コロナ禍においてMastercardの指針となった、アジリティ、共感、パーパスとは

クレジットカード大手のMastercardは、世界的パンデミックを予測していたわけではなかったものの、COVID-19の感染拡大にオールデジタル体制で迅速に対応する準備ができていました。

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Posted on 06-03-2021

マーケティングの未来に関する記事を読む際にかかるインターネット料金、毎月14.99ドル。MastercardのCMO兼コミュニケーション担当最高責任者であるラジャ ラジャマナー(Raja Rajamannar)氏が執筆した次世代マーケティングに関する書籍、23.99ドル。しかし、コロナ禍においてMastercardが俊敏性と回復力を維持した秘訣についてラジャマナー氏にお話しを伺う機会は、プライスレスです。

クレジットカード大手のMastercardは、世界的パンデミックを予測していたわけではなかったものの、COVID-19の感染拡大にオールデジタル体制で迅速に対応する準備ができていました。ラジャマナー氏は、このデジタル対応の成功が、万が一に備え3年以上前に設置した危機管理チームのおかげだと考えています。このチームの任務は、ビジネスに影響するリスクを特定して評価し、各リスクの発生確率を割り出したうえで、リスクが顕在化した場合の緊急時対応計画を作成し、その計画に基づいてMastercardの社員をトレーニングすることでした。

「やっておいて良かったと心から思います」と、ラジャマナール氏はインタビューの中で語り、こう続けます。「(計画に組み込む要素として)当時予測していたのは、(対面型の)イベントが一部地域で実施不可能となるような困難が生じた場合、デジタルへの転換が避けられないだろうということでした。その考えのもと、代理店との連携や従業員同士の共同作業から、Mastercardの中核である『プライスレス』な顧客体験の企画までのすべてをデジタル化したのです。」

デジタルへの対応

昨年、Eコマースやモバイルコマースが爆発的に普及したことで、デジタルはすべてのビジネスにとって必須のものとなりました。アドビのDigital Economy Indexによると、2020年に消費者がオンラインで消費した金額は8,130億ドルで、2019年から42%増加しました。デジタル消費の急増は、人々が商品やサービスを購入する方法に大規模な転換をもたらし、ポジティブな変化を後押ししました。

ラジャマナー氏によると、コロナ禍でも回復性を保ち、成功し、革新的であり続けられた企業は、最もデジタルの面で成熟し、ユニークで共感的であったそうです。すでに、コンテンツ、プロセス、ワークフロー、顧客体験のデジタル化に精通していた組織は、駆け込みでオンライン化に対応する必要がありませんでした。その代わりに、競合のなかからクリエイティブで優位に立つ方法や、顧客やコミュニティをサポートする施策に集中することができたのです。

「競合すべてが同じテーマや優先順位を追い求め、同じようにプレッシャーを感じているときでも、優れたブランド企業は独自性と差別化で際立つことに成功しました」と、ラジャマナー氏は述べ、共感を大切にし、売るのではなく奉仕するという考え方に立脚して消費者と社会全体に向き合うことが最も重要であると付け加えます。

大義、文化、良識の追求

Mastercardは、パンデミックの期間中でも、従来通りの社会貢献活動を継続するとともに、企業のパーパス(社会的な存在意義)に沿った新たな取り組みにも参加しました。例えば、非営利団体Stand Up To Cancer(英語)との積極的なパートナーシップを継続し、がん患者のための7つの薬の発見と承認に貢献しました。さらに、LGBTQ+コミュニティを支援するコミットメントの一環として、トランスジェンダーコミュニティを特に支援するために2019年に発売された「True Name Card」というクレジットカードの開発を継続的に支援しました。True Name Cardでは、カードの表側に利用者が自認する名前を、裏側には規制上の要件である「法的な」名前を小さな文字で記載することができます。

Mastercardは、2020年の夏に起きたジョージ フロイド(George Floyd)氏の悲劇的な死を受けて、Black Lives Matter運動の支援にも積極的に参画しました。同社は、全米の黒人コミュニティが直面する富や機会の格差を解消するために、5億ドルの寄付を約束しました。その中には、黒人女性が経営する小規模ビジネスを紹介し、リソースやトレーニング、資金を提供するプログラム(英語)も含まれています。

また、社会の文化やステレオタイプは、映画や広告によって形成されているとラジャマナー氏は指摘し、「(同様に)私たち企業にも文化や社会を形成する力があります。リソースとネットワークを使い、ある信念や考え方を形成する。私たちはこれまでその力を自社のためだけに使ってきたのです」と述べます。

ラジャマナー氏は、Mastercardのアジェイ バンガ(Ajay Banga)会長が使った造語「decency quotient(良識指数)」についても言及しました。CEO在任中、バンガ氏は、「知能指数(IQ)や心の知能指数(EQ)はよく取り上げられますが、皆さんにとって最も重要なのはDQ、つまり良識指数です」と語っていました。

社会やテクノロジーの変化がデジタルに大きな影響を与えていることから、ラジャマナー氏は近い将来、マーケティング戦略は大きな飛躍を迎えると考えています。Wall Street Journalで新刊ベストセラーとして紹介された「Quantum Marketing: Mastering the New Marketing Mindset for Tomorrow’s Consumers(飛躍的マーケティング:未来の消費者を想定した新しいマーケティングマインドセットの習得)」を発表したばかりの彼は、同書で「私たちは、マーケティングの第5のパラダイムと呼ぶべきものを目前にしており、マーケティングの古典的な理論や枠組みはすべて根本から覆されるでしょう」と主張しています。ラジャマナー氏は飛躍的マーケティングを「未来のためのプレイブック(行動計画)」と呼び、未来のマーケティングは、テクノロジーを駆使しデータを活用することおよび世界中で前例のない規模で起きている文化的な変化に共感するものになると述べています。

*本記事は、アドビが2021年5月26日に投稿したブログの抄訳です。

Topics: デジタルトランスフォーメーション, 顧客理解とデータ活用, 金融, カスタマーサクセス, CMO by Adobe,

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