次世代をリードする人財をどう育てる? | Design Leaders Collective

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Design Leaders Collectiveは2022年4月からスタートしたエンタープライズで働くデザイナー向けのマンスリーイベントです。スタートアップ、制作会社、代理店など組織体制や規模によって抱える課題は様々。本イベントでは、エンタープライズで働くデザイナーが直面する課題の情報共有とディスカッションを目的としています。

10月のイベントでは合同会社DMM.comでデザインプログラムマネージャーをされている河西紀明さんをお招きし、DMM WEBCAMP で取り組んだカリキュラムや学習設計について話していただきました。

もくじ

  • ひとりにさせないコミュニケーション設計
  • デザインに対する期待に応える

ひとりにさせないコミュニケーション設計

2022年11月現在、60以上の事業の運用をしている DMM。業界が大きく異なる場合もあれば、それぞれ開発体制や戦略も異なります。デザイナーのアサインも 1 プロダクトにコミットできる場合もあれば、そうはいかないケースも出てきます。1つの会社に勤務しつつ、様々な事業に携われる機会があるとはいえ、デザイナーが孤立して知識やスキルが偏る恐れもあります。アプリデザインの担当が一人しかいない環境だとスキルアップが難しいこともありますし、デザインを推進する力も弱くなります。また、偏った作り方をしていることで引き継ぎが難しくなることもあれば、別のプロジェクトに入ったときにすぐ活躍できなくなる場合もあります。

DMM のような多数の事業を運用していなかったとしても、デザイナーの育成や品質担保は難しい課題です。「即戦力のある方が欲しい」という言葉を耳にしますが、制作スキルが高ければ良いわけではありません。組織体制やプロダクトの成熟度との相性が悪いと、スキルが高くても即戦力として活躍できないこともあります。

こうした課題の解決の第一歩として、デザインの透明化が重要と河西さんは仰っていました。

透明化とはプロダクトを横断したデザインレビュー、ワークショップ、1 on 1 といったコミュニケーションだけでなく、デザインプロセスをすべて開示することで社内デザイナーの仕事を見ながら学べることも指します。担当プロダクトではひとりのデザイナーとして孤立していたとしても、すぐそこに開けた対話の窓口が幾つか用意されている環境作りに力をいれているそうです。

デザインといっても様々な仕事の仕方があります。バナーを作るのもデザインですし、事業戦略を考えるのもデザインです。楽しいと思えることは人によって違いますし、体験してみないと分からないこともあります。DMM ではデザインプロセスの様々なステージに関われるような機会があるみたいですし、関わり方が違う人が 1 on 1 などでコミュニケーションをとることができるよう仕組みを作っているそうです。

ひとりのデザイナーとしてどう成長したいか考えるとき「Can(できること)」「Must(すべきこと)」「Will(やりたいこと)」と分類して整理すると、計画が立てやすくなると河西さんは仰っていました。

新卒をはじめ経験が浅いとなかなか言葉で表せないことがありますが、先輩デザイナーとペアを組んで考えを整理するそうです。「Will」は先人の経験が参考になるでしょうし、「Can」も「すべきだと思うこと」「組織側がすべきだと捉えていること」と2つの観点で捉えることができます。2人で振り返ることで新しい視点を盛り込んだ計画を立てることができます。

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「Can」「Must」「Will」が揃うと成長の速度も上がります。

きめ細かさだけでなく、デザイナーの組み合わせや進め方も考えなければいけないので難易度が高いコミュニケーション設計ですが、こうしたケアがデザイナーの成長には欠かせません。

デザインに対する期待に応える

「デザイン」という言葉を聞いて何をイメージしますか?
「デザイナー」といえば、どんな仕事をするプロフェッショナルだと思いますか?

定義や意味はデザイン業界内でも語られることはありますが、捉え方は様々です。デザイナー同士でもハッキリした定義付けができないわけですから、それ以外だと余計難しいはずです。「ユーザーのためのデザイン」「課題解決のデザイン」と抽象度の高い表現になってしまい、何ができるのかハッキリ分からないこともあります。

様々な表現方法はありますが、多くの方は「何か具体的なものを整理したかたちで作ってくれる」ことを期待しているはずです。その期待に応えるための制作スキルを身に付けるのもひとつの道ですが、作る役割に留まると「依頼されたものを作る」という受け身の仕事になってしまい、なかなか課題解決も踏み込んだ活動が難しくなります。

体制によってひとりで孤立してしまうこともあれば、プロジェクトに入るタイミングが遅くて依頼通りに作るしかない場合もあるかもしれません。そのような状況になったとしても、目指すデザインの役割は何か語るだけでなく、日々の仕事の一部として取り込めるような活動が不可欠です。DMMでは課題解決のためのデザインができるように、2つの観点でワークショップの実施や、実際のプロジェクトで活用しています。

  1. 方法論としてのフレームワーク
    カスタマージャーニーマップなど展開しやすい『型』を作り、一緒に利用する機会を作る
  2. アウトプットを介した対話
    戦略からインタラクションまでデザインプロセスの全行程を『プロトタイピング』する

社内勉強会を実施するなど、小さな活動を積み重ねることでデザイナーのスキルを少しずつ高めることができますが、DMMの場合はカリキュラムやサポート体制など仕組み化されているところに強さを感じました。積極的に勉強してもらうことを期待するだけでは個人差が出てくるので、チームとして成長するのは困難です。近年ますますチームスポーツのようになってきたからこそ、チームを支える仕組み作りへの投資が欠かせなくなってきています。

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ユーザー体験設計の基礎知識を身に着け、体現化するためのスキルを身につけることができるカリキュラム。膨大な情報が詰まった教材があるのも魅力です。

様々な育成活動をしているDMMですが、その一部が体系化されたプログラムとして受けることができます。アドビ社もサポートしているDMM WEBCAMPはUXデザイン、UIデザインの基礎を実践しながら学ぶことができます。マンツーマンのメンタリングやチャットサポートもあるので、ひとりで悩むことなくスキルを身につけることができます。DMM流の育成方法が気になる方は受講してみてはいかがでしょうか。