アドビ調査:AI経由のトラフィックが全業界で急増、最大の伸びは小売業界
2025年のホリデーシーズンは、消費者支出の記録を塗り替えただけでなく、消費者のブランド探索と選択のあり方を変えたひとつの転換点となりました。オンライン支出は過去最高の 2,578億ドル に達し、40億ドル以上を売り上げた日が25日ありました(2024年は18日)。
また、後払いサービス(Buy Now Pay Later)の利用額も200億ドルの大台に達し、生成AIツールから小売サイトへのトラフィック(AIが提示したリンクをクリックすることで発生)は前年比で 693.4% 増加しました。これらの数字はいずれも、2025年ホリデーシーズンを振り返るAdobe Analyticsの最新データ(英語)によるものです。
2026年のホリデーシーズンがこうした新記録の多くをさらに塗り替えるかどうか現時点では不明ですが、アドビが2025年ホリデーショッピングシーズン(11月~12月)に観察した主要トレンド(英語)の1つである、小売サイトへのAI経由のトラフィックの増加は今後も続くと見られます。
小売からテクノロジーまで業界横断的に急増したAI経由のトラフィック
アドビの最新レポート(英語)によれば、2025年ホリデーシーズンでは業界を問わずAI経由のトラフィックが急増し、なかでも小売業界では 前年比693%増 と最も大きな伸びを示しました。
これに続き、旅行業界のトラフィックは539%、金融サービス業界は266%、テクノロジー・ソフトウェア業界は120%、メディア・エンターテインメント業界は 92% 増加しました。AIトラフィックの前年比成長率が最も高かった小売業界では、11月には小売サイトへのAI経由のトラフィックが 769% 急増し、続く12月も 673% の大幅な増加を記録しました。
アドビが発表したインサイトは、他のどのテクノロジー企業や調査機関よりも大規模な、米国小売サイトへの1兆回を超える訪問をカバーするオンライン直接取引データに基づいています。さらに、1,000人以上の米国回答者を対象に調査を実施し、ホリデーシーズンにおける消費者のオンラインショッピング体験(商品の発見・調査から購入決定まで)においてAIがどのように活用されているかといった追加的な背景情報が得られています。
ブラウジングだけでなくコンバージョンにも直結するAI経由のトラフィック
2025年ホリデーシーズンで明らかになった、より深いエンゲージメントは、コンバージョン率の増加にも直結しています。これまで他のトラフィック起点に後れを取っていたAI経由のトラフィックは、他の経路より 31%高いコンバージョン率 を記録し、今回前年比2倍近く成長しました。これに加え、生成AI経由の訪問あたりの収益(RPV)も、今シーズンにおいて年初来254%の増加を示しています。主要ショッピングイベントではその差がより顕著で、感謝祭ではAIコンバージョンが非AI比54%増、ブラックフライデーでは 38%増 となりました。
アドビはさらに、生成AIを搭載したチャットサービスやブラウザーから購入者がサイトに流入した 後 の動向に関する新たなデータも公開しています。そこでは小売業者にとって特に興味深い結果が明らかになりました。生成AIアシスタント経由で小売サイトに訪れた顧客は、即座に離脱する確率が33%低くなっています(2025年初頭から14%の改善)。AI経由の流入は、コンテンツの関連性とユーザー意図がより強固であることを反映し、直帰率において一貫して優れた結果を示しています。
これは、生成AIアシスタント経由の顧客が単にサイトに到達して離脱するだけではないことを意味します。購入意欲の高さと探している商品との適合性の高さを反映するように、サイト滞在時間が45%増加し、1訪問あたりの ページ閲覧数が13%増加 しています。
消費者の購買意図により関連・適合する回答が生成AIから得られるようになったことで、オンラインショッピングにAIアシスタントを利用する消費者の81%が、ショッピング体験が向上したと報告しています。サイト流入とコンバージョンの差が縮まることで、AI経由の訪問1件あたりの収益は上昇を続けています。2025年1月から7月にかけて、AI経由のトラフィックごとの収益は、非AI経由と比較して84%増加しました。
消費者がAIのレコメンデーションを信頼し始めた理由
すべての業界にとって重要なのは、アドビのデータが示すように、消費者が生成AIの回答を真に信頼しているということです。2025年ホリデーシーズンの消費者調査によれば、消費者のほぼ半数(47%)がAIへの信頼を表明しています。アドビの調査では、AI生成リンクに対する消費者の満足度は高い水準にあります。AIを利用する買い物客の 64% が提示されるリンクに満足しており、55%以上が積極的にクリックしていると回答しています。
信頼が高まるにつれ、購入への確信も増しています。オンラインショッピングでAIを利用する消費者の過半数(65%)が、AIのサポートによって購入に対する自信が高まったと報告しており、68%が、AIを使って購入した後に商品を返品する可能性が低くなったと回答しています。この傾向も寄与し、今シーズンのオンライン返品率は前年比1.2%減となっています。
より多くの消費者が製品の調査、選択肢の比較、意思決定のために大規模言語モデル(LLM)を利用する中、1つのことが明らかになってきています。生成AIはもはや、商品発見の副次的な手段ではないということです。
ChatGPT、Gemini、Perplexityなどのツールからのトラフィックは急速に増加しています。さらに重要なのは、これらのトラフィックがコンバージョンにつながる、質の高いものであるという点です。小売業者やブランドにとって、これは消費者が製品を発見し評価する方法における持続的な変化を示しています。生成AIがコマースにおいて果たす役割の変化は一過性のトレンドではなく、デジタルショッピング体験の中核的な要素の1つとなりつつあるのです。
この記事は2026年1月12日(米国時間)に公開されたAdobe: AI-driven traffic surges across industries with retail experiencing biggest gains.の抄訳です。