できるだけ多くの人のためにデザインするインクルーシブデザインが重要な理由 | アドビ UX 道場 #UXDojo

インクルーシブデザインはあらゆる多様性を考慮します。その対象には、能力、言語、文化、ジェンダー、年齢などが含まれます。

By akihiro kamijo

Posted on 06-21-2021

インクルーシブデザインとは人々のあらゆる多様性を視野に入れたデザインのことで、対象となる側面には、能力、言語、文化、ジェンダー、年齢などが含まれます。このアプローチは、できる限り多くの人の役に立つ体験をデザインしようとするデザイナーの力強い味方です。

インクルーシブは常にデザイナーの主要な目的のひとつであるべきです。そのためには、さまざまな能力や条件を考慮したデザインが求められます。検討すべき側面は数多く存在します。

たとえば、ユーザーは周囲から隔離された静かな寝室にいるかもしれません。あるいは、混雑して騒がしい場所からアクセスしてくるかもしれません。どのような状況にユーザーがいても体験のクオリティは同様に高いものであるべきです。これを達成するためのひとつの方法は、体験するための手段を複数提供し、利用状況に応じてユーザーが選べるようにすることです。そうすれば利用者層を拡大し、全体的なユーザー体験をより良いものにできます。

インクルーシブデザインが重要な理由

インクルーシブデザインへの取り組みが重要な理由はいくつもありますが、最も重要な理由は、多様なユーザーの体験がより良いものになることです。約 10 億人、すなわち世界の人口の15% が何らかの形の障害を体験しています。多様な人々への共感はインクルーシブデザインの重要な要素です。共感は、ユーザーが除外されていると感じることなく、自分の居場所のように思える体験をデザインする土台になります。

2 つ目の理由は、インクルーシブデザインが市場におけるブランドの認知向上に役立つことです。インクルーシブデザインを実践し、すべての人に等しいアクセスと機会を与えようとする企業努力に顧客は気付くことでしょう。コンシューマの 3 分の 2 近くは、インクルーシブデザインに取り組む企業を支援し、そうでない企業を意識的に避ける傾向があります。

3 つ目の理由です。インクルーシブなデザインは SEO にも効果的で、オーガニック検索によるトラフィック増加が期待できます。検索エンジンはインクルーシブを考慮したデザインにポイントを与えます。画像の代替テキスト、動画のキャプション、リンクテキストの説明などは、ページの検索順位を上げる潜在的な効果を持っています。

最後に、インクルーシブデザインは売り上げの向上にも貢献するかもしれません。より多くの多用な顧客にリーチできることがその理由です。使いづらいと感じる製品やサービスのユーザーになろうとする人はまずいません。

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アクセシビリティを表現した白い画像と青い背景 出典: アドビ

アクセシビリティとインクルーシブデザインの違い

アクセシビリティとインクルーシブデザインは、交換可能な単語としてしばしば扱われます。もちろん互いに関係してはいるものの、全く同じものではありません。アクセシブルデザインは、基本的に効果的なインクルーシブデザインの成果であり、特に異なる能力を持つユーザーに重きを置いて、すべてのユーザーが利用できて恩恵を得られるデザインの達成が目的です。

Web Content Accessibility Guidelines (WCAG)は、Web コンテンツのアクセシビリティに関する基準となるべくつくられました。このドキュメントには、さまざまな能力の人々が利用できるアクセシブルなコンテンツをつくる方法が書かれています。スタイルガイドやデザインシステムを構築する際は、このガイドラインを念頭に作業することが重要です。

WCAG では次のような項目が扱われます。

一方、インクルーシブデザインは結果だけではなくデザインへのアプローチにも注目します。つまり、多種多様なユーザーが利用できる体験をつくるためのプロセスです。このプロセスは、ある製品やサービスを利用する人々が疎外され得る状況を特定する作業から始まります。疎外は状況に応じて誰にでも起こることです。これはインクルーシブデザインの方法論の大事なポイントです。

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さまざまな能力を持つ人々のカラフルな画像 出典: アドビ

インクルーシブデザインとアクセシビリティはどちらも、状況に関わらず可能な限り多くの人が使えるデザインを実現するためにデザイナーが利用できるツールです。共に使えば、人々が画面を効率的に使う妨げになる要因を減らせます。

