生成AI時代に差がつく動画内製化 | 第1回 トレンドと最新ワークフロー
みなさん、こんにちは。
株式会社火燵の安部です。
「生成AI時代に差がつく動画内製化」と題し、4回に分けてお伝えします。第1回目は「トレンドと最新ワークフロー」について、下記の3つのテーマでお送りします。
01 動画内製化を取り巻く環境の変化と内製化がもとめられる理由
02 生成AI時代の動画内製ワークフロー
03 Premiere / Firefly最新アップデート
01 動画内製化を取り巻く環境の変化と内製化がもとめられる理由
動画内製化について私がセミナーを始めた2020年頃は、コスト削減や時間短縮を中心にメリットを感じ、目標を掲げて内製化を進めた企業が多かった印象でした。それから数年が経ち、現在は情報機密性の保持、スキルアップによる事業の成長、社内コミュニケーションの円滑化、制作の楽しみを得ることでのモチベーション向上、ということにメリットを感じ、継続している企業が多いです。
動画内製がもとめられる理由として、継続的に大量にコンテンツを制作しなければならない現代において、内製化こそが最もコスパ、タイパがいいということが挙げられます。今の動画制作というのは、単発より継続、大量制作がマーケティング的には有利な時代になっているためです。さらに、最新の情報を反映できるので、AIやSNSの時代に情報発信として相性がいいと言えます。
「生成AI検索には(SEOのような)どのような対策が必要なのか知りたいです」というご質問をいただくことがあります。基本的にはSEOの延長線上にあると考えて良いでしょう。あえて意識をしてもらうとしたら、生成AIの検索は「どこにでもある一般論を嫌う」、「信頼できる一次情報や体験」を好む傾向があります。そういった観点でWEBページや動画を作ることをお勧めします。
LLM(Large Language Models:大規模言語モデル)やRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)、SNSを意識し、しっかりとAIに拾われやすいマーケティングを支援するために、当社でも新規事業として「生成AI検索対策(LLMO/AIO)」をリリースしていますので、ご興味がありましたらご覧ください。
02生成AI時代の動画内製ワークフロー
ビジネスにおける動画は、見た目がきれいなだけではなく「成果を残す動画」がクオリティの高い動画と位置付けられます。そのためには正しい戦略・企画を立てることが大原則です。とにかく企画です。それでは、内製化する動画の企画については、生成AIとどのように関わっていけば良いのでしょうか。
生成AIが普及し始めた当初は人間が発想したメモや書き起こしを、ChatGPTやGeminiに入力して、ある種「壁打ち」みたいな形で活用し、原則は人が考えて、AIは整理・補助という役割分担が中心だったと思います。
ところが近年では、生成AIを使って可視化、構造化することが増え始めます。この代表格として、Fireflyボードをはじめとしたストーリーボードやムードボードという概念があり、画像とテキストを使って絵コンテのようなものをデジタルで作る流れが盛り上がっています。ビジュアル生成などAIがカバーできる領域が広がったことが非常に注目を集めています。文章のみの企画書から、絵コンテや映像などを含む企画書が作られる時代に。単なるアイデア出しの補助だった生成AIが、企画段階からビジュアルを具体化するパートナーとして変わりつつあるのです。
生成AIに関して、よくいただくご質問について私の考えをお伝えします。
というご質問については、
各企業のブランドによると思います。SNSだったら積極的に使う企業もあれば、生成AIだと見える場合は使わない判断をする企業もあります。各企業の経営方針によると思います。
というご質問については、
2つのフィルタがあると思っています。1つはアルゴリズムです。アルゴリズムは実体験に基づくコンテンツが重要視されることは、SNSでも議論が起きています。2つ目は、アルゴリズムを超えた先で、視聴者の信頼を得るかどうかがポイントになると思います。 やはり商売は信用ですから、信頼できるコンテンツを積極的に発信していくことが、企業の姿勢としては重要だと考えています。
というご質問について。
企業の商品・商材・宣伝において、明らかに生成AIだとわかっている上で、それでも信頼され選択される時代は十分に到来すると考えられます。コストの問題で撮影が難しい動画を生成AIで補完するニーズはすでに存在し、今後は現実性よりも「分かりやすさ」や情報伝達の効率が重視される場面が増えていくでしょう。そのうえで、「生成AIで制作している」と明示する透明性や、誇張のない整理された表現は、企業の誠実さや合理性の印象を与えるため、それが企業に対する信頼に繋がる可能性があります。
というご質問もいただきます。AIエージェントの時代だと言っても、どのツールを使ってどれと連携させるというのは人間側の判断です。生成AI、あるいはPremiereで作るべきものを人間側が判断して選択することは、人間のセンスや経験によるところですので、そこを強化すればいいと考えています。
03 動画内製化で役立つ Firefly / Premiereおすすめ最新機能
最後にFireflyとPremiereの動画内製化で役立つおすすめ最新機能を紹介します。まず、Fireflyは初めてという方のために、「Fireflyとは何か?」を説明しましょう。
