第二回Adobe Analyticsユーザー会2022セッションレポート①: 社内教育プログラムとナレッジシェア(ディップ株式会社様)

先日コロナ禍で活動休止していたAdobe Analyticsのユーザー会が2022年7月8日、3年ぶりに復活しました。10月26日には第二回ユーザー会を開催し、Analytics人材の育成をテーマに、ユーザー様による登壇セッション、パネルディスカッションなどを交え、ご参加いただいたユーザー様と議論しました。

今回のセッションでは「Analyticsユーザー育成のための最適なメソッドとは?ガバナンスの効いた社内教育プログラムとナレッジシェアについてご紹介〜」と題して、ディップ株式会社様、株式会社リクルート様にご登壇いただきました。本記事では、当日のセッションレポートの第一弾として、ディップ株式会社様(以下、ディップ社)における「社内教育プログラムとナレッジシェア」についてお届けいたします。

スピーカー:

ディップ株式会社 商品開発本部メディアプロデュース統括部メディア編集部 次長
藤村 海仁 様

ディップとは?

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ディップ社は、「Labor force solution company」というビジョンの元、人材サービスとDXサービスを提供し顧客企業の成長を支援しています。

ダイアグラム 自動的に生成された説明

Adobe Analyticsを活用している部門は現在2部門で、はたらこねっと課とバイトル課に分かれており、求職者からの応募最大化をミッションとして、現在全体で38名が製品を利用しております。藤村様は2015年12月Adobe Analytics導入タイミング頃に入社され、バイトル、はたらこねっとなどの人材サービスサイトの担当を歴任され、サイト改善、広告主向け商品開発、CRM開発の方とスクラム体制構築やSEO、WEB解析など、様々な業務を横断的に取り組んでいます。

年間200施策、2年間の応募数CVR170%、Adobeアダプションスコアは世界TOP1%

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ディップ社ではAdobe AnalyticsとAdobe Targetをご契約しており、この2つを活用して課題発見から活用、施策実行、効果検証までを実施しています。

昨年度の実績で、施策は週4でリリースし、金曜日以外は何かしら施策を行うという驚異的なペースで改善を続け、コンバージョンレートはこの2年間で1.7倍となっております。またアドビカスタマーサクセスチームが提供しているアダプションスコアという活用度スコアに関しては世界トップ1%以内に入る活用体制を構築しています。

アドビ製品活用の銀の弾丸はありません

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データドリブンx高速PDCAを回しながら様々な施策を実施した結果たどり着いた結論として、アドビ製品を活用して成果を出すための銀の弾丸はありませんでした。泥臭いトライ & エラーを繰り返したことによる取り組みによる知見から、成功したこと、やってはいけないことなどが見えてきた形になります。

Analytics人材採用と育成の遍歴

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こちらの図はAdobe Analytics導入後の人材採用と育成の歴史です。2016年の1名体制だった導入期から、どのように現在の体制を構築していったかについてご説明いたします。

2016年:導入1名)
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2016年のAdobe Analytics導入時期の製品担当者は1名(ユーザー会でパネルディスカッションに登壇いただいた山下様)だけでした。
このフェーズでは、Adobe Analytics人材を増やすために、積極的に代理店からの研修や勉強会などのイベントを受講し、他社事例からも社内ナレッジを貯め、ハブ人材を育てると立ち上がりが早いと聞き、それを実践していました。

2017年:ハブ人材育成(7名)

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ハブ人材は翌2017年には7名まで育成することが出来ました。行った取り組みとして、社外研修に40名が参加し、そのうち6名が単独稼働出来るようになりました。さらに分析だけだと費用対効果が合わないので、この頃から並走してAdobe Targetを使って成果が出せるようになりました。

一方40名中6名しかAdobe Analyticsを習得できなかった要因として、ITスキルの高い人材の不足と、業務で使わずに定着しなかったことが反省点としてあげられます。

2018年:ハブ人材流出(3名)

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2017年にハブ人材を7名まで育成することが出来たものの、2018年にはハブ人材の退職により育った人材が流出してしまい、せっかく出た成果が落ち始めていました。この結果から、ハブ人員を特定のスキル高層に頼り切ってしまうと、引き抜きなどによって人材が流出してしまうリスクがあるため、組織全体を持ち上げるためにも、全体育成へ路線変更することになりました。

2019前半育成強化(3名)

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そこで2019年前半に行った取り組みは、新卒でもできるカリキュラムの実行です。

この結果、単独稼働は残った3名、Adobe Analyticsを触ったことのあるユーザーは20名になり、ユーザーが増えました。行った取り組みとしては外部研修資料を再編し、新卒でも出来る内容にして初心者ユーザーを増やしていく取り組みでした。

