Photoshop の新しい AI ツール「ニューラルフィルター」が開く大きな可能性

by akihiro kamijo

Posted on 02-18-2021

昨年10月の Adobe MAX で公開された Photoshop のニューラルフィルターはまるで魔法の道具です。クリック一つで人工知能(AI)が写真に写った人間の顔の表情や年齢を変えるデモを見て、人々はとても興奮していました。とはいえ、それは単なる目新しさや技術に対する反応ではありません。このフィルターによる新しいワークフローへの期待と、クリエイティブな可能性に対するものです。

MAX では、ニューラルフィルターのひとつ「スマートポートレート」が大きな話題になりましたが、これまでにないほど写真を簡単に修正できるフィルターは他にもあります。この記事では、機械学習により実現される Photoshop の8つの新しいフィルターすべてを紹介します。これらのフィルターは即座に利用でき、クリエイティブの選択肢を増やしつつ作業負荷を大きく低減します。

ニューラルフィルターとは何か?

ニューラルフィルターは機械学習の力を使って画像の中の要素を認識し、画像編集のプロが行うような編集やレタッチを行います。文字通りに、Photoshop をより賢くするものです。しかも、学習能力を持つ AI により実現されているということは、結果が常に改善され続けるということです。

この件でアドビは Nvidia と協力関係にあります。Nvidia は、ニューラルフィルター用に Photoshop が使用している機械学習のライブラリのいくつかを開発しました。両社は、既存のフィルターの改善や新しいフィルターの開発に向けて今後も協業を続けます。これまでに8つのフィルターが一般公開され、そのうち3つがリリース版として、残りの5つがベータ版として公開されています。

それでは、Photoshop のニューラルフィルターについて、どのようにワークフローを改善するのか、より詳しく紹介します。

おすすめのフィルター

肌をスムーズに

プロのカメラマンがよく要求される作業のひとつは肌を滑らかにすることです。特にイベント撮影では一般的です。アマチュア写真家でさえ、友人や家族から、邪魔なものを取り除いたり、照明が上手くあたっていない部分を滑らかにしたりするよう依頼されることは珍しくありません。「肌をスムーズに」 フィルターは、毛穴のようなリアルな肌の質感を維持しつつ、ワンクリックでシミなどの気になる部分を取り除きます。

JPEG のノイズを削除

「JPEG のノイズを削除」フィルターは、手元に低解像度の画像しかないピンチの状況で役に立ちます。Web で表示するため等の理由で JPEG 変換により画質が低下している画像から、圧縮により生じたノイズを除去することができます。最も評価の高い Photoshop のフィルターのひとつです。

スタイルの適用

ヴァン・ゴッホの効果を画像に適用しているAdobe Photoshopのスクリーンショット

「スタイルの適用」」フィルターは、ソース画像として選んだアートスタイルを、自分の画像に適用してくれるフィルターです。コンセプト自身は目新しいものではありませんが、AIによりスタイルを読み取りそれを他の画像に適用できることは大きな時間の節約です。機械学習モデルの進化の最終ゴールは、好みの画像、たとえばクロード・モネの絵画が選ばれたら、Photoshop がそれを読み取り、他のどんな画像にも適用できるようにすることです。現在は、Photoshop に元々含まれているアーティストのスタイル一覧から選択すると、それがカンバス上の写真に適用され、新しい特徴や特性が追加されるという仕様です。

ベータ版フィルター

スマートポートレート

「スマートポートレート」フィルターは、複雑なポートレートの編集ワークフローを数回の簡単な作業に単純化します。スライダーを操作して、笑顔、驚き、怒りなどの感情をポートレートに表現したり、被写体の年齢を変えることもできます。また、髪の毛の量や、顔の傾き、照明の向きなども調整できます。

「スマートポートレート」フィルターを使って照明の向きが調整されている

メークアップを適用

「スタイルの適用」フィルターと同じように、「メークアップを適用」フィルターは、ある写真で使われているメークアップのスタイルを、別の写真の人物に適用します。目元と口元のメークアップにフォーカスした機能となっていて、プロジェクトやキャンペーンのイメージにあった特定の見た目をつくり出すためのオプションとしても利用できます。

深度に応じたかすみ

山や海を背景にして撮られた結婚式の写真を見たことがある人は、シャープにピントの合った主人公とぼやけた背景の組み合わせが多かったことを覚えているでしょう。この使い古された手法は、画像の編集過程でノイズやかすみを背景に加えることにより、写真に奥行きを生み出すというものです。新しい「深度に応じたかすみ」フィルターは、画像を解析して得られた深度情報を使用して、カメラから遠くにあるものほど強いかすみを適用します。また、周囲の色温度を調整する機能もあります。

カラー化

「カラー化」フィルターは白黒写真に色を追加し、古ぼけた写真を鮮やかによみがえらせます。Photoshop チームはこのフィルターと組み合わせて利用できる他のいくつかのニューラルフィルターも開発中です。たとえば写真を修復するフィルターとか、ホコリやキズを削除するフィルターです。フィルターの意味ある組み合わせをひとつのワークフローにまとめることは、Photoshop が目指している方向のひとつです。

「カラー化」フィルターによりモノクロ写真に色が再現されている

スーパーズーム

「スーパーズーム」フィルターは、画像を素早く拡大して切り取りたいときに使用します。その際、Photoshop は解像度の低下を補うための処理を加えます。映画のワンシーンで画像の拡大を繰り返す FBI の捜査官のように、写真の一部に焦点を合わせたら、細部を見るために引き延ばしてみてください。このフィルターは実際に画像の解像度を上げるわけではありませんが、画像を拡大した時の邪魔なノイズを削除してくれます。

この先に向けて

ニューラルフィルターの今後に期待できる理由は、それが AI テクノロジーに支えられているため、フィルターの生み出す結果が常に改善される点にあります。フィルターを使用してその体験をユーザーがレポートすればするほど、Photoshop チームは機械学習モデルを成長させて、バージョンアップしたフィルターを公開できます。また、ニューラルフィルターパネル内から、Photoshop で使ってみたい新しいフィルターに投票することもできます。

ニューラルフィルターのより詳しい使い方を学びたい方はこちらのヘルプ記事をご覧ください。

この記事はNeural filters: What Photoshop’s powerful new AI tools can do(著者:Joel Baer)の抄訳です

Topics: クリエイティブ, デザイン, グラフィックデザイン

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