Adobe Firefly とは
Adobe Firefly は、画像や動画、音声などの生成を支援する生成AIサービスです。
Fireflyでは、Adobeが提供する Fireflyモデル に加え、サードパーティ製の生成モデルを選択して利用することができます。
特にFireflyモデルは、商用利用を前提として設計されている点が大きな特長です。一方で、サードパーティ製モデルを使用する場合は、それぞれの提供元の利用規約を確認した上で、用途に応じて判断する必要があります。
Fireflyによる動画生成の例
Fireflyでどのようなものを作れるのかを知っていただくために、私がうどんを食べている写真を元に、「おいしそうにうどんを食べています」というプロンプトで生成した動画を紹介します。なお、ここでは「Veo 3.1 Fast」というサードパーティモデルを使って生成しています。このようにサードパーティモデルを使用した場合は、先ほどお伝えしたとおり各社の利用規約を見て商用利用が大丈夫か判断してください。ちなみに「Veo 3.1 Fast」はGoogle製のモデルですので、Googleの規約を確認する必要があります。
今回は「Veo3.1 Fast」を使用しましたが、Fireflyモデルをはじめさまざまなモデルを選択することができます。それぞれのモデルでの強みがあり、Fireflyを試していく中で自分が作りたいものや好きなモデルがわかってくると思います。繰り返しになりますが、「Fireflyモデル」を使うメリットとしては商用利用ができることですので、そこを前提にどう考えていくか、使い方を導き出していくことができるのかと思います。
既存のテキストに適した動画を生成することもできます。黒地に白の文字で「新商品発売記念セール」というテキストをPremiereで作って画像として書き出し、「背景は春らしい背景画像にしてください。具体的ではなく抽象的なものでお願いします」というプロンプトを入力して動画を生成してみました。こちらも「Veo 3.1 Fast」を使用しています。
Fireflyを使用するにあたり、「プロンプトは、日本語と英語、どちらで書いた方がいいですか?」というご質問をいただくことがあります。Fireflyに関して言うと、日本語に対応している部分もありますが、まだ英語しか対応していない部分もあります。英語のプロンプトを書くのが難しい場合は、日本語で書いても構わないのですが、出力結果がおかしいなと思ったら英語で書くという使い方もあるかと思います。その際は翻訳ツールを使いましょう。
Fireflyの注目アップデート
Fireflyのアップデートで、これからFireflyを使って動画を内製化したい方は、ぜひともチェックしていただきたいのは「サウンドトラックを生成」「効果音を生成」といった音声データの生成機能です。これらの機能は、テキスト入力だけで高品質な音素材を瞬時に作成でき、制作スピードと表現力を大幅に向上させます。著作権に配慮された設計により、商用コンテンツでも安心して活用できる点も大きな魅力です。
Premiereの注目アップデート:オブジェクトマスク
Premiereに画期的なアップデートが追加されています。特に今回の目玉は、AIを活用したオブジェクトマスク。フッテージ内のオブジェクトや人物をAIが自動的に識別し、ワンクリックでオブジェクトマスクを作って追跡できる機能です。この機能を使って、ダンスをしている女性の背景に「スポーツは健康にいい」というテロップを追加してみました。
このような表現は、より奥行きを感じさせ、高品位でクオリティが高いと認識されます。Premiereでの具体的な操作方法については、下記のURLから動画にてご覧ください。
AIを活用したオブジェクトマスク機能については、After Effectsにも[ロトブラシツール]という、似たような機能があります。After Effectsと連携して細かい調整する場合は、After Effectsの[ロトブラシツール]を使った方がいいとは思いますが、トラッキングして背景に文字入れるレベルであれば、Premiereの方がシンプルにできると思います。私が動画内製化の現場に入る時は、基本的にAfter Effectsは使わずに、Premiereだけでとにかく生産性を上げる要望を多くいただきます。なので、私としてもPremiereの中で完結することはPremiereで早く処理した方がいいと考えています。
また、Film ImpactがアドビファミリーとなりPremiereに90以上の新しいエフェクトアニメーションが追加されました。例えば、プロがよく使うグリッジというノイズを加えるトランジションもPremiereで簡単に使えるようになったのは嬉しいところです。こちらも作例動画をご覧ください。
今回の内容は以上です。次回は企業のマニュアル動画について、生成AIの活用やPremiereの使用方法を中心に実践的な話をお伝えします。
なお、弊社では法人向けの動画内製化リスキリング支援のWebオンデマンド講座を運営しております。こちらの動画はすべて無料で見ることができます。今後LLMOや、さらに深いコンテンツを投入していく予定ですので、ぜひご覧いただきたいと思います。
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