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こちらが実際の新卒向けのカリキュラム例になります。Adobe Analyticsで出来ることや初歩的なトラッキングの仕組み、経路分析を初心者編として、応用編としては自社で運用するにあたっての課題抽出や施策立案をAdobe AnalyticsやAdobe Targetを使って行うようにしました。また検算だったり、マーチャンダイジングeVar、DWHの活用なども盛り込みました。

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実際の講座内容は7講座約500ページにも及ぶ膨大なものを作成しました。

新卒向けとなりますので、計算指標の出し方や、実作業としてのパラメータ調査、セグメント作成方法など、細かい粒度で作成し、属人化した資料ではなく、アドビ製品を使った体系的な業務内容について理解出来るようにしました。

2019後半生みの苦しみ(3名)

ユーザーが20名に増えた一方で、ハブユーザーは引き続き3名の状態が続いており、2019年後半は生みの苦しみと言われる時期となりました。

初心者ユーザーが製品を使うと、そのデータや使い方に誤りがあったり、教える側も負荷がかかって疲弊してしまい、誰も使いたがらない空気が出始めていました。

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しかし一方で、スキル高層に頼って実施した過去の施策では成果が出ていた施策もあったので、活用は促進したいが、なかなかその停滞した空気感を打破することが課題になっておりました。

この状況について社内では「ピンチはチャンス」と捉え、施策立案に定量観点での仮説出しを必須とする取り組みを実施しました。仮説出しをしなかった施関所のように通さない仕組みを作り、強制的に全員がAdobe Analyticsを使わなくてはいけない状況に追い込まれることで、教える側も教わる側もフローにある以上はやらなくてはいけない仕組みを作りました。

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この苦しいOJT期間を通して、単独稼働3名に対し、初心者以上のサポートがあれば単独稼働可能な予備軍を10名まで増やすことが出来、その結果回せる施策も増やすことが出来ました。

単独稼働メンバーがワークスペースの確認などのサポートを行い、単独稼働メンバーを増やし、Adobe Analytics習得のゴールが見え始めました。

2020安定稼働(10名)

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2020年には安定稼働の時期に入り、単独稼働出来るメンバーは10名に増えました。継続した育成実行により、施策も週に1~2施策実施出来る状態を作ることが出来ました。ここをディップ社内では一つの到達点と捉えています。

単独稼働者が増えると、出来ない社員、途中で入った社員の学習意欲が上がりやすく、マジョリティが移行することでやらなきゃという空気感が生まれます。またQA相手も増えることで、単独稼働3名の頃に比べ、習得スピードがアップしやすくなる状況を作ることが出来ました。

2022深化(20名)

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直近では深化のフェーズと捉え、全体のユーザーのうち、半数が単独稼働出来るようになりました。

さらにレベルを上げていくために「AA道場」という社内向けの勉強会を週に1回実施しており、DWHで出力したデータを他のプログラミングに活用したり、設定されていないものを擬似的にマーチャンダイジング化するなどの応用的な取り組みについて学んでいます。

ここまでの取り組みを経て、200施策1.7倍の実績を作ることが出来ました。

失敗と成功のポイント

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最後に失敗と成功のポイントをお伝えします。

失敗するポイントとしては、スキル高人材に依存してしまうこと、ユーザーに使わない理由を与えて逃げ道を与えてしまうこと、単独遂行出来る状態を作りたいのに、研修で終わることをゴールとしてしまうことです。

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一方で成功のポイントは次の4つです。

新卒でもわかるドキュメントと研修をつくること、業務上使える理由をお伝えすること、研修をして使えるようになるまでを耐えるフロー作りです。

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そして最後の4つ目は1~3の長期戦で見守る体制をつくることです。

Adobe AnalyticsやAdobe Targetを導入してすぐに成果を出すのは非常に難しいです。PDCAを年間200施策実行するレベル感で、かつ今の知見があった状態で新しい環境を構築していく場合、最短でも1年~2年くらいかかると思われるので、この2年を見守れる評価体制を予め構築しておくことが成功ポイントになると思います。

次回のレポートでは、株式会社リクルート様による登壇セッション、「リクルートが実践するAdobe Analytics人材育成プログラムとナレッジマネジメント」についてお届けいたします。

≪Adobe Analyticsユーザーグループについて≫

Adobe Analyticsユーザーグループは、日本国内のAdobe Analytics、Adobe Target及びData Insightsに関連する製品のユーザーコミュニティです。 ユーザー同士のベストプラクティスの共有、問題解決、ネットワークの構築を行うことで、製品の知識や活用を高めましょう。各回では業界のリーダーであるユーザーの方々にお越しいただき、様々なトピックを取り上げ、専門知識を共有いただきます。

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