クリエイティブを豊かに彩るEPSONのプリント&カラーソリューション|Adobe MAX Japan 2023レポート

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2023年11月16日、アドビが主催するクリエイティブの祭典「Adobe MAX Japan 2023」が東京ビッグサイトで開催されました。2020〜2022年はオンライン開催だったため、リアル会場での開催は2019年のパシフィコ横浜以来、実に4年ぶりとなります。
会場では朝10時にスタートしたキーノートを皮切りに、写真、映像、デザイン、UI/UXに関連した数多くのセッションが行なわれたほか、最新のアドビ製品を体験できるブースやCommunity Expertによる相談コーナー「Ask the Experts」も設置され、新鮮なインピレーションを得ると同時に、すぐに役立つテクニックを学ぶこともできる機会となりました。

この記事では「Adobe MAX Japan 2023」に出展いただいたエプソン販売株式会社のブースで紹介された製品と技術について、以下の3点を順に紹介します。

Adobe MAX Japan 2023|EPSONブース

終始大盛況だったエプソン販売ブース

1. オリジナルグッズ作成に最適|ガーメント&昇華転写プリンター

自分のデザインをTシャツやタオル、スマホケースにしてみたい。
クリエイティブに関わる人であれば、誰しも一度はオリジナルグッズ制作に挑戦したいと思ったことがあるのではないでしょうか。
今回、Adobe MAX Japan 2023で展示されていた昇華転写プリンター「EPSON SC-F550」「EPSON SC-F150」、ガーメントプリンター「EPSON SC-F2250」は、まさにそうしたオーダーに高品質、高精細な出力で応えるプリンターです。
昇華転写プリンターとは、絵柄をシートにプリントした後、プレス機を使って転写するもので、Tシャツやタオル、テキスタイルのような平面はもちろん、マグカップやスマホケースのような立体物にも対応することができます。
ガーメントプリンターは生地に対して直接インクを吹き付け、熱で圧着することで色を定着させるものです。展示機「EPSON SC-F2250」はコットンだけでなく、ポリエステルにも対応し、色地に対しても鮮明に印刷できるよう、ホワイトを追加したモデルも用意されています。

Adobe MAX Japan 2023|EPSONブース

昇華転写プリンター「SC-F550」(写真) https://www.epson.jp/products/largeprinter/scf550/
昇華転写プリンター「SC-F150」 https://www.epson.jp/products/largeprinter/scf150/
ガーメントプリンター「SC-F2250」 https://www.epson.jp/products/largeprinter/scf2250/

Adobe MAX Japan 2023|EPSONブース

ブースには展示機で制作されたオリジナルグッズも多数展示

2. 高精細かつ高品質な出力で幅広い分野に対応|大判インクジェットプリンター

エプソン販売のブースの中で、静かな存在感を放っていたのが大判インクジェットプリンター「EPSON SC-P8550D」です。
色数は最大12色、サイズは最大64inchまで、数多くのバリエーションを誇る大判インクジェットプリンター「EPSON SureColor」シリーズのうち、同機は顔料6色、B0 Plusに対応したダブルロールモデル。
2種のブラック(フォトブラック・マットブラック)を含むCMYKに加え、グレーを搭載することでなめらかな写真表現を可能にしています。同じ顔料6色機にはグレーの代わりにレッドインクを搭載したCADやPOP・ポスターに最適な「SC-T7750D」もあり、目的・用途に応じてインク構成が選べるようになっています。

Adobe MAX Japan 2023|EPSONブース

6色顔料・B0 Plus・インクジェットプリンター「SC-P8550D」 https://www.epson.jp/products/largeprinter/scp8550d/

Adobe MAX Japan 2023|ラッセル・ブラウン氏作品

Adobe MAX Japan 2023で展示されたラッセル・ブラウン氏の作品は「SC-P8550D」でプリントされている

SC-P8550Dで特徴的なのは、その品質だけではありません。
これまでの大判インクジェットプリンターのイメージを覆す、スマートな筐体のデザインも注目したいポイントです。SC-P8500シリーズとSC-T7700シリーズは、レッド・ドット賞、iF Design Award 2023でアワードを獲得。そのデザイン性は高く評価されています。

「プリンターに限らず、筐体のデザインは、近年、力を入れている点です。
このシリーズは、奥行き50cm以下のコンパクトな箱型デザインで、すべてのオペレーションを前から行なえるようにしたことで、背中合わせに設置することもできるようになりました。
天面はフラットにしつつ、ある程度の荷重にも耐えられるように設計しているので、このうえで作業いただくこともできるようになっています」(藤本剛士さん)

Adobe MAX Japan 2023|EPSON藤本氏

エプソン販売株式会社 プロフェッショナル・ソリューション営業本部 商業機器MD部
部長 藤本 剛士 さん

SC-P8550D・SC-T7750Dは、大判インクジェットプリンターとしては初となる、アドビの組み込み型プリントエンジン「Adobe Embedded Print Engine」(AEPE)を採用したモデルでもあります。
AEPEはPDF・PostScriptファイルをネイティブのまま処理することができるアドビの次世代RIPで、プリンター本体に内蔵されるかたちで機能をします。

