Adobe MAX 2022:Adobe After Effectsの新機能(一部パブリックベータ)のご紹介

Adobe After Effectsの最新版が現代のモーションデザイナーのニーズに応える新機能の数々を搭載しリリースされました。「選択可能なトラックマット」により、コンポジションのサイズを小さくしたままマットの扱いが劇的に容易になります。また、H.264のネイティブエンコーディングにより、Adobe After Effectsから直接ファイルの書き出しが可能になりました。さらに、プロのデザイナーによって作成された50以上の新しいプリセットが収録され、頻繁におこなうクリエイティブ作業をスピードアップしてくれます。このリリースに含まれるすべての機能、および現在パブリックベータ版として提供されている機能は、Adobe After Effectsコミュニティからのフィードバックに基づくものです。

選択可能なトラックマット

マットレイヤーは、デザイン内の透明な領域を定義し、ユーザーがビジュアル要素を正確に組み合わせることを可能にします。モーションデザイナーはこれまでマットを適用したいレイヤーごとに個別のマットを作成する必要があったため、コンポジションの管理が困難でした。今回搭載した「選択可能なトラックマット」機能は、レイヤーの重ね順に関係なく、1つのマットを任意の複数のレイヤーに適用することが可能です。これにより、マットの編集や複数箇所の一括変更が容易になることで、扱うレイヤー数を削減した迅速なワークフローが実現します。

自身のYouTubeチャンネル「Motion by Nick」でAdobe After Effectsのヒントやテクニックを公開しているモーションデザイナーのニック グリーナウォルト(Nick Greenawalt)氏は、こう述べています。「新しい選択可能なトラックマットを最高に気に入っています。この機能のおかげでレイヤー数を大幅に削減でき、プロジェクトの進行がとてもシンプルになりました。これから使い始めるユーザーは、何百ものマットレイヤーを使っていた私の苦労を体験せずに済むわけです。選択可能なトラックマットはとんでもなく画期的な機能です」

アニメーションワークフローを高速化する50以上の新しいプリセット

すぐれたモーションデザインの制作には細かい作業が求められ、多くの場合、その繰り返しとなります。プリセットは、頻繁におこなわれるタスクの処理をパッケージ化したもので、作業時間の短縮に役立ちます。今回のリリースには、日々の作業をより簡単にするためにプロフェッショナルによって作成された、50以上の新しいアニメーションプリセットが含まれています。テキスト用の楽しくて柔軟なアニメーション、地図にドロップするピンの動きのようなアニメーション要素、2Dテキストボックスなど、いろいろな便利なデザイン要素を使うことができます。

新しいアニメーションプリセットとともに、Adobe After Effects 23.0は、新しいプロジェクトをより簡単に始められる新しいコンポジションプリセットを搭載しています。コンポジションプリセットには、一般的な納品フォーマットに対応したフレームレートとフレームサイズが設定されています。SNS、縦長動画、Ultra HD用のプリセットが新たに追加、更新されています。

ネイティブのH.264エンコード

今回搭載したハードウェアアクセラレーションを活用するネイティブ H.264 エンコードにより、ユーザーはAdobe After EffectsからH.264ファイルを直接書き出せるようになります。プロジェクトの規模やマシン上で利用可能なリソースを考慮しながら、モーションデザイナーはAdobe After Effectsから直接書き出すことも、Adobe Media Encoderに処理を任せながらAdobe After Effectsでコンポジションの制作を続けることもできます。

キーフレーム操作を効率化するナビゲーションコマンドの追加

アニメーションを完成させるには、いくつものキーフレームを確認し、思い通りの結果が得られるまで細かい調整を繰り返す必要があります。そのためモーションデザイナーはキーボードショートカットを使いこなしてキーフレームを効率的にナビゲートします。今回のアップデートではキーボードショートカットが追加され、特定のプロパティやキーフレームにフォーカスできるようになりました。もちろん、既存のコマンド体系を使ってアニメーションのすべての可視プロパティまたはレイヤーをナビゲートすることも可能です。

Adobe Premiere Proのテンプレートのパフォーマンスが200%高速化

Adobe Premiere Proは、Adobe After Effectsからのアニメーションタイトルおよびモーショングラフィックテンプレート(MOGRT)のマルチフレームレンダリングをサポートするようになりました。テンプレートの複雑さやユーザーのシステムの能力にもよりますが、これにより、プレビュー再生とレンダリングのパフォーマンスが200%以上向上します。

要望の多かった機能をパブリックベータ版として先行提供

パブリックベータ版としてリリース機能は以下の通りです。

3Dモデルの読み込み(ベータ版) は、2Dと3Dのアセットを組み合わせてコンポジションを作成するモーションデザイナー向けの機能です。この機能により、ユーザーはサードパーティのプラグインを使わなくても、プロジェクトに3Dモデル読み込むことができます。

コンテキスト適応型の プロパティパネル (ベータ版) は、現在選択されているアイテムを編集するために必要なコントロールのみを表示します。つまり、レイヤー階層を辿ったり、別のパネルを開いたりする時間を減らし、より多くの時間を創作に費やすことができます。

OpenColorIOおよびACESカラーマネジメント(ベータ版) により、ユーザーは、Academy Color Encoding System(ACES)ワークフローを含むOpenColorIOカラーマネジメントを使用して、パイプラインの最初から最後まで、最高レベルの画像品質で作業することができます。

最新バージョンのAdobe After Effectsは提供を開始しており、Adobe Creative Cloudデスクトップアプリから直接インストールできます。

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この記事は2022年10月18日(米国時間)に公開された MAX 2022: New After Effects features shipping and in public Beta の抄訳です。