【College Creative Jam イベントレポート】

2020年7月8日より約3週間にわたって完全オンライン形式で産学共同型のデザインコンペを実施しました。このブログでは、キックオフからフィナーレ、その後の特別企画まで、一連のイベントの様子をレポートします。

By Adobe Education Japan

Posted on 03-18-2021

Adobe XDを使った学生向けデザインコンペを開催。

学生の創造的問題解決スキルの育成を支援(前編)

College Creative Jamは、2020年7月8日より約3週間にわたって完全オンライン形式で行われた産学共同型のデザインコンペです。実在する社会問題をテーマに、限られた時間の中で学生たちは問題解決のためのモバイルソリューションをチームで考え、Adobe XDを使ってプロトタイプを制作し、発表するというものです。全国から8大学、68チーム、総勢172人の大学生が参加し、一次選考を勝ち抜いた10チームが7月31日のフィナーレに挑みます。発表には、実際の業界で活躍するプロが審査員として携わり、まるで現場でフィードバックをもらっているような、とてもリアルな環境と体験を学生へ提供します。

このブログでは、キックオフからフィナーレ、その後の特別企画まで、一連のイベントの様子をレポートします。後編では、優勝チームの学生および先生のインタビューもご紹介します。

「環境保全」をテーマに、問題解決のためのモバイルソリューションを作成

2020年7月8日、College Creative Jam開幕を告げるキックオフがオンラインにて開催されました。ここではまず、米国のNPO団体 The Ocean AgencyのCEO/創立者であるRichard Vevers氏から、今回の課題(チャレンジブリーフ)が出題されました。

彼らは、現在、危機的な状況に陥っているサンゴ礁を救うため、世界中の人々に問題を喚起し、海洋保護と気候変動対策への支援の呼びかけを目的としたキャンペーン「Glowing Glowing Gone」を展開しており、その支援を可視化できるモバイルソリューションを作成するというのが今回の課題です。

続いて、参加大学およびチームが紹介されました。UI/UXという分野は、異なる専門性の学校で教えられています。学校、そして教授ごとに教えるスタイルも変わるため、今回は学生同士の刺激になるよう、美大、工学大、一般総合大、専門学校と、様々な学校に参加いただきました。

[参加大学/チーム]

・東北芸術工科大学 グラフィックデザイン学科 8チーム 16名

・東京工芸大学 インタラクティブメディア学科 2チーム 6名

・京都芸術大学 クロスティックデザインコース / イラストレーションコース / ビジュアルコミュニケーションデザインコース 12チーム 34名

・芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 / 大学院 理工学研究科 6チーム 15名

・東京電機大学 システムデザイン工学部 / 未来科学部 / 工学部 / 理工学部 28チーム 72名

・北海道大学 CoSTEPプログラム 2チーム 4名

・デジタルハリウッド大学 デジタルコミュニケーション学部 4チーム 10名

・HAL大阪校 Webデザイン講座 / グラフィックデザイン学科 6チーム 15人

キックオフ後半は、アドビのエデュケーションエバンジェリスト 井上 莉沙によるXDブートキャンプ(トレーニング)が行われました。初めてXDを使う学生も多く、基本的な操作を中心に、デザインからプロトタイプ作成までの一連の流れをデモンストレーションを交えて紹介されました。

約2週間のリモート共同作業で54のプロトタイプが完成

7月26日の一次選考に向けて、学生たちの制作がスタートしました。イベント準備期間に、新型コロナ感染拡大による緊急事態宣言が出され、多くの大学で遠隔授業が始まったばかりでした。イベント開始後もクラスメイトと直接対面することができず、そうした中、チームが編成され、学生たちはSlack、teams、zoom、LINEなどを使ってコミュニケーションを行い、またCreative Cloudのコラボレーション機能を駆使しながら共同作業を進めていきました。

またサポートの一環として、先生方に直接メンターとして携わっていただいたり、アドビでもバーチャルオフィスアワーを実施して学生の相談に乗ったり、またSlackを使ってXDのティップスや課題の解釈をサポートする情報発信なども行いました。

7月26日、54のプロトタイプ作品が各チームより提出されました。1次選考には、プロのデザイナーやクリエイティブの現場で活躍される皆様にオフライン審査員として参加していただきました。各作品に2名の審査員がつき、スコアリングシートによる採点が行われました。すべての作品に対してフィードバック、コメントもいただくことができたので、フィナーレに進めなかった学生にとっても、深い学びの場になったのではないでしょうか。

10チームによるフィナーレプレゼンテーション、結果発表

7月31日のフィナーレでは、1次選考で勝ち残った10チームによるプレゼンテーションが行われました。ライブ審査員として、パタゴニア日本支社のアクティビズム・コーディネイター 中西 悦子さん、博報堂プロダクツ 株式会社のアートディレクター 野澤 未帆さん、ソニー株式会社 クリエイティブセンターのシニアアートディアートディレクター 北原 隆幸さんの3名にご参加いただきました。

