立ち上がることの意味:ビジュアルにおける行動主義と表現

イメージ:Adobe Stock/Jacob Lund

By Adobe Stock Japan

Posted on 07-09-2021

世界中の人々の暮らしがCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)に見舞われ、もう1年半以上にわたり物事の動きが止まったり緩慢になったりしていますが、そんな中でも変わらぬ勢いを保っているものがあります。それは、より良い世の中の実現を目指し、世界中で多くの人々が続けるひたむきな努力です。人種差別撲滅から自然環境保護などその目的は多岐にわたり、エッセンシャルワーカーへの支援から非営利団体への募金活動まで、斬新でクリエイティブな方法で多くのキャンペーンが展開されています。インターネットの内であれ外であれ(安全対策を講じたうえで)、自分たちが信じる「大義」のために声を上げ、民衆の力を発揮しようとしているのです。

Adobe Stockチームは、若い世代の人たちや購買者層がそうした活動に深く関わるようになるという意味での「文化的シフト」がどのように起こり、ビジュアルやメディアどういった変化がみられるかを、しばらく前から追い続けてきました。例えば、2019年に見出した力強いビジュアルトレンドを、私たちは「ブランドスタンド(Brand Stand)」と名づけました。企業のブランドキャンペーンの中に、社会の一員としての意識を反映した表現が次第に強く表れるようになってきていたのです。以後、アドビのビジュアルトレンドにはその発展形が「思いを分かち合う(Compassionate Collective)」という名前で引き続き登場します。これは、情熱的な感情が複雑に溶け合うことによって強化された1つの文化的なメッセージのようなもので、グローバルな対話を促進して集団行動を民主化すべく、ソーシャルメディアを通じて拡散されています。

若い世代を中心とした購買者層の大半が政治的・社会的な活動への深く関わる動きは、一過性のブームをはるかに超えており、それはメディアでも浸透しつつあります。企業のブランドキャンペーンは、政治的・社会的な課題をメッセージの中心において、ターゲットオーディエンスとのエンゲージメントを高める手法をとることが多くなりました。同様の変化はAdobe Stockでも見られ、社会問題に対するメッセージ性の強いコンテンツへの需要が増大しています。

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イメージ:(左上から右回り)Adobe Stock/Hero Images、Adobe Stock/Jacob Lund、Adobe Stock/Hero Images、Adobe Stock/Hero Images

ネットやスクリーン上で躍動する若者たち

アメリカの群衆が行動して圧倒的な成功を勝ち取るとき、その先頭に立っているのは若者(特に非白人の若者)である場合が少なくありません。社会正義を追求するイニシアチブ「Freedom March NYC」も、24歳のChelsea Miller氏と26歳のNialah Edari氏が中心になって2020年5月に始まったもの。2人の活動はわずか数か月で、5万ドルの資金を集める本格的な組織に発展しました。

「取り組みは終わっていません」。Rolling Stone誌の2020年12月の記事で、Edari氏は、Ryan Bort氏とKimberly Aleah氏にそう語っています。「私たちは、黒人が警察に殺されている状況を受けて動き出しました。その状況がまだ変わっていないから、今も行動を続けているんです」

また、多くの若者は主な行動の場を「室内」に移し、ネット空間をフルに利用して、街に出るのと同様の大きなインパクトを世の中に与えています。

PBSの番組「Student Voices」の記事において、Rainier Harris氏は昨年、「若者たちはデジタル空間を自ら開拓し、そこで、夏の間じゅう自由自在に活動を展開しました」と述べています。「Black Lives Matterの抗議活動の波を受けて、若い活動家の多くがInstagramのようなプラットフォームを利用し、安全な抗議活動のコツや、抗議の現場で警察が起こした暴行事件の記録書類などを春のうちにシェアし始めていました」

行動する若者たちの声は広告の世界にも入り込んでいます。それは今や、ポジティブな変化に対する真摯な取り組みの姿勢を企業がアピールする手段の一つになりました。正当に評価されていないクリエイターに活躍の場を提供する取り組みを長く続けているアドビも、その姿勢を打ち出す施策の一つとして、2020年8月に「Diverse Voices」キャンペーン開始しました。

企業の優れた事例はほかにもあります。衣料品小売業のGapは、2020年の「Be the Future」キャンペーンで気候変動問題の青年活動家を大きく取り上げた広告を展開しました。その路線は、続編の「Generation Good」と、あらゆる年代の活動家(およびアーティスト)を取り上げる2021年のスポット広告に引き継がれています。「そもそもGapは、単に衣料品を売るということ以上のミッションを創業時から掲げています」と、同社の世界マーケティング責任者であるMary Alderete氏は、WWDの今年の記事においてDavid Moin氏に語っています。「『Generation Good』には、誰でも本当の自分らしく生きられるんだ、世の中を良くする力になって進歩を生み出せるんだ、という思いが込められています。世界を変えるためには結束が必要で、それこそが『Generation Good』の狙いです」

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イメージ:Adobe Stock/Trevor Adeline/Caia Image