「私たちのプリンターは、サイン、グラフィック、CAD、GIS(地理情報)等、さまざまな用途でお使いいただいており、出力データはAdobe IllustratorのデータやPDF等、数多くの形式に対応する必要があります。
AEPEを採用したのは、どのようなデータでも画面の表示をそのままプリントできる、高い再現性を備えているからです」(藤本さん)

AEPE

Adobe Embedded Print Engine https://www.adobe.com/jp/products/EmbeddedPrintEngine.html

3. 色のコミュニケーションを加速する|SD-10+Illustrator

ブース内で多くの来場者の興味を引いていたのが「SD-10」です。
SD-10は2021年に発売された測色器で、

という、これまでにないユニークな機能を備えています。

「SD-10はもともとサイン業界からの要望がきっかけで生まれた製品です。
サインの出力では、企業のコーポレートカラーを正確に合わせなくてはならないケースや、現物と同じ色で出力を求められるケースが多々あります。その課題を解決するためには、色を正確に測り、プリンター側にフィードバックをすれば正確な色合わせが可能になる。そのために新たに開発されたのがSD-10でした」(藤本さん)

測色器を中心としたカラーマネージメントはこれまで、海外製の測色器を中心に組み立てられることが多いなか、純国産の技術をもとに色合わせのソリューションを開発したことは画期的とも言える取り組みと言えるでしょう。その中核をなすSD-10には、スキャナー、プリンター、半導体の各分野で技術を磨き上げてきた、同社の技術が十二分に発揮されています。

Adobe MAX Japan 2023|EPSONブース

アプリ「EPSON Spectrometer」(左)と分光測色器「SD-10」(中央) https://www.epson.jp/products/largeprinter/sd10/

「SD-10はいま、印刷・プリント業界だけでなく、ファッション業界や建築業界の方にもお使いいただいています。
クリエイティブの世界において色のコミュニケーションは非常に重要ですが、これまでは“もう少し赤く”というような曖昧な指示をせざるを得ず、正確な色を伝えるには、現物やカラーチップを渡して“これと同じ色に”と言うしかありませんでした。SD-10を使って色を客観的な数値にすれば、より正確な色のコミュニケーションが取れるようになります。
SD-10と連携して使うEPSON Spectrometerには、Pantoneのライブラリも潤沢に入っているので、パッケージデザインやプロダクトデザインにもお使いいただけると考えています」(藤本さん)

当初はサイン業界をターゲットに、プリンターとの色合わせのために開発されたSD-10ですが、その用途は広がりを見せており、コスメティック業界での採用事例もあると言います。
目を通して見える色や撮影した写真の色はさまざまな要因で容易に変わり得ますが、SD-10なら確実に色を記録することができます。
携帯しやすいコンパクトな設計、分光色による高い計測制度を備えるSD-10は、色の記録、伝達が必要なあらゆる業界で活躍できるポテンシャルを持っていると言えるでしょう。

Adobe MAX Japan 2023|SD-10

EPSON SpectrometerにはPantoneのライブラリが組み込まれており、測定した色と近い色を探せるほか、指定の色との色差(ΔE)を算出することもできる

発売当初は、同社のRIP「Epson Edge Print/Epson Edge Print PRO」としか連携できなかったカラーパレットは、クラウドサービス・Epson Cloud Solution PORTを経由することで、Illustratorとの連携も可能に。現物から採取した色を、直接、Illustrator上で扱えるようになっています。
サイン、ポスター等、Illustratorを使う機会が多いデザインの現場では、こうした連携はうれしいポイントではないでしょうか。

Adobe MAX Japan 2023|SD-10

EPSON Spectrometerのカラーパレット(左)は、Epson Cloud Solution PORTを通じて、Illustrator上のパネルと同期が可能(右)

Illustratorのパネル上でカラーパレットの色を開いた状態(左)。計測値が呼び出せるほか、測定物、測定場所などの情報も同期できる。「適用」を押すとIllustratorのスウォッチパネルに色が登録される(右)

Adobe MAX Japan 2023|Epson Cloud Solution PORT

プリント状況の把握、色合わせ、印刷ジョブ管理、遠隔監視等を一元管理できるクラウドソリューション「Epson Cloud Solution PORT」 https://www.epson.jp/products/port/

背景パターン 中程度の精度で自動的に生成された説明
Adobe MAX Japan 2023|EPSON藤本氏

“人と地球を豊かに彩る”

サインやポスター、パッケージ等、Illustratorを使って生み出されるグラフィックデザインは、“データをつくって終わり”ではありません。
それを正確に、きれいに印刷できるプリンターと技術があってこそ、はじめて成果物として完成します。
EPSON SureColor+AEPE、そしてSD-10を含むEpson Cloud Solution PORT+Illustratorの組み合わせはいま、よりよいクリエイティブのために欠かせない組み合わせと言えるでしょう。

「私たちエプソングループは、もともと時計の分野からスタートしているメーカーです。だからこそ品質、精度へのこだわりはひときわ強いですし、そこがお客さまにも支持をいただいているポイントだと捉えています。
プリント分野に関しても、高画質、高精細を実感いただけるように開発を続けるととも、クリエイターの方が望むプリントの活用シーンにも柔軟に対応したい。同時に機器の設計を通して、省スペース、省エネルギーにも取り組むことで、パーパスとして掲げている“『省・小・精』から生み出す価値で、人と地球を豊かに彩る”を実現していきたいと考えています」(藤本さん)