記念写真をライフスタイル系ポートレートにする方法

雰囲気のあるポートレート作品はAdobe Stockでも人気のジャンル。第一線で活躍するコマーシャルフォトグラファー・趙慧美さん(アマナ)がワンランク上の表現が実現できるポイントをお伝えします。

By Hyemi Cho

Posted on 05-07-2021

ステイホーム期間が長引き、丁寧な生活へのニーズが高まる中、人気となっているのがライフスタイル系フォトです。一枚の写真から人の気配や豊かな時間をにじませる、ライフスタイル誌でみかけるあの写真。憧れるけれどどう撮るのか分からない」という声をよく聞きます。 また、Adobe Stockでも雰囲気のある人物ポートレートは国内外問わず求められるジャンル。そこでライフスタイル系フォトを得意とするアマナのフォトグラファー・趙慧美さんから撮影のポイントをおしえてもらいます。

■なぜその写真に「雰囲気」が宿るのか。

どこか懐かしさがあって、けれどもとても身近なような“雰囲気のあるポートレート写真”。ライフスタイル誌やファッション誌でよく見る「ふわっと浮遊感のあるポートレートを撮りたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。

私もそうしたトーン写真が好きで、自分の作品はもちろんお仕事でも撮影しています。例えば、上のような写真です。

美しい景色で佇む透明感のある友人、あるいは彼女と過ごした思い出を時間や空間ごと切り取ったような写真です。

では、なぜこの写真は、空気感や雰囲気といったエモーショナルな感覚を与えてくれるのでしょうか? 答えをお教えする前に、同じモデルを、同じ場所で、ほぼ同じ画角で撮った別写真を見ていただきます。

こちらはこちらで力強さがありますね。モデルの凜とした感じもよく表現されています。ただ少し、「生々しさ」が強い気がします。コントラストも強く、質感が出過ぎている。写真の主役が、場所や時間を含む空間なのにモデルの存在感が強すぎますね。

あらためて、最初の写真と比べると、違いがはっきり見えます。

左の「雰囲気ある」写真は、全体が優しくふわっとした表現が特徴です。

それはなぜか。これは太陽光がレンズの中に入って反射する「フレア」という現象を狙ったため。また、写真の中央から少し左上、モデルの顔にかけて、反射した光の輪「ゴースト」がいくつか入り込むのを、意図して狙った効果が独特の温かみや柔らかさを生んでいると思います。

フレアもゴーストも、太陽に受けてカメラを構え逆光気味に撮影することで生じる、写真が白くぼやけてしまうハレーションに近い効果。フィルム時代の撮影の考え方からすると、「失敗」といわれてしまう写真です。

しかし、意図的な「表現」としてこの効果を使うと、写真が柔らかくなり、どこか懐かしい、記憶の奥底に残った情景のような「雰囲気のある」写真を生み出せるのです。右上の写真のようにクリアで生っぽすぎる写真と違い、クリアではない分、写真の情報量は減ります。しかし、だからこそ妄想のための「余白」が生まれる。

「きっとこんな女性で、こんなシーンに違いない」「自分にも似たような瞬間があった気がする」

そんな一枚の写真から自然とイマジネーションが広がりやすくなる。妄想する余白があるからこそ、自分事にも感じ共感が生まれるわけです。

■フレアとゴーストを「狙って」撮るには。

では、ライフスタイル系ポートレートの効果を生む「フレア」と「ゴースト」。あえて表現としてこれを使うならば、まず逆光を狙うのが基本。見本写真の場合は写真の少し左側に太陽がある構図で撮影しました。また、撮影時刻は太陽が傾いてきた昼下がりから夕方前、あるいは午前中の10時くらいまでがベスト。太陽が真上にある正午付近は、逆光を狙うために見上げるようなアングルになってしまうので、あまりおすすめしません。

そのうえで、以下の3つを実践してください。

フレアもゴーストも、レンズの中に光が入り込み、それがレンズやボディの中で反射して光がかぶって生まれる効果です。つまり、レンズが何枚も重なっていれば光が折り重なって「乱反射しやすく」なる。

まず「ズームレンズ」単焦点レンズに比べてカメラのCCDに至るまでにレンズの枚数が多いため、光が反射しやすくなります。

「でもそのためにレンズを買うのは…」という方はぜひ、「フィルター」を試してください。あえて白くぼかすためのハレーションフィルターと呼ばれる製品もありますが、実はレンズ保護用のクリアなフィルターをつけるだけでもこの自然な効果が出せます。

そして、レンズフードは必ずはずしてください。レンズフードは余計な光を入れないためのアクセサリなので、フレアもゴーストも出づらくなるからです。

■女性の肌をより美しく表現したいときは。

フィルターの話が出たので、最後にもうひとつポートレート撮影でおすすめのフィルターの使い方を紹介します。「シネマフィルター」です。

これは名前のとおり、ハリウッドの映画女優などが、大きなスクリーンでアップを撮られるときに気になる肌のシワやシミを上手にボカすために使うフィルター。ハイライト部分をやわらかくすることで、色を変えずに露出をコントロールしてくれます。

百聞は一見にしかず。

これも同じモデル、同じアングルの写真で比べてみていただきましょう。

上の2枚、シネマ左がフィルターなしです。実に自然に肌の質感が補正されていますよね。また全体的に少し輪郭がボヤけるため、ライフスタイル系のポートレートにもマッチします。ただし、強い度フィルターを選ぶと、質感が消えすぎて不自然になるので、適度な度数のものを選ぶのがおすすめです。

フレアやゴーストが入った写真に対して、かつてはネガティブなイメージがありました。しかし、撮る側が意図をもって使えば、それはとてもポジティブな効果を生む。あなたもぜひ自分らしいライフスタイル系ポートレートを撮ってみてはいかがでしょうか。

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