クリエイターの可能性が広がる! 世界に向けてグッズが販売できるMerch by Amazonの魅力

いまはオリジナルグッズがかんたんに作れる時代

イラスト、絵画、写真……表現手法は人それぞれでも、アーティスト、表現者であれば、“自身の作品の多くの人に届けたい”という想いは常に持っているのではないでしょうか。
いまや、ポストカードや冊子のような印刷物だけでなく、Tシャツ、トートバッグ、マグカップ、スマホケースといったグッズをかんたんに作れる時代。手がけたアートワークをグッズにして販売した経験を持つ人も多いでしょう。
アーティストのファンの視線から見れば、お気に入りの作家が手がけた商品を気軽に手に入れ、手元に置くことができる時代になったとも言えますし、既製品のデザインでは満足できない、オリジナリティのあるものを所有したいという人にとって、選択肢を大きく広げたとも言えます。オリジナルグッズを作ることは、いまやファンサービスでもあり、コミュニケーションのひとつなのです。
このようにクリエイターのなかで、オリジナルグッズ制作が熱を帯びるなか、2020年10月、日本で注目のサービスがスタートしました。それが「Merch by Amazon」(マーチ バイ アマゾン)です。

Merch by Amazonってどんなサービス?

Merch by Amazonは、クリエイターの作品をオンデマンド方式で販売できるサービスで、クリエイターはデータを用意し、デザインと商品を指定するだけですぐに販売をスタートできるのが特徴。登録料や利用料は一切不要で、コスト0で始められるのもうれしいポイントです。
注文を受けた商品は、すぐにAmazonの工場内でプリントされて発送されるため、クリエイター自身が面倒な在庫管理や発送手続きを行なう必要は一切ありません。
価格は原価以上であれば自由に設定することができ、価格が上がるごとにロイヤリティの割合も上がるしくみ。販売1点につき、どのくらいのロイヤリティを得られるかは価格設定に連動して確認することができるため、「ロイヤリティを低く抑えて、多くの人に買ってもらいたい」「ここにしかないものだから少し高めに設定する」というように、目的に合わせた販売が可能です。


//www.amazon.co.jp/tstore

Merch by Amazonストアページ: http://www.amazon.co.jp/tstore

Merch by Amazonの特徴、そのなかでももっとも魅力的かつ刺激的なのは、“海外でも同じように販売できること”です。
販売対象国は2021年2月現在、日本に加えて、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペインの計7か国。商品は注文を受けた現地でプリント〜発送が行なわれるため、海外からのオーダーにもスムーズに対応できます。国内生産&海外発送ではなく、いわば受注国内生産&発送が行なえる。これはMerch by Amazonならではの強みと言えるでしょう。


https://www.amazon.it/dp/B08VJGVPWZ

イタリアのAmazonサイトで販売されているイラストレーター・北沢直樹さんのTシャツ

現在、日本国内向けに販売可能な商品は、半袖Tシャツ(15色)、長袖Tシャツ(4色)、トレーナー(4色)、パーカー(4色)の4種類。海外ではさらにスマホケースやトートバッグ、クッションの販売もできるようになっており、今後、日本でも販売できるグッズは増えていく可能性は大いにありそうです。

**Merch by Amazonの特徴・メリット
**– データをアップするだけでAmazonのサイト上で販売が可能
– 登録料、利用料が不要
– オンデマンドプリントのため、在庫を持つ必要がない
– 発注管理や発送手続きをクリエイターが行なう必要がない
– Merch by Amazonに対応した海外のAmazonでも販売できる
– 価格を自由に設定でき、ロイヤリティも明快
– Amazon プライム対応商品として登録される
– Amazonサイト内で検索されないクローズドな登録も可能

Merch by Amazonストアページでは、すでに「NBCユニバーサル」「クレヨンしんちゃん」「KONAMI」「サンリオ」「StompStamp」「パックマン」「バンダイ」「ベイブレード」「マイリトルポニー(My Little Pony)」「モンチッチ」「MONDO TV」「LINE FRIENDS」の商品や、Fukaseさん、Q-TAさん、Takako Noelさん、田中達也さん、Tezzo Suzukiさんなど、音楽・ファッション・アートの分野でいま注目のクリエイターの作品も販売されているので、ぜひ一度、チェックしてみましょう。


http://www.amazon.co.jp/tstore

Merch by Amazonストアページ: http://www.amazon.co.jp/tstore

デザインのコツやテンプレートも揃うリソースページ

実際にMerch by Amazonで商品を販売してみたい。
そのとき、クリエイターはどうすればいいのでしょうか。
Merch by Amazonには、データ作成から価格設定、販売等、一連のプロセスに必要な情報をまとめたリソースページが用意されています(Merch by Amazonの機能などは2021年2月時点の情報です)。

