Adobe Digital Economy Index初のグローバル版を発表、米国および世界各国でフライト予約の回復と物販の急増を観測

唯一のデジタル経済活動指標であるDigital Economy Indexが、初めてグローバルを対象としました。それに合わせて実施した消費者調査から見えたインサイトをご紹介します。

A picture containing aircraft
Description automatically generated

By Adobe Comms

Posted on 05-21-2021

米国では、1億人分のワクチン接種と、追加の直接給付金の支給といった景気対策により、オンラインでの消費習慣が再び変化し始めています。このたび発表された、旅行やECなどのデジタル消費のトレンドへの影響を調査した最新版のAdobe Digiutal Economy Indexでは、このような重要なポイントが明らかになりました。

このレポートではオンラインでの消費動向として、米国の航空会社上位10社のうち7社と、米国のホテル運営会社上位10社のうち8社の取引状況、および18の製品カテゴリーにおける1億以上のSKUを含む小売ECサイトへの1兆回の訪問を測定しています。さらに、アドビは、3つの地域(アメリカ、アジア、ヨーロッパ)の80か国以上における直接取引のデータにもとづき、調査開始以来、初めてデジタル消費のグローバルビューを公開しました。

今回の調査結果は、米国においてワクチンの接種が拡大するにつれて、消費者の安心感や旅行への関心が高まっていることを示唆しています。同時に、オンライン売上高が大幅に増加していることからも、私たちがデジタル経済の時代に生きており、パンデミック以前の状態には戻らないということも明らかになりました。

増加する旅行予約

米国でのフライトの予約は、大規模なワクチン接種が始まるまでの数週間(2020年11月30日~12月13日)と比較して、2021年3月時点で111%増と大幅に増加し、ホテルの予約も同時期に50%増となりました。新年の最初の2か月間と比べても大幅に回復し、2021年3月のフライト予約は、2月に比べて57%、1月に比べて79%増加しました。一方、ホテルの予約は、2月に比べて41%、1月に比べて54%増加しました。

これらの数字は旅行景気の回復を示しているものの、パンデミック前(2019年)の同時期と比較すると、フライトの予約は依然として22%、ホテルは18%減少していることに留意する必要があります。

Chart, line chart
Description automatically generated

2021年3月に米国国内線のフライト価格が16%低下したことで、旅行予約が促進され、将来を楽観的に予測している消費者がその恩恵を受けています。2021年のクリスマスのフライト予約は、2019年3月の水準と比べて17%増、感謝祭のフライト予約は9%増となっています。感謝祭とクリスマス含めて、早期の旅行予約に大きな増加が見られ、2021年10月20日〜2021年12月31日の期間全体を通してみると、旅行予約は2019年3月と同等の水準に戻っています。直近の旅行予約については、これまでよりも日数に余裕をもってフライトを予約する傾向が見られています。必要に迫られての旅行が多かった2020年7月時点では20日先だったに対し、2021年3月4日以降からは、26日先の予約となっています。

また、アドビの調査からは、米国北東部の消費者が旅行を躊躇しているという地域的な違いも明らかになりました。北東部出発便の3月の予約状況は、パンデミック前の2020年1月の水準の56%となっています(西部63%、南部70%、中西部75%)。しかし、北東部では、ワクチン接種が1%増加するごとにフライト予約が3.2%増加しており、この増加率は他のどの地域よりも高いものです。

パンデミックの初期には、旅行と物販の2つの業界は対照的な動きを見せました。消費者は旅行費用を抑え、代わりにオンラインで購入できる物販商品に注力したのです。ところが、年が明けて2月になると、旅行が追いつく動きを見せ、2021年1月には99%だった成長率の差が、わずか37%にまで縮まりました。

Chart, line chart
Description automatically generated

米国のオンライン売上高が3月に急増

米国では2021年3月、オンライン売上高はこれまでの記録を更新し、ブラックフライデー並みのデジタル消費が見られました。米国救済計画法が成立した3月11日から、デジタル消費は急増し始め、3月11日から3月31日までの3週間の追加消費は80億ドルでした(2020年のブラックフライデーのデジタル消費は90億ドル)。

この80億ドルは、米国の消費者が受け取った4,100億ドルの直接的な景気回復策の約2%に相当します。消費者が購入した上位のカテゴリーは、おもちゃ、家具および寝具、ビデオゲーム、自動車部品でした。米国の消費者は、3月全体で前年同月比49%増となる780億ドルをオンラインで消費し、2020年7月以来の高水準を記録しました。

店舗が再開し、消費者が安心して店頭に訪れるようになっても、オンラインショッピングは衰えを見せていません。米国の消費者1,000人以上を対象とした調査では、2020年に比べて実店舗の訪問に安心を感じるとした回答者は32%で、逆に訪問に抵抗を感じていると回答したのはそれよりも低い23%でした。成長基調のまま移行するオンライン購入のトレンドに上乗せする形となった3月の急増は、消費者が習慣的にPCやスマートフォンで商品を注文していることを示しています。

Graphical user interface, chart, line chart
Description automatically generated

消費者がより多くのお金を使うなか、その多くが新しい支払い方法を実践しています。年初来の2か月間に前年同期比215%の伸びを示した「Buy Now, Pay Later(後払い購入)」は、3月に前年同期比166%の伸びを示しました。州ごとに見ると、この支払い方法の伸びが最も高かったのは、フロリダ州、ワシントン州、コロラド州、ミシガン州、ウェストバージニア州でした。