全世界がネットで見ている

本当に使える完全なオンラインプラットフォームなど、ほんの2、3年前には現実的なものではありませんでした。ポストCOVID-19時代の到来が待ち望まれている今、そうしたプラットフォームは活況を呈しており、さらに多くのオーディエンスを獲得していくことが確実な状況です。アースデー2020には、気候変動対策を呼びかけるグループ「Fridays for Future」が「デジタルストライク」ライブストリームイベントを主催し、世界中の参加者23万人がそれに参加しました。「ストライカーマップ上のメンバーは8万7,000人、ライブストリームの視聴者は23万人超、ツイート数は4万件、デモ標識は1万5,000個。主張は明確に示されました」と、ストライクイベントwebサイトに掲載された声明は述べています。「私たちは存在感を高め、ただ、世の中の方向性をエコロジカル社会へのコースに乗せたいのです」

ネット上の社会運動として特に大きな成果を上げているもの、とりわけここ1年の間に大成功を収めているものといえば、金銭的な寄付を募る様々な活動を挙げることができます。これは、各種の団体にとって財政的に大きなメリットがあるだけでなく、データを集める意味でも重要なことです。その効果のほどは統計数字にも表れています。慈善活動分野の調査会社Blackbaud Instituteによる調べでは、「2020年、分析対象の非営利組織4,964団体へのオンライン寄付には前年比20.7%の増加が見られ」、「さらに長いスパンで3年の推移を見れば、同じ団体群へのオンライン寄付は32.4%も増加する」といいます。

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イメージ:Adobe Stock/Trevor Adeline/Caia Image

喜びと期待の瞬間

行動は、祝いや称賛の表現でもあります。結束を、進歩を、そして希望を称えることなのです。

「抗議行動の喜びは『細部に宿る』のです」と、活動家でフォトグラファーのOJ Slaughter氏は、2020年12月のBoston Globeの記事においてJeneé Osterheldt氏に語っています(Osterheldt氏はABC Networksの番組「Soul of a Nation」にも出演中です)。「足並みの音。最初は戸惑いながら抱き合う人々の仕草と、それが限りない感謝に変わっていく様子。手指消毒液の匂い。シュプレヒコールのリズム。細部をよく見れば、そこには喜びがあるのです。自分たちのコミュニティが動き、盛り上がる、その様子を見守る人々の喜びです。抗議行動の中でお互いを気遣う人々を目にするたびに、私は喜びを感じます。これこそ、私たちがそこにいる理由です」

確かに、祝いや称賛は非常に大切な要素です。例えば、Deutsche Telekom(英語)が2020年の夏にリリースした広告は、いわば「スクリーンに取り憑かれた子供たち」の力に宛てたラブレターを歌手のBillie Eilish氏が読み語ったものでした。

ネット上の運動に身を投じる若者たちを表現した夢のようなビジュアルとEilish氏自身の曲『When The Party’s Over』に乗せて、彼女は言います。「でも、知ってる? 私たちが本当に大切にしているものにとって、こうして生み出せる変化の意味は、ずっとずっと大きくなっているということを」

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イメージ:Adobe Stock/Victor Torres/ADDICTIVE STOCK

アーティストの皆さん、あなたにとって「行動」とは?

今、世界的な企業のブランドが、若い活動家たちのエネルギーや決意をキャンペーンの表現に積極的に取り入れています。目的が購買者層とのつながりであれ、単なる支持の表明であれ、そういう流れがあるのは確かです。ただし、その中で運動の本質を見誤った描写が行われてしまうリスクはあります。たとえ善意によるブランドキャンペーンでも、連帯を表明する意図があっても、結果的に、大切な運動を縮小してしまうおそれがあるのです。

この取り組みを適切に進めるのは驚くほど難しいことですが、Adobe Stockで作品を発表するアーティストやそれらを使いこなすブランドデザイナーの皆さんには、必要な変化を生み出す「力」があります。私たちがシェアするイメージは、あくまでも、現実の世界を正確に、かつ包括的に映し出したものでなくてはなりません。そして、変化を生み出そうとする活動家やリーダーに敬意を払うものでなくてはなりません。

Adobe Stock Advocatesプログラムは、社会の多様性や寛容性を表現するコンテンツへの需要の高まりを受け、それに応えるアーティストを応援するプログラムです。様々な切り口のクリエイティブブリーフを8つご用意していますので、ビジュアル制作の参考としてご覧ください。また、私たちは50万ドルのクリエイティブコミッションプログラム「Artist Development Fund(アーティスト開拓ファンド)」を発足させました。これは、正当に評価されてこなかったコミュニティの中にアイデンティティの根本やビジュアル描写の対象があるアーティストの皆さんへのサポートに特化した基金です。ご参加の申し込みをお待ちしています(応募は英語となります)。

詳しい情報は、アーティスト向け資料のCircles of Activismクリエイティブブリーフに記載されています。資料をご確認のうえ、あなたの信念に通じる主張や支援活動を展開しているコミュニティに関連した写真、イラスト、ベクター、ビデオなど、自信の作品をどうぞAdobe Stockで発表してください。皆様からの力強い作品をお待ちしております!

この記事は2021年6月13日にSarah Casillasにより作成&公開された Taking action: Activism and expression in our visual landscapeの抄訳です。

Topics: Adobe Stock, クリエイティブ, デザイン, ビデオ, フォト, ビジュアルトレンド,

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