リソースページのコンテンツ例
– ベストプラクティス:デザインデータ作成のポイントや配置や配色のコツを紹介
– ロイヤリティ:販売価格に応じたロイヤリティ例の一覧表
– コンテンツポリシー:販売できない商品や禁止行為のガイドライン
– 商品テンプレートのダウンロード:Adobe PhotoshopやAdobe Illustrator向けテンプレートデータ


https://merch.amazon.com/resource

Merch by Amazonのリソースにある「ベストプラクティス」ページ https://merch.amazon.com/resource

Photoshop、Illustrator向けテンプレートは、Tシャツ等作る商品の写真に対して、デザイン可能なエリアが明示されており、実際の仕上がりをシミュレーションしながらデザインを進めることができるようになっています。
Adobe Creative Cloudユーザーであれば、このテンプレートを活用することで、すばやくMerch by Amazon向けのデータを作ることができるでしょう。


https://merch.amazon.com/resource/Y28FFE5NLRYJG4V

Photoshop向けデザインテンプレート

クリエイターが体験! Merch by Amazon

実際にデザインを起こし、Merch by Amazonで販売するにはどのようなプロセスが必要なのでしょうか。
ここでは2人のイラストレーターに、その手順を体験していただきました。

1人目は、ONE PIECE「G-FRIENDS!」「攻殻機動隊 S.A.C」女子プロレス「スターダム」等のデフォルメキャラクターをはじめ、愛らしいイラストが特徴のイラストレーター・北沢直樹さんです。

北沢さんが手がけた仕事・作品

北沢さんはまず、Illustrator デスクトップ版でTシャツにプリントするイラストを作成。
「GALAXY GIRL」の文字はブラシで手描き感を加えて仕上げています。

Illustratorでプリントするイラストを作成

完成したイラストをMerch by Amazonのテンプレートに配置して位置を調整。レイアウトが決まったら、イラストデータをRGB・300ppi・PNG形式(W4500×H5400px)で書き出します。
これがMerch by Amazonにアップロードするデータになります。

テンプレートデータを使って位置、サイズを調整

Merch by Amazonの管理ページにある「作成」タブを選ぶと、商品の一覧が表示されるので、販売したい商品を選び、データをアップロードします。

商品を登録するには、「作成」タブから商品を選択する

カラーバリエーションがあるものは、販売する色を指定します。
価格を入力すると自動的にロイヤリティが計算され、1点販売されるごとにどのくらいの収入があるかを確認することができます。

データをアップし、フィットタイプ(メンズ/レディース/キッズ)を選択、色や価格を設定

商品名や説明を入力したら「公開」を押すと、まず、Amazon側でデータやテキスト情報についての審査が行なわれ、通過したものから順次、Amazonのサイト上で販売が開始されます。

Amazon上に公開されたページ

なお、「Amazonでの検索設定」で「検索不可」を選択すると、URLを知っている人しか見ることができない販売ページを作ることができます。
実際に販売する前に自身で一度仕上がりを確認しておきたいときや、イベント・キャンペーンに活用したいときに有効ですが、一度、「検索可能」にしたものを「検索不可」にすることはできないので注意が必要です。

商品登録時に表示される「Amazonでの検索設定」

Illustratorを使ってプリントするイラストを作成し、Merch by Amazonに登録する……一連の流れを北沢さんはどのように感じたのでしょうか。その印象を聞きました。

「仕事でいろいろなグッズの制作や入稿データを作ってきた経験はありましたが、Merch by Amazonでは用意されているテンプレートを使って、IllustratorからそのままPNGに書き出せるので、データ制作はとてもかんたんでした。
Merch by Amazonへの入稿ははじめてのことだったので少しとまどいましたが、慣れてしまうとひとつのデータで、Tシャツや長袖Tシャツ、ラグラン、トレーナー、タンクトップまで作れます。海外のAmazonで販売する場合は、商品タイトルや説明で英語が必要になりますが、そこを乗り越えればあっという間に世界中に商品を販売できるのは楽しいですね。
今後は、Adobe Frescoを使った手描きテイストのデザインなども作っていきたいなと思っています。
海外の方にもアピールできるチャンスなので、これからも活用していきたいと思います!」(北沢さん)

Merch by Amazonで海外にも販売! その方法は?

