博報堂DYグループ、全社的な生成 AI 実践スキル向上を目指し「生成 AI クリエイターワークショップ」をアドビと共催

博報堂DYグループは、AI 活用による「人間の創造性の進化・拡張」を目標に掲げて全社的な生成 AI 利用の推進に積極的に取り組んでいます。その一環としてアドビと共催されたのが、生成 AI の最新スキルを実践的に学び、業務に活かすための「生成 AI クリエイターワークショップ」です。

生成 AI を実務に導入する際は、生成 AI を前提としたワークフローを適切に理解しているクリエイターの存在が欠かせません。しかし生成 AI のように先進的な技術は、一部のチームに知見が偏りがちです。全社的に生成 AI スキルを底上げするには、現場から得られた最新のノウハウを蓄積・共有し、創造性を高めるツールとして実践的に体験できる場を幅広く提供することが重要だと同社は認識しています。

そこで企画・実施されたのが今回のワークショップです。博報堂DYグループ内のクリエイティブ部門を中心にのべ 1,000 人超が参加して、最新の生成 AI 関連の知識と知見を学び、Adobe Firefly を利用する映像コンテ制作ワークフローにチャレンジしました。参加者の評価は非常に高く、事後アンケートでは、参加者全員が満足、80% が実務ですぐに利用したい、92% が次回も参加したいと回答しました。

参加者がワークショップから得た学び

ワークショップは大きく 2 つのパートで構成されました。 1 つは講義形式のパートで、生成 AI の最新情報および実務から得られた生成 AI のノウハウを、知識・経験の豊富な社内外の講師陣から学びます。基礎編から上級編へと設計された画像生成と動画生成を扱う数時間の 3 セッションが 3 日に分けて開催され、参加者たちは頻繁にアップデートされる生成 AI ツールの最新情報とグループ内の先端的な取り組みを詳細に学習しました。

幅広い最新情報と Adobe Photoshop や Adobe Illustrator の実用的な活用例などが多数紹介されて、「生成 AI 機能をぎゅっとまとめて教えてくださり、すぐに実務で試したいと思いました!」とオンライン参加・オフライン参加を問わず、参加者には実りある時間になりました。

ワークショップのもう 1 つのパートは、数名のグループ単位で参加する体験型研修です。11 チームが「仮想のマーケティング課題解決を目的に 30 秒 CM の映像コンテを制作」という本格的な課題に取り組み、Firefly の画像生成&動画生成機能を駆使してコンセプトから映像コンテ作成までのプロセスにどのように生成 AI を取り入れられるかを模索しました。作業に与えられた期間は約 2 週間です。

その成果として、各チームから生成 AI を使いこなした質の高いアウトプットが 20 作品弱集まりました。各作品の制作時間は短いものの、映像コンテとしては十分なクオリティを実現できました。

クリエイターが他のチームのプレゼンを直接見る機会は稀です。「今回は、同じ課題への取り組みを『共有体験』できたことがが大きな学びになりました」と様々な立場の社員が一緒に参加するフォーマットは参加者に高評価でした。「実務にどのように AI を取り入れるか、11 チームそれぞれが模索したことを発表してもらうことで非常に多くの学びを得ることができました!」

本格的な課題に取り組んで生成 AI を現業で使う具体的なイメージが広がったという声もあります。「コンテ作りにも生成 AI を活用できると感じた。とにかく手を動かしてみることが大事」や「頭の中のイメージを具現化できた」のように、仕事で生成 AI をこれまで以上に活用できるヒントを得た参加者は多かったようです。

企画コンテから映像コンテ生成までのプロセスの紹介

生成 AI と課題解決のために向き合った時間は、クリエイターの役割を再確認する機会にもなりました。ある参加者は生成 AI の効果を認めながらも、「やはり AI は道具のひとつであり、鍛えるべきは着眼点や発想力である」と改めて認識したそうです。

また、「生成 AI がすべてをすぐ可視化してくれる時代でも、どう実現すべきか難しい企画を思考する能力や発想力は引き続き、維持し磨いていかなければならない」という提言もありました。

制作時間の観点からは、「効率化がどんなに進んだとしても、空いた時間にさらなる ブラッシュアップ・進化にこだわるだろう。どこまで生成できるようになっても、結局かける時間は変わらないのではないか」という指摘がありました。一方、「クリエイティブそのものをどう深化・進化させるのかに生成 AI を活用していきたい」と効率化とは別の観点から生成 AI の価値を捉えたいとする反応もありました。

一部のチームは Adobe Express を資料作成や動画編集に使用しました。Adobe Express は、誰でも簡単にコンテンツを制作できるデザインツールです。ブラウザさえ開けば使える手軽さと、デザインに必要な全ての基本機能を一か所で使える便利さが、チーム作業に大きく役立ちます。

映像コンテの編集に Adobe Express を使ったチームもあります。Adobe Express は、メンバー間でドキュメントを共有して、複数人同時編集により映像制作を進められます。

Adobe Express を使ってチームで映像編集が行われた

継続的な共催に向けて

今回のワークショップ開催は、博報堂DYグループのクリエイターが、生成 AI ツールを実践的にかつ自身の創造性を高めるパートナーしての活用方法を習得する貴重な機会になりました。同社のワークショップ運営チームは、「実際に生成 AI ツールを活用し、実業務のようにプラニングから映像コンテ制作まで行ったことで、生成 AI がどのように自分たちの能力や創造性の拡張しうるか、クリエイター自身に実感してもらえたことが今回の大きな成果。今後も実践の場で、生成 AI 活用に取り組んでいきたい」と全社的な生成 AI スキル引き上げへの手ごたえを感じています。

事後アンケートでの評価が非常に高く、同様のクリエイター向けワークショップが再び実施される場合の参加希望が 92% だったことを踏まえ、両者のワークショップ共催に継続して取り組む意向です。半年かけて準備されたワークショップは、両社の共同施策の新たな成功事例となりました。