学生は3分という短い時間のなかで、作成したプロトタイプに対するプレゼンテーションを行い、審査員の皆様から生のフィードバックを直接受け取るという大変貴重な体験をしました。

どの作品も、課題に対する解決策がしっかりと定義されており、ユーザビリティとフローを考慮した非常に完成度の高いものに仕上がっていました。アイコンやイラストを使ったビジュアルデザインもさることながら、アニメーションなどのインタラクションを多用するなど、XDを使い始めてまもない学生が約2週間で作り上げたとは思えないクオリティの高さと創造性に、審査員や参加者は終始圧倒されていました。

厳選な審査の末、上位5チームが選出されました。それでは、最優秀賞を受賞した東北芸術工科大学の村岡 光さんと宮野 友里さん、および上位5チームの作品とプレゼンテーションをご紹介しましょう。

最優秀賞:

東北芸術工科大学 『バイカラードティーバック』 村岡 光さん/宮野 友里さん

魚のアバターを泳がせ、ジャイロ機能を使ったアクションで海流を起こし、水温に下げることでサンゴを健康的な色に戻すという仕組みのアプリ。世界中のユーザーの動きがリアルタイムで見ることができたり、個人の泳いだ距離 の記録や、アバター増加など、持続的にアプリを楽しんでもらえるような工夫が感じられ ました。世界中の人がアプリを使うことによって、問題喚起に繋がるアクションを起こしてもらいたいという思いが込められました。

第2位:

京都芸術大学 『apple neck』 高久 凛さん/岩本 英里奈さん

サンゴの現状が学べる小学校低学年向けのweb絵本。サンゴに住む 魚ブライアンを通じて、どんなことがサンゴに影響を及ぼしているのか、アニメーションや可愛らしいイラストによって簡単に楽しく学ぶことができます。物語の途中でユーザーがアクションをするとストーリーが変わる工夫もポイントでした。

第3位:

東北工科大学 『Chapati』 阿部 朱夏さん/小川 紗代さん

同じ日に、同じ行動をとった人とメッセージを送り、ユーザー同士が繋がれるモバイルアプリ。 一人一人がサンゴ礁のために起こしたアクションで繋がり、一丸となって行動している様子が、アプリ上の海が豊かになっていくビジュアルで、視覚的に実感できる仕組みになっていました。

第4位:

京都芸術大学 『newcomers』 須鎗 裕次郎さん/小田 勇太さん/河崎 大輝さん

サンゴの育成を通じて白化現象を伝えるゲームアプリ「さいごのサンゴ」。水温の上昇の影響で蛍光化、白化した様子をゲーム内でも表現していました。キャンペーンサイトの説明では、ゲーム内で起こった白化現象を、実際のサンゴの写真を比較して、現実の問題をさらに結びつけ、ユーザーにサンゴの危機を訴えかける工夫がなされていました。

第5位:

京都芸術大学 『Miso soup』 川田 美空さん/横江 美有さん/中野 明日香さん

白化したサンゴに色を塗ることで、視覚的にサンゴを守るキャンペーンに賛同する意識を、楽しみながらも持ってもらいたいという思いが込められています。ユーザーが作ったサンゴがサンゴ礁の一部として集まり、自分もサンゴ礁を救う一員だと感じられる作品に仕上がっていました。

入選5チームと企業をつなぐ、特別ネットワーキングイベント

今回のCollege Creative Jamでは、フィナーレ終了後にも日本独自の取り組みが行われました。アドビは学生の卒業後の将来を見据えた、次につながる機会を提供するために、入選5チームと企業をつなげる特別ネットワーキングイベント「TOKYO TRIP!」を開催しました。協力企業には、ソニー株式会社チームラボ株式会社博報堂プロダクツ株式会社株式会社ビビビットにご参加いただき、オフィスツアーをしていただいたり、なかなか聞くことのできないプロジェクトの深いお話を聞かせていただくなど、学生のさらなるモチベーション向上と、卒業後のビジョン形成につながったことと思います。

また、最優秀賞を受賞された東北芸術工科大学の村岡さんと宮野さんには、課題の提出者であるRichard Vevers氏へのプレゼンテーションも行ってもらいました。二人とも慣れない英語を使いながら、しっかりと自分の言葉で発表することができました。グローバル化が進むこれからの社会に向けて、インターナショナルな学びの場は、お二人にとって非常に貴重な体験だったのではないでしょうか。

美術、テクノロジー、心理学、人間工学など、様々な知識が融合されて生かされるのが、このUI/UXという分野です。日々、進化と変化を重ねるデザインの領域ですが、ビジュアル性を高めるだけでなく、もっと深いレベルでどんな専門性の学生も創造的課題解決力を養えるようにアドビでは、今後もこのようなイベントを積極的に行っていきたいと思います。

College Creative Jamの内容については、アドビの教育コミュニティサイト「Adobe Education Exchange」のでも詳しくご紹介しています。College Creative Jamレポートはこちら

レポートの後編はこちら

Topics: 教育, クリエイティブ,

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