2人目のあさひな。さんは、Illustratorの機能と表現力を活かしたキュートなイラストが特徴のイラストレーターです。

あさひな。さんの作品

あさひな。さんの作品

あさひな。さんは今回、Merch by Amazon用にIllustrator iPad版を使ってモンスターのイラストを、Adobe Frescoを使ってネコのアナログ風イラストを作成しています。

Illustrator iPad版で作成したイラスト

海外に販売する場合、国ごとに商品を登録する必要はありません。
ひとつの商品を作成する際に、それぞれ販売したい国に対して金額を設定するだけで、その国のAmazonサイト上で販売できるようになります。

.comに価格を設定すればアメリカで、.co.ukに価格を設定すればイギリスのAmazonで販売が可能

前述のように、日本のAmazonで販売できる商品はTシャツ(半袖・長袖)、トレーナー、パーカーの4種類ですが、海外ではトートバッグ、クッション、スマホケースの販売も可能。
あさひな。さんはクッションやトートバッグ用にイラストを作成し、海外向けに商品を展開しています。

海外のAmazonであさひな。さんが販売しているトートバッグ(左)とクッション(右)

海外に商品を展開する場合、タイトルや説明テキストはそれぞれの言語で記述する必要がありますが、そのほかの販売等に関する情報はすべて日本語で提供されており、迷わず作業を進められるようになっています。
商品の特徴や、ほかの商品にはないポイントを簡潔にまとめ、翻訳ツール等を使うだけでも、十分なテキストを揃えることができるでしょう。

商品の作成は極めてシンプルなので、iPadでも十分作業が可能

日本だけでなく、海外にも販売できるMerch by Amazon。
イラストレーター、アーティストとしてその魅力はどこにあるのでしょうか。あさひな。さんに聞いてみました。

「商品の説明などを海外向けに記入することにはとまどいもありましたが、最終的には翻訳に頼ってがんばりました(笑)。
データの作成は難しいものではありませんでしたし、個人的にはデザインの制作から登録まで、すべてiPad上でもできちゃうのがうれしいポイントです。
グッズの種類に関しては、日本にはまだTシャツのようなアパレルしかないので、早くAmazon.comだけで取り扱っているクッションやトートバッグが日本でも販売できるといいなと思っています。
Merch by Amazonは、日本でだけでなく海外のにも自分のグッズが販売されるということで、クリエイターにとって大きなチャンスになると思うのでチャレンジのしがいがあります」(あさひな。さん)

Illustrator&Photoshopではじめよう!Merch by Amazon

Merch by Amazonは2021年2月現在、Amazon登録ユーザーが自由に利用できるサービスではなく「招待制」というかたちを取っています。Merch by Amazonに興味があるという人は、Merch by Amazonのwebサイトから「招待をリクエスト」しましょう。


https://merch.amazon.com/

Merch by Amazonを始めるにはwebサイトにある「招待をリクエストする」をクリックします https://merch.amazon.com/

Merch by Amazonは、言わばアーティストの作品をグッズにして世界に届けられる巨大なしくみ。
グッズにする作品はイラストだけでなく、写真、グラフィックデザイン、タイポグラフィ等、思うままです。
PhotoshopやIllustrator向けの親切なテンプレートも用意されているので、いま、Adobe Creative Cloudに契約しているユーザーなら、かんたんにMerch by Amazonで自身のアートワークを販売することができます。

PhotoshopとIllustrator、そしてMerch by Amazonで、世界に向けて作品を届けましょう。
それは世界のクリエイターとつながる、あたらしいきっかけに、未知のアートに出会うきっかけになるかもしれません。
2021年3月22日には、「Tシャツのデザインを作ろう」というWebnarも開催。北沢さん、あさひな。さんも出演されるので、Merch by Amazonにチャレンジしてみたい方はぜひチェックを。

[期間限定セール情報]
記事でも紹介したアドビのデザインツール「Adobe Creative Cloud コンプリートプラン」「Adobe Creative Cloud フォトプラン(Adobe Photoshop+Adobe Photoshop Lightroom)」「Adobe Illustrator」が、Amazonにて2月22日〜3月5日まで割引中。詳細はこちらから。

北沢直樹(左)
Merch by Amazon|JPUS
Behance|https://www.behance.net/naocky
web|https://naocky.com/
Twitter|https://twitter.com/naoki_kitazawa
Instagram|https://www.instagram.com/naoki_kitazawa/

あさひな。(右)
Merch by Amazon|JPUS
Behance|https://www.behance.net/asahina
Twitter|https://twitter.com/asahina_waki2