。「大勢の人が孤独を感じている中、普通の人が手持ちのカメラで撮影したUGCコンテンツは、人と人が心を通わせるための助けとなっています」とSpotaは言います。そう、そこには一種の絆が生まれているのです。

今や、手持ち撮影のUGC素材は存在価値を確立したといえるでしょう。ブランドも制作会社も、急場をしのぐための埋め合わせではなく、見る人に多大なインパクトを与えるコンテンツとしてUGCを扱うようになりました。「この認識はそのまま定着するのではないでしょうか。Black Lives Matterや社会正義に関するほかの運動をはじめ、世の中に起きているムーブメントの一環としてコンテンツを作るという感覚は今後も続きそうです。UGCはブランドがユーザーに語りかける手段になりました。2020年の状況は、社会正義の取り組みに関与することの必要性を企業に認識させたのです」とTalaieは語っています。

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クレジット: Adobe Stock / UKRAMEDIA.COM

3. Transformative Transitions – 斬新なトランジション

トランジションは短い映像ですが大きな力を持っています。適切に使えば、あらゆる広告、予告、プレゼン、動画を引き立てる効果が得られます。ダイナミックでブランド像に忠実なトランジションには、オーディエンスを引き込む力や、Spotaの言葉を借りれば「見る人にいっそうの注視を促す」力があります。

「トランスフォーム型トランジション(Transformative Transitions)」の仕組みは様々ですが、目的はブランドとしての一体感を出すことや、短時間で巧みにブランドメッセージを伝えることであり、その点は共通しています。具体的な形式としては、精巧に作り込んだロゴアニメーション(例:フィルム状の赤い帯でNetflixロゴが形成されるトランジション)や、ブランドのカラースキームだけを生かしたもの(例:オンライン出会い系プラットフォームeHarmonyのスポット広告)があります。Raminが次のように説明しています。

「これらはメッセージを伝える小さなサインです。ブランドのニーズに即して作り込むことによって、ブランドとして届けたいメッセージの伝達効果を高める効果があります。これは特別な技術ではなく、あらゆる予告映像、あらゆるクレジット表示に使われています」

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クレジット: Adobe Stock / RocknRoller Studios

4. Gradient – グラデーション

優れたトランジションと同じく、「グラデーション(Gradient)」にも驚くほど豊かで奥深い効果があります。グラデーションは誰もが認める美しさを備えており、昔から好んで使用されてきた表現です。しかし2020年以降、激動のニュースをひっきりなしに見続ける私たちの目は、なめらかな色の変化によって生まれる心の安らぎを_切実に求める_ようになりました。Spotaはこう語っています。「これは色彩心理学の領域ですね。明るいパステルカラーのグラデーションには心を落ち着かせる力がありますし、また、同じくグラデーションによって大胆な言動やエネルギーを引き出すこともできます」

ブランドの製品ラインアップには、さりげないアイコンデザインの模様替え(例:Facebook Messenger)から、もっと顕著なものまで、いろいろな形でグラデーションが取り入れられています。例えばAppleは最近、彫刻で光のアートを生み出す作家のCraig Dorety氏を起用し、優美で神秘的なiPhone背景画像をデザインしました。氏の作風は、グラデーションの力を非常によく活用する点に特徴があります。

また、グラデーションはソーシャルメディアの世界でも広く利用されています。とりわけ巧妙な事例としては、SNS大手のFacebookとInstagramが導入した感情表現の背景グラデーションが挙げられるでしょう。ユーザーはこの機能を使って、投稿するテキストやストーリーの雰囲気に合った背景を付けることができます。

さらに、グラデーションは、単独でそれ自体の魅力を発揮することや、ビジュアルエクスペリエンスの主役になることも可能です。Spotaは、ラッパーのTravis Scott氏が最近開催したFortniteコラボのバーチャルコンサートを例として挙げます。同イベントのデザインは大胆さと夢のような雰囲気にあふれ、「とにかく美しい、すばらしい映像世界」でした。ちなみに、そのことをSpotaに教えたのはAdobe Stockのクリエイティブ&コンシューマーインサイト責任者Brenda Milisだったといいます。

以上の各トレンドについては、今後の記事でも順次詳しく取り上げていきます。どうぞお楽しみに。まずは、インスピレーションを刺激するコレクションを以下のリンクでご覧ください。

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この記事は2021年1月14日にBrenda Milisにより作成&公開されたSights and sounds: Adobe Stock’s motion and audio trends for 2021抄訳です。

ヘッダー写真:Jeremy Pawlowski/Stocksy / Adobe Stock

Topics: Stock, クリエイティブ, ビジュアルトレンド, ビデオ, 映像

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