また、パンデミックが米国の消費者の支出配分に与える影響は継続しており、3月7日から21日までのオンライン食料品の売上は、パンデミック前(2020年8月15日から31日までの期間)と比較して17%増加しました。また同じ期間に、スポーツ用品は15%伸びています。しかし、クラフト用品と書籍の売上は、それぞれ23%、14%減少しています。特定のカテゴリーでは、依然として品切れ傾向が続いており、2021年2月、新生児および幼児向け製品を購入する消費者は、平均より3.2倍多くの品切れメッセージを目にしました(食料品は平均より3.1倍、ジュエリーは平均より2.8倍)。

米国の消費者1,000人以上を対象としたアドビの調査からは、消費者の発言とデータの乖離も判明しています。回答者の37%は、景気刺激策の小切手を生活費に充てると答え(負債の支払い14%、貯蓄29%、投資8%、家賃の支払い3%)、「何か欲しいものを買う」と答えたのはわずか6%でした。しかし、2021年3月のオンライン取引の急増は、消費者の当初の支出予定と、衝動買いの魅力とのギャップを浮き彫りにしています。

オンライン購入の継続的な増加は、経済全体に対する私たちの理解をも変えつつあります。シカゴ大学ブースビジネススクール教授で、元経済諮問委員会議長のオースタン グールスビー(Austan Goolsbee)氏は、デジタル経済を測定することの重要性とアドビの役割について、自身の見解を以下のビデオで述べています。

2021年、世界のオンライン売上高は4兆ドルを超える見込み

このたびアドビは、オンラインショッピングにおいて、初めて世界各国を含む数字を公表しました。これによると、2021年1~3月の世界のオンライン売上高は、前年同期比38%増となる8,760億ドルに達し、大幅に増加したことがわかりました。アドビは、現在の成長率が変わらず推移し続ければ、2021年の世界のデジタル消費が4.2兆ドルに達すると予測しています。また、米国のデジタル消費は、2022年に1兆ドルに達すると見ています。

Chart, bar chart
Description automatically generated

アドビは今回、イギリスと日本に特化したデータも発表しています。イギリスでは、デジタル消費の成長率が米国を上回り、2021年の最初の3か月間で前年同期比66%と大幅に成長し、消費額は390億ドルに達しました。より大きな市場である米国では、同時期に39%成長し、消費額は1,990億ドルに達しています。イギリスでは、売上高の半分がスマートフォン経由のもので、モバイルの支出シェアは前年同期比6%増となりました。

イギリスでは、外出制限が施行されていたことが影響し、webサイトの訪問者数は前年同期比で29%増加しました。このことは、消費者の注文額を一定程度押し上げ(前年同期比9%増)、収益の増加に最も貢献しました。小売業者がコンバージョンの促進を強化(同18%増)したことに加え、消費者がオンラインでの注文に慣れてきたこともあり、2021年第1四半期の1分あたりの売上は前年同期比23%増となりました。

日本では、デジタル消費の成長はより緩やかなペースでした。2021年第1四半期のオンライン売上高は、前年同期比15%増の380億ドルに達しました。売上高の64%はスマートフォン経由で、前年同期比2%増となっています。日本の消費者がオンラインで買い物をする機会が増え(訪問回数は前年同期比19%増)、より高額な注文をするようになりましたが(同15%増)、コンバージョンが低下(同16%減)したことにより、一部相殺されました。

イギリスでは、食料品のオンラインショッピングの習慣化が進んでいます。市場ごとに1,000人以上の回答者を対象とした調査では、イギリスの消費者の39%が毎月オンラインで食料品を購入していると回答しており(米国27%、日本24%)、イギリスの消費者の半数以上(52%)が、食料品をオンラインで購入することでお金を節約できていると考えています(米国51%、日本54%)。

A picture containing chart
Description automatically generated

世界中の小売企業が、ECに対する消費者の強い関心から恩恵を受けている一方で、改善の余地もあります。webサイトへのアクセス数の増加は、収益成長の64%近くを占め、平均注文額は1か月あたり65セントのペースで増加しています(過去3年間)。しかし、コンバージョンは横ばいです。これは、消費者がショッピングカートを放棄しているか、オンラインの顧客体験そのものを途中で離脱したことを示しています。新しい顧客層がデジタルコマースを始めるようになった今、ここには成長の余地があります。市場ごとに消費者1,000人以上を対象とした調査では、英国の消費者の15%が、2020年3月以前はオンライン購入経験がなかったと回答しています(米国では9%、日本では8%)。

分析および調査方法について

Adobe Digital Economy Indexは、1兆回を超えるサイトアクセス数と1億を超えるSKUの分析にもとづき、同種の指標のなかで最も包括的なインサイトを提供します。Adobe Analyticsは、米国の上位100のオンライン小売業者のうち80社による取り引きを測定しており、この数字は他のどのテクノロジー企業による分析をも上回ります。旅行に関する情報では、Adobe Analyticsが米国の航空会社上位10社のうち7社と米国のホテル上位10社のうち8社の取引を測定しています。グローバルの数値は、アメリカ、アジア、ヨーロッパの80か国以上における取引にもとづき、こちらも他の調査会社やテクノロジー企業よりも大規模なものとなっています。調査結果は、2021年2月26日~3月2日および3月24日~3月29日に実施された、米国、英国、日本の3,000人以上の消費者(18歳以上)からの回答にもとづいています。

*本記事は、2021年4月27日に米国本社が投稿したブログの抄訳版です。

Topics: カスタマージャーニー, リサーチ, Adobe Summit, デジタルコマース, トレンド, トレンド&リサーチ, パーソナライゼーション, 旅行&観光, エクスペリエンスクラウド,

Products: Experience Cloud, Analytics,