インクルーシブデザインの原則

多様なユーザーが実際に利用できる体験をデザインするために、インクルーシブデザインにはいくつかの原則があります。これらの原則を実践する際に重要なのは、デザインプロセスの最初からインクルーシブデザインの意識を持つことです。そうすれば、アクセシビリティ標準を満たすデザインを完成させられるでしょう。

以下は考慮すべきインクルーシブデザインの原則です。

1. 能力差による疎外を特定する

デザインに取り組む際、ユーザーが疎外されてしまう場面を積極的に探し出し、それを新しいアイデアを生み出したり、インクルーシブな解決案をつくり出す機会を見つけるために利用します。デザイナーが、なぜどのように人々が排除されているのか正確に理解できれば、よりインクルーシブなデザインのための具体的なステップを確立できます。

WCAG は、多様な能力を持つ人々に向けてデザインするためのガイドとして利用できます。たとえば、企業サイトに、目の不自由な人をサポートするページリーダー用の代替テキストが無かったとします。代替テキストの欠如は、視覚障害のあるユーザーを排除することになるかもしれません。このように、代替テキストを含めることや、その他の WCAG が推奨するガイドラインに従うことは重要です。

2. 状況に応じた障害を特定する

特定の状況が疎外の原因となることもあります。能力差が原因の排除とは異なり、状況的な排除は、ユーザーのさまざまな操作シナリオから発生します。

たとえば、ユーザーが動画を騒がしい場所で見ていると、音声が聞こえにくいことがあります。もし騒音があまりに大きければユーザー体験を妨げます。こうした場面に対応するための代替手段がデザインには含まれているべきです。この例であれば、動画にクローズドキャプションを追加するとよりインクルーシブになります。

3. 個人的な偏見を避ける

デザイナーの個人的な偏見が意図せずに反映されたデザインを回避するには、デザインプロセスを通じてさまざまなコミュニティに属する人々を巻き込みます。調査とテストの段階に、多様なユーザーグループを招待することは重要です。

たとえば、ある企業がユーザーテストを実施した結果、ろうあ者に特有の読解力や言語能力に対応する必要があることに気づいたとします。この洞察は、ユーザーテストにろうあ者ユーザーコミュニティを招待していなければ得られなかったでしょう。

遠隔ユーザビリティテストは、個人的な偏見の回避に有効な手段のひとつです。UserZoom や UserTesting のような企業には、テストを待機している多様なユーザーが登録されています。そうした企業のサービスを利用すれば、さまざまなユーザー層にアプローチしてテスト参加者を集めることが容易になります。

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車いすに座っている男がコンピューター越しに手を合わせている 出典: アドビ

4. さまざまな利用手段を提供する

さまざまな方法により体験に加われるようにすることは、インクルーシブデザインの重要な原則です。複数の選択肢が与えられていれば、ユーザーは状況に応じて最適な方法を選択することが可能です。

たとえば、聴覚に障がいのある人の体験を向上させるために、すべての音声コンテンツを文書化したトランスクリプションを提供できます。音声をリアルタイムで画面上に表示するクローズドキャプションとは別のオプションとして提供すれば、必要に応じて全体を素早く流し読みできるようになります。

5. すべてのユーザーに同等の体験を提供する

製品やサービスの体験に加わるさまざまな手段をデザインする場合は、どの手段を選んでも同等の体験が得られるように配慮しましょう。アクセシビリティ標準を満たしていても、使いやすい同等の体験を提供しているとは限りません。たとえば、異なる再生速度を聴覚障がいのあるユーザーに提供すれば、すべての人の体験を同等に近づけられきます。

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多様な人々が一体となって世界の大陸を形づくっている 出典: アドビ

おわりに

インクルーシブデザインは、個別の環境にいる多様なユーザーに配慮した体験をデザインするための素晴らしい方法です。UX デザイナーは常にユーザー体験の改善とインクルーシブデザインに注力するべきです。さまざまな能力を持つ多様なユーザーへの共感を持ってインクルーシブデザインを実践すれば、製品やサービスから得られる恩恵をより多くの人々に届けることができるでしょう。

この記事は What is Inclusive Design? Principles and Examples(著者:Justin Morales)の抄訳です

https://blog.adobe.com/jp/publish/2021/06/14/cc-web-what-is-white-space-in-design.html

https://blog.adobe.com/jp/publish/2021/06/07/cc-web-what-is-accessible-design.html

https://blog.adobe.com/jp/publish/2021/05/31/cc-web-effective-use-images-graphics-ux-design.html

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