スマホで紙をデジタル化 テレワークに役立つ無料アプリ「Adobe Scan」の活用術

テレワークにおける課題の一つとして挙げられる書類の管理。会社にある大量の紙書類を自宅に持ち帰るのは現実的ではありませんし、紙はデータ検索ができないため、必要な書類を探し出すのに手間がかかってしまいます。また、テレワークではオンラインでファイル共有する機会が増えるため、紙の書類よりもデジタル書類の方が重宝するケースが多いでしょう。

そこで検討したいのが、紙のデジタル化。アドビが提供する無料のスキャナーアプリ「Adobe Scan」を使えば、スマートフォンやタブレットで簡単に紙の書類をPDFファイルへ書き出すことができます。そのうえ、OCR(文字認識)処理機能も備えた優れもの。本稿では、テレワークで役立つ「Adobe Scan」の機能や活用方法をまとめて紹介します。

紙書類をPDFファイルに書き出す

スマートフォンやタブレット1つで紙をデジタル化する「Adobe Scan」。アプリを端末にダウンロードして、紙の書類をカメラで撮影するだけでPDFファイルに書き出してくれます。書き出されたPDFファイルは、クラウドサービスの「Adobe Document Cloud」に保管され、スマートフォンやパソコン、タブレットなどさまざまなデバイスからアクセスできるので、テレワーク時も便利です。

PDFファイルに名前をつけて管理をすれば、あとでデータ資料を検索するのも楽々。デジタル書類にすることで紙の収納スペースが不要になり、その分ワークスペースを広くきれいに保てるというメリットもあります。

<操作方法>

1. 「Adobe Scan」アプリを起動して、デジタル化したい書類を読み取る(撮影モードは文書、フォーム、名刺、ホワイトボードの4種類。撮影する対象に適したモードを選択することで、よりスキャンの精度が高まる)

2. カメラが書類を認識すると、書類の四隅にマークが表示される

3. 書類のサイズに合うように調整して、[続行]を選択するとデジタル化される

4. デジタル化された書類は、切り抜きや色味調整など加工できる

5. 書類データに汚れがあった場合は[クリーンアップ]機能で消す

6. 問題がなければ、[PDFを保存]を選択してPDFファイルに書き出す

7. 書類画像が端末に保存されている場合は、ホーム画面の[写真マーク]をタップし、該当の画像を選択すると同様にPDFファイルに書き出すことができる

複数枚の紙書類を1つのPDFファイルにまとめる

ビジネス書類の中には、営業資料やプレゼン資料などページ数の多い書類は少なくありません。そんな場合も、「Adobe Scan」で複数枚の紙書類をデジタル化すれば、1つのPDFファイルにまとめられます。また、1枚ずつ管理していた紙書類をカテゴリーごとにまとめておけば、必要なときに書類をすぐに見つけ出すことができるでしょう。

<操作方法>

1. 1枚目の紙書類を撮影して、デジタル化する

2. 下部メニューから[ページを追加]を選択

3.[別の写真を撮影]をタップ

4. カメラが起動するので、残りの書類を撮影してデジタル化する

5. デジタル化した書類は、順番を並び替えることが可能

6.[PDFを保存]を選択すると、全ての書類がまとめられたPDFファイルが書き出される

アドビのほかアプリケーションと連携して、仕事の作業効率を上げる

「Adobe Scan」は、アドビのほかアプリケーションと連携することで、さらにその威力を発揮。PDF化したファイルをさまざまなアプリケーションで開いて、編集作業や承認作業を行うことができ、業務の大幅な時間短縮が実現します。

■Acrobat Reader DCと連携して、PDFファイルに注釈・署名を記入する

無料で利用できる「Acrobat Reader DC」を使えば、「Adobe Scan」でデジタル化したファイルに注釈やハイライト、打ち消し線、下線などを用いて文書の校正作業が捗ります。また、書類の承認作業に必要な電子印鑑や署名の記入も可能。「Acrobat Reader DC」モバイル版/デスクトップ版のアプリからさまざまなデバイスで作業することができます。

モバイル端末で作業する場合は、あらかじめ手持ちの端末に「Acrobat Reader DC」モバイル版アプリをダウンロードしておきます。続いて「Adobe Scan」でPDFファイルを書き出したら、下部メニューの[注釈]を選択しましょう。「Acrobat Reader DC」モバイル版アプリが起動して、PDFファイルに注釈やハイライト、署名の記入ができます。

パソコンで作業する場合は、「Acrobat Reader DC」のデスクトップ版アプリを起動して、「Adobe Document Cloud」からファイルを開いてください。

■Acrobat Pro DCと連携して、PDFの書類を再利用する

有料版の「Acrobat Pro DC」を使えば、「Adobe Scan」でデジタル化したファイルのテキスト編集、ファイルの結合、ページの並び替えなどが可能になります。書類のブラッシュアップはもちろん、契約書の社名を変更して書類を再利用するなどの用途にも活用OK。無料の「Acrobat Reader DC」よりも高度なPDFファイルの編集に対応しています。

モバイル端末で作業する場合は、「Acrobat Reader DC」モバイル版アプリをダウンロードし、有料版の「Acrobat Pro DC」アカウントでログインしておきましょう。「Adobe Scan」でPDFファイルを書き出したら、下部メニューの[注釈]を選択。すると「Acrobat Reader DC」モバイル版アプリが起動して、有料版の編集機能を使うことができます。

パソコンで作業する場合は、「Acrobat Pro DC」のデスクトップ版アプリを起動して、「Adobe Document Cloud」からファイルを開いてください。

■書類をキーワード検索する

「Adobe Scan」で書き出したPDFファイルは、OCR【※】処理が施されているので、書類本文のキーワードを検索できるようになります。

【※】Optical Character Readerの略。オーシーアール(光学的文字認識)とは、イメージスキャナやデジタルカメラで紙に書かれた文字を読みとり、コンピュータが利用できるデジタルの文字コードに変換する技術のこと

ファイル名だけでなく、文章中のキーワードも検索対象となるため、紙書類と比べて書類を探し出す手間は減るでしょう。PDFファイルは「Adobe Document Cloud」に保管されるので、スマホだけでなくさまざまなデバイスから検索し、いつでもどこでも必要な情報を引き出せます。

「Adobe Scan」アプリのホーム画面で検索したい書類のタイトルや文章中のキーワードを入力すると、検索結果一覧にヒットしたファイルが表示され、簡単に該当ファイルを見つけられます。「Adobe Scan」以外のアドビアプリケーションからも同様に検索可能です。

「Adobe Scan」を使いこなして、仕事の効率化を図ろう

スキャン機能を備えた「Adobe Scan」があれば、自宅にスキャナーがなくてもペーパーレス化が加速します。情報の検索性が上がれば煩雑な書類探しにかかる作業時間が一気に短縮され、書類の引き出しや受け渡しがよりスムーズになるはずです。デジタル書類の活用によって、快適な仕事環境と円滑なオンラインコミュニケーションを実現しませんか?

(執筆:中森りほ 編